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2章 魔剣カラドボルグ
27話 謎の巨岩群
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「ここまでくれば大丈夫そうだな」
いったいどれ程の距離を走ったのか。森を抜けたアルフォスとセラは巨岩が並ぶ岩場地帯に足を踏み入れていた。
「なんなんだ、ここは…」
裸婦、奇妙な踊りを披露している猿、男女の交わり、戦士、騎士、魔術師、獣人……。周囲の様々な彫刻がされた巨岩を見ながらアルフォスが呟く。
「わかりませんわ…。リュカリオン様の趣味なのか、守護者たちの趣味なのか……」
セラは意外にも若干の興味を持ったようでじっくりと鑑賞している。彼女にとってはさながら美術館のような感覚なのかもしれない。
(それにしても、グリード村はどこにあるんだ? この異空間はかなり広大な気がする…。なにか手掛かりがあればいいんだが……)
「まぁ! これは!?」
グリード村をいかにして探し出すかを思案中のアルフォスの耳にセラの声が聞こえてくる。
それに反応して振り向く。そこには地面に押し倒されてしまった1体の石像が放置されていた。
(おいおい、どうなってるんだ?)
アルフォスはその石像のモデルとなった人物を知っている。
「アルフォス様、これはどういうことなのですの?」
セラが戸惑ったような目でアルフォスを見る。
(これはどうみてもリュカリオン…だよな)
この異空間と守護者の創造主であるリュカリオンの容姿を模した石像は、倒され、落書きされ、何かで撲られたような皹がいたるところにあり、見るも無惨な姿となっていた。長年にわたって風雨にさらされたせいでできた雨染みが、あたかも目から流れ出た涙のようについている。
「あいつ、相当恨まれてないか?……」
「そうですわね。守護者たちの怨念のようなものを感じますわ…」
(リュカリオンのやつ、守護者になにをしたんだ?)
そんなことを思いつつ、一休みできそうな場所を探す。
◎
「しかし驚いたな…」
休める場所を探して彷徨しながらアルフォスが言った。
「どうかなさいましたか?」
「この異空間のことさ。昼夜の寒暖や風なんかの自然現象も再現されている。それに小川の清流に森の草花の香り……まるで外の世界そのものじゃないか。これほどの世界をたった一人で創造するなんて、リュカリオンの力には驚かされるばかりだ……」
アルフォスからの返答を聞いたセラはクスクスと笑う。
「アルフォス様ともあろうお方がそのようなことを考えておられましたの? リュカリオン様はなんといっても魔神なのですわ。神ならばこの程度のことなど造作もないのでござますわ! わたくし的素敵な方ランキングでは堂々の2位ですの!」
「リュカリオンが2位? それじゃ栄えある1位は?」
本気で見当がつかないといった様子で訊いてくるアルフォスにセラは驚いてしまう。しかし、すぐに笑顔になった。
「まったく……。ですが、そういう鈍感なところがまたたまりませんわね…」
アルフォスはますます怪訝な表情をする。
「まあ、いいですわ。今度、教えてさしあげますわ」
(リュカリオンを越えるやつなんて全く想像できないな……。まっ、今は目の前のことに集中するか!)
アルフォスは思考を現状に引き戻した。
いったいどれ程の距離を走ったのか。森を抜けたアルフォスとセラは巨岩が並ぶ岩場地帯に足を踏み入れていた。
「なんなんだ、ここは…」
裸婦、奇妙な踊りを披露している猿、男女の交わり、戦士、騎士、魔術師、獣人……。周囲の様々な彫刻がされた巨岩を見ながらアルフォスが呟く。
「わかりませんわ…。リュカリオン様の趣味なのか、守護者たちの趣味なのか……」
セラは意外にも若干の興味を持ったようでじっくりと鑑賞している。彼女にとってはさながら美術館のような感覚なのかもしれない。
(それにしても、グリード村はどこにあるんだ? この異空間はかなり広大な気がする…。なにか手掛かりがあればいいんだが……)
「まぁ! これは!?」
グリード村をいかにして探し出すかを思案中のアルフォスの耳にセラの声が聞こえてくる。
それに反応して振り向く。そこには地面に押し倒されてしまった1体の石像が放置されていた。
(おいおい、どうなってるんだ?)
アルフォスはその石像のモデルとなった人物を知っている。
「アルフォス様、これはどういうことなのですの?」
セラが戸惑ったような目でアルフォスを見る。
(これはどうみてもリュカリオン…だよな)
この異空間と守護者の創造主であるリュカリオンの容姿を模した石像は、倒され、落書きされ、何かで撲られたような皹がいたるところにあり、見るも無惨な姿となっていた。長年にわたって風雨にさらされたせいでできた雨染みが、あたかも目から流れ出た涙のようについている。
「あいつ、相当恨まれてないか?……」
「そうですわね。守護者たちの怨念のようなものを感じますわ…」
(リュカリオンのやつ、守護者になにをしたんだ?)
そんなことを思いつつ、一休みできそうな場所を探す。
◎
「しかし驚いたな…」
休める場所を探して彷徨しながらアルフォスが言った。
「どうかなさいましたか?」
「この異空間のことさ。昼夜の寒暖や風なんかの自然現象も再現されている。それに小川の清流に森の草花の香り……まるで外の世界そのものじゃないか。これほどの世界をたった一人で創造するなんて、リュカリオンの力には驚かされるばかりだ……」
アルフォスからの返答を聞いたセラはクスクスと笑う。
「アルフォス様ともあろうお方がそのようなことを考えておられましたの? リュカリオン様はなんといっても魔神なのですわ。神ならばこの程度のことなど造作もないのでござますわ! わたくし的素敵な方ランキングでは堂々の2位ですの!」
「リュカリオンが2位? それじゃ栄えある1位は?」
本気で見当がつかないといった様子で訊いてくるアルフォスにセラは驚いてしまう。しかし、すぐに笑顔になった。
「まったく……。ですが、そういう鈍感なところがまたたまりませんわね…」
アルフォスはますます怪訝な表情をする。
「まあ、いいですわ。今度、教えてさしあげますわ」
(リュカリオンを越えるやつなんて全く想像できないな……。まっ、今は目の前のことに集中するか!)
アルフォスは思考を現状に引き戻した。
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