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2章 魔剣カラドボルグ
20話 従者 セラ
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リュカリオンの寝室を出たアルフォスは立ち止まった。
「グリードという村を攻めることになった」
廊下の端に控えていたメイド服を着た魔族の少女に声をかける。少女の名はセラ。アルフォスの従者である。
出会いは数年前……。アルフォスがバルスヴェイル城で暮らすようになった日からの付き合いだ。リュカリオンは、新たに始まる生活に困らぬようにと専属の従者を一人付けたのである。以降は、公私にわたって支えてくれている。アルフォスにとっては心を許せる数少ない存在であった。
「承知いたしましたわ、アルフォス様。もちろん、わたくしも御一緒させていただいてもよろしいですわよね?」
「頼む。しかし、今回攻めるグリード村の住人どもは手練れ揃いらしい。それなりに危険を伴うだろう」
「なんの問題ございませんわ。わたくしはアルフォス様のためならばどのようなことでもいたします。例えば、一夜を共にせよと命じてくだされば仰せのままに……」
セラはどこか悪戯っぽい笑顔をアルフォスに向ける。
「冗談もほどほどにしておけ」
言い捨てて、アルフォスは自室へと廊下を進んでいく。そのあとをセラが続く。
「あら、わたくしは冗談など申しておりませんわ。アルフォス様さえよければ今宵にでも……」
「いや、今宵はやめておく」
「それは残念ですわ」
クスクスと笑う声が背後から聞こえてくる。
◎
自室に戻ったアルフォスは、ウォレンの形見のクレイモアを脇に立て掛けてベッドの上に寝転がる。
(夜は苦手だな…)
アルフォスが夜を苦手とするようになったのはラミーネル王国建国祭の夜からだ。あの夜、アルフォスの運命は大きく変わってしまった。いや、本当に変わってしまったのか。元々そういう運命だったのか……。
(そんなこと、どちらでもかまわない。いずれにしてもラミーネル王国を俺の手で滅亡させるだけだ)
還らぬ過去に思いを馳せるのをやめ、眠りにつくことにした。
(アルフォス様……)
隣のベッドではセラがアルフォスを見つめていた…。
「グリードという村を攻めることになった」
廊下の端に控えていたメイド服を着た魔族の少女に声をかける。少女の名はセラ。アルフォスの従者である。
出会いは数年前……。アルフォスがバルスヴェイル城で暮らすようになった日からの付き合いだ。リュカリオンは、新たに始まる生活に困らぬようにと専属の従者を一人付けたのである。以降は、公私にわたって支えてくれている。アルフォスにとっては心を許せる数少ない存在であった。
「承知いたしましたわ、アルフォス様。もちろん、わたくしも御一緒させていただいてもよろしいですわよね?」
「頼む。しかし、今回攻めるグリード村の住人どもは手練れ揃いらしい。それなりに危険を伴うだろう」
「なんの問題ございませんわ。わたくしはアルフォス様のためならばどのようなことでもいたします。例えば、一夜を共にせよと命じてくだされば仰せのままに……」
セラはどこか悪戯っぽい笑顔をアルフォスに向ける。
「冗談もほどほどにしておけ」
言い捨てて、アルフォスは自室へと廊下を進んでいく。そのあとをセラが続く。
「あら、わたくしは冗談など申しておりませんわ。アルフォス様さえよければ今宵にでも……」
「いや、今宵はやめておく」
「それは残念ですわ」
クスクスと笑う声が背後から聞こえてくる。
◎
自室に戻ったアルフォスは、ウォレンの形見のクレイモアを脇に立て掛けてベッドの上に寝転がる。
(夜は苦手だな…)
アルフォスが夜を苦手とするようになったのはラミーネル王国建国祭の夜からだ。あの夜、アルフォスの運命は大きく変わってしまった。いや、本当に変わってしまったのか。元々そういう運命だったのか……。
(そんなこと、どちらでもかまわない。いずれにしてもラミーネル王国を俺の手で滅亡させるだけだ)
還らぬ過去に思いを馳せるのをやめ、眠りにつくことにした。
(アルフォス様……)
隣のベッドではセラがアルフォスを見つめていた…。
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