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2章 魔剣カラドボルグ
31話 ガーディアン・ロード②
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(防御膜魔術による防御と怪力を使ったメイスの攻撃……。なかなかに厄介な相手だな)
アルフォスは守護王の動きを注視する。半端な攻撃では大したダメージを与えることはできない。どう攻めるべきか思考を巡らせる。
「セラ、現段階で使える最大威力の魔術ならあいつを倒せそうか?」
アルフォスが小声で訊く。
「そうですわね。たとえ防御膜魔術を使われたとしても相当なダメージを与えることができるはずですわ。しかし、それには魔力と集中力を極限まで高める必要がありますわ」
「頼む! そのための時間は俺が稼ぐ!」
言い置いて、アルフォスはクレイモアを手に守護王に立ち向かっていく。
ガキンッ…キンッ…ガキィィンッ……
クレイモアとメイスが何度も激しくぶつかり合う。
「あの魔族の女と何やら相談してたようだが無駄だ。オレに通用しねぇ!」
「ほお、大した自信だな」
「オレは魔剣カラドボルグを守るために魔神リュカリオンによって創造されし者だ。敗けるわけがねぇ!!」
「がはっ!」
会話しながらも激しい攻防戦を続けていたが、守護王が放った突きがアルフォスの腹にめり込んだ。
ズザザザザザァッ!
後方へ飛ばされたアルフォスは両足を踏ん張り、クレイモアを地面に突き立てて止める。
「死ね!」
守護王はメイスを振りかざして迫ってくる。
「調子に……乗るなよ!」
アルフォスは回避も防御もせず、自ら前に踏み込み、すれ違い様に守護王の脇腹にクレイモアの一撃をいれる。
ザシュッ
「ぬぐぁぁっ……」
クレイモアは守護王の肉を裂いた。血が飛散し、激痛がはしる。防御膜魔術を発動したものの無詠唱であったため本来の効果を発揮できなかった。
守護王の背後に回ったアルフォスはクレイモアを頭上に高々と掲げ、一気に振り下ろす。
「ちぃっ!」
キィィンッ!
咄嗟にメイスでクレイモアを受け止め、押し返そうと身体に力を入れる。
「ぐっ……」
先ほど負傷した脇腹の傷がうずき、流血する。
「でやぁぁぁぁぁっ!」
アルフォスは畳み掛けるように連続で斬撃を繰り出す。その一撃一撃を受け止める度に傷口が悲鳴をあげる。
「調子に……乗るんじゃねぇ!」
守護王は意を決し、痛みに堪えながらメイスを振り抜く。
「うっ…」
アルフォスが短く呻く。守護王のメイスによってクレイモアを弾かれ、魔腕が痺れる。だが、今、クレイモアを手放すわけにはいかない。痺れる右腕に力を込めてクレイモアを握る。
「死ねぇい!」
守護王は掲げたメイスを振り下ろした。
「くっ……」
紙一重で回避したアルフォスはクレイモアを横に薙ぐ。
「ぐぅぅ!…」
クレイモアが守護王の右肩に深い傷をつける。傷口からは鮮血が流れ落ちる。
「くそがぁ!」
怒りの目を血走らせた守護王は腕と脇腹の痛みをものともせずメイスによる猛攻を仕掛けてくる。
アルフォスと守護王は移動しながら激しく攻撃し合う。互いに決定打を与えられないまま体力が削られていく。
(このまま消耗戦になれば体力的にオレのほうが有利だ!)
守護王は見えてきた勝利に笑む。
「アルフォス様!!」
セラが叫ぶ。それを合図としてアルフォスは守護王から離れる。
「火属性最上級魔術!!」
セラは極限まで高め、練り上げた魔力を火炎の砲弾に変換し、発射した。
(よぉし、かかった!!)
守護王はこの瞬間を狙っていた。防御膜魔術で防御を固めると同時に回避行動をとれば直撃は避けられるはずだ。仮に大ダメージを受けてしまったとしても、体力が尽きたアルフォスと魔力が枯渇したセラならば倒せるはずである。
(なに!?)
守護王は自らの異常に気付く。
(身体が動かねぇ!? いったい何が起きてやがる!!?)
どれほど力を入れようとも身体は微動だにしない。間近に迫る火属性最上級魔術に恐怖と焦燥感が募る。
「ぬわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
火炎の砲弾を受けた守護王の絶叫が響き渡った。
アルフォスは守護王の動きを注視する。半端な攻撃では大したダメージを与えることはできない。どう攻めるべきか思考を巡らせる。
「セラ、現段階で使える最大威力の魔術ならあいつを倒せそうか?」
アルフォスが小声で訊く。
「そうですわね。たとえ防御膜魔術を使われたとしても相当なダメージを与えることができるはずですわ。しかし、それには魔力と集中力を極限まで高める必要がありますわ」
「頼む! そのための時間は俺が稼ぐ!」
言い置いて、アルフォスはクレイモアを手に守護王に立ち向かっていく。
ガキンッ…キンッ…ガキィィンッ……
クレイモアとメイスが何度も激しくぶつかり合う。
「あの魔族の女と何やら相談してたようだが無駄だ。オレに通用しねぇ!」
「ほお、大した自信だな」
「オレは魔剣カラドボルグを守るために魔神リュカリオンによって創造されし者だ。敗けるわけがねぇ!!」
「がはっ!」
会話しながらも激しい攻防戦を続けていたが、守護王が放った突きがアルフォスの腹にめり込んだ。
ズザザザザザァッ!
後方へ飛ばされたアルフォスは両足を踏ん張り、クレイモアを地面に突き立てて止める。
「死ね!」
守護王はメイスを振りかざして迫ってくる。
「調子に……乗るなよ!」
アルフォスは回避も防御もせず、自ら前に踏み込み、すれ違い様に守護王の脇腹にクレイモアの一撃をいれる。
ザシュッ
「ぬぐぁぁっ……」
クレイモアは守護王の肉を裂いた。血が飛散し、激痛がはしる。防御膜魔術を発動したものの無詠唱であったため本来の効果を発揮できなかった。
守護王の背後に回ったアルフォスはクレイモアを頭上に高々と掲げ、一気に振り下ろす。
「ちぃっ!」
キィィンッ!
咄嗟にメイスでクレイモアを受け止め、押し返そうと身体に力を入れる。
「ぐっ……」
先ほど負傷した脇腹の傷がうずき、流血する。
「でやぁぁぁぁぁっ!」
アルフォスは畳み掛けるように連続で斬撃を繰り出す。その一撃一撃を受け止める度に傷口が悲鳴をあげる。
「調子に……乗るんじゃねぇ!」
守護王は意を決し、痛みに堪えながらメイスを振り抜く。
「うっ…」
アルフォスが短く呻く。守護王のメイスによってクレイモアを弾かれ、魔腕が痺れる。だが、今、クレイモアを手放すわけにはいかない。痺れる右腕に力を込めてクレイモアを握る。
「死ねぇい!」
守護王は掲げたメイスを振り下ろした。
「くっ……」
紙一重で回避したアルフォスはクレイモアを横に薙ぐ。
「ぐぅぅ!…」
クレイモアが守護王の右肩に深い傷をつける。傷口からは鮮血が流れ落ちる。
「くそがぁ!」
怒りの目を血走らせた守護王は腕と脇腹の痛みをものともせずメイスによる猛攻を仕掛けてくる。
アルフォスと守護王は移動しながら激しく攻撃し合う。互いに決定打を与えられないまま体力が削られていく。
(このまま消耗戦になれば体力的にオレのほうが有利だ!)
守護王は見えてきた勝利に笑む。
「アルフォス様!!」
セラが叫ぶ。それを合図としてアルフォスは守護王から離れる。
「火属性最上級魔術!!」
セラは極限まで高め、練り上げた魔力を火炎の砲弾に変換し、発射した。
(よぉし、かかった!!)
守護王はこの瞬間を狙っていた。防御膜魔術で防御を固めると同時に回避行動をとれば直撃は避けられるはずだ。仮に大ダメージを受けてしまったとしても、体力が尽きたアルフォスと魔力が枯渇したセラならば倒せるはずである。
(なに!?)
守護王は自らの異常に気付く。
(身体が動かねぇ!? いったい何が起きてやがる!!?)
どれほど力を入れようとも身体は微動だにしない。間近に迫る火属性最上級魔術に恐怖と焦燥感が募る。
「ぬわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
火炎の砲弾を受けた守護王の絶叫が響き渡った。
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