聖剣と魔剣の二刀流剣士物語【復讐編】

美山 鳥

文字の大きさ
31 / 75
2章 魔剣カラドボルグ

30話 ガーディアン・ロード①

しおりを挟む
 扉の奥…洞窟の最奥はさらに広いフロアとなっていた。その奥の階段を登りきった先にある台座の上に一振りの長剣が置かれている。

 「あれが伝説の魔剣カラドボルグですの!?」

 セラが歓声にも似た声を発する。しかし、アルフォスはその階段の下にいる黒い肌をしたスキンヘッドの巨人を注視していた。巨人の右手には1メートル程度の鉄棒の先端に放射線状に鉄片を取り付けたメイスが握られている。

 「守護王ガーディアン・ロードか」

 「オレは守護王ガーディアン・ロードで、あそこに置かれている剣こそ魔剣カラドボルグに間違いない」

 巨人はアルフォスとセラに答える。

 「素直には魔剣を持ち帰らせてくれないんだろうな…」

 「当たり前だ。カラドボルグを手に入れたくばオレを倒すことだな!」

 守護王ガーディアン・ロードは不敵に笑う。

 「でしたら、そうさせてもらいますわ! 火属性初級魔術フレイム・ボール

 「ふん!」

 守護王ガーディアン・ロードは炎の球をメイスで叩き潰す。が、そこをアルフォスがクレイモアで斬りかかる。

 「防御膜魔術プロテクション

 守護王ガーディアン・ロードは防御魔術を発動し、自らの身体を敵からの攻撃から守る膜で包み込む。

 「ちっ!」

 防御膜魔術プロテクションの効果によりクレイモアは守護王ガーディアン・ロードの身体に浅い切り傷を残すのみだった。

 「あまいわ!」

 守護王ガーディアン・ロードが吠える。

 ガキィィッ!

 金属音が鳴り響き、アルフォスは弾き飛ばされてしまう。

 「くっ……」

 空中で身を翻して着地を成功させたアルフォスだが、守護王ガーディアン・ロードが振りかざしたメイスを受け止めた際の衝撃で魔腕が微かに痺れている。

 (なんて馬鹿力をしてるんだ…)

 クレイモアの柄を両手で握り、目の前の敵をしっかりと見据える。リュカリオンが言った通りだった。守護王ガーディアン・ロードはこれまで倒してきた守護者ガーディアンとは一線を画しており、まさに別格である。

 「アルフォス様、お怪我は!?」
 
 「大丈夫だ」

 心配するセラに短く返事をする。

 「雷属性中級魔術ライトニング・アロー!!」

 アルフォスが無傷であることに安堵したセラは、怒りの眼差しを守護王ガーディアン・ロードに向け、雷の矢を放った。

 守護王ガーディアン・ロードはその巨体を軽やかに動かし、雷属性中級魔術ライトニング・アローを回避する。

 「雷属性中級魔術ライトニング・アロー!」

 「ぬぐっ…」

 続いて放たれた雷の矢は回避できず、無詠唱で防御膜魔術プロテクションを発動させることでダメージを抑える。

 「うぉぉぉぉ!!」

 アルフォスは両手でしっかりと握りしめたクレイモアで斬りかかる。守護王ガーディアン・ロードはメイスで応戦する。

 幾度も激しく斬り結び、火花を散らすクレイモアとメイス。

 「肉体の一部に魔族のものを移植している人間とは珍しい。なぜ魔剣カラドボルグを求める?」

 「リュカリオンからの依頼だ」

 「やはり、リュカリオンからの差し金か。ならば尚更に魔剣を渡すわけにはゆかぬわぁ!!」

 会話を交わしながらも激しい攻防戦を展開していたアルフォスだったが、守護王ガーディアン・ロードの渾身の力を込めた一撃によって後方へと弾き飛ばされてしまう。

 「くっ…」

 着地したアルフォスだったが勢いは止められず、両足を踏ん張ったまま、さらに後方へと滑っていく。そこでクレイモアを地面へと突き刺すことでどうにか停止させることに成功する。

 「火属性上級魔術フレイム・ブレット!!」

 アルフォスに対して追撃にでようとした守護王ガーディアン・ロードをセラの魔術が襲う。放たれた炎の弾丸は守護王ガーディアン・ロードの左肩を貫通した。

 「ぐぉぉぉぉっ!」

 悲鳴をあげ、よろめく守護王ガーディアン・ロードだったが、地面を強く蹴って瞬時にセラとの間合いを詰める。

 「くっ!」

 セラはすぐさま離れようと飛び退くと同時に鞭を振り、眼前の敵の顔面を打つ。しかし、それはほんの一瞬の時間稼ぎにしかならず、守護王ガーディアン・ロードは掲げたメイスを力任せに振り下ろす。

 ガッ!

 メイスが地面を叩き、土砂が飛び散る。アルフォスはクレイモアでメイスを受け流し、その軌道をそらしていた。

 守護王ガーディアン・ロードの追撃を避けるべくセラを抱き抱えてその場を離れる。

 「大丈夫か?」

 そっと地面に下ろしつつ訊く。

 「はい…お陰さまで助かりましたわ……」

 セラからの返答に安堵し、アルフォスは再びクレイモアを構えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...