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3章 聖剣エクスカリバー

45話 ゼトラ戦①

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 「では、参ります!」

 ゼトラが矢のようにアルフォスとの距離を詰め、聖剣エクスカリバーを一閃する

 キィンッ

 聖剣エクスカリバーを魔剣カラドボルグで受け止める。

 ゼトラは素早く後退して聖剣を構え直す。

 「水刃すいじん!」

 エクスカリバーの蒼い剣身が淡く輝き、圧縮された水の刃が飛ぶ。

 アルフォスは水刃すいじんをカラドボルグで受ける。

 「はぁぁぁ!」

 「うぉぉぉ!」

 ゼトラとアルフォスは同時に相手との間合いを詰める。

 幾度も幾度も魔剣と聖剣が斬り結ばれる。

 「ふん!」

 アルフォスは魔腕に力を込めてゼトラを弾き飛ばす。ゼトラは空中で身軽に身体を翻し難なく着地を成功させてみせる。鎧に身を包んでいるというのに驚異的な身軽さといえる。

 「ぬぉりゃあっ!!」

 ウィナーのクレイモアがゼトラを襲う。だが、ゼトラはエクスカリバーでクレイモアを弾き、ウィナーの胴へと聖剣の刀身を滑り込ませようとする。

 「うぉっと!!」

 紙一重でかわしたウィナーはそのままゼトラから一度距離をとる。

 「火属性中級魔術フレイム・アロー!」

 セラの魔術によって無数の炎の矢がゼトラに飛来する。

 「防御膜魔術プロテクション!」

 ゼトラが詠唱し、発動させた防御魔術はセラの火属性中級魔術フレイム・アローを完全無効化する。

 「やりますわね!? 火属性中級魔術フレイム・アロー!」

 セラは再び火属性中級魔術フレイム・アローを詠唱発動させる。今度は炎の矢を1本にしぼることで威力・速度を高めていた。

 ゼトラは地を蹴りアルフォスに迫る。セラの放った火属性中級魔術フレイム・アローは誰もいなくなった大地を焦がす。

 キンッ! キンッ! キンッ! キィンッ!!

 「さすがは、ラミーネル王国近衛騎士団長ウォレンの息子ですね。その剣術はお父上譲りといったところですか?」

 何度か斬り結んだあとの鍔迫り合いの最中、ゼトラが口を開く。

 「おまえ、俺の過去を知っているのか? もしかしてラミーネルの出身者か?」

 「ご名答です。そして、僕はあなたには絶対に敗けません」

 鍔迫り合い中の会話を終え、二人は同時に飛び退く。

 「水刃すいじん!」

 「紅雷こうらい!」

 聖剣と魔剣から同時に魔力が放たれる。

 アルフォスは水刃すいじんをかわし、ゼトラは紅雷こうらいをその身に受ける。

 「ちぃ…」

 アルフォスを睨むゼトラ。紅雷こうらいによるダメージはそれほど大きいものではないようだ。直前に防御膜魔術プロテクションを施したのだろう。

 (加減したとはいえ、紅雷こうらいをくらってほとんどダメージを受けないか。ゼトラ自身の能力の高さもあるだろうが、あの鎧も厄介だな)

 アルフォスは魔剣カラドボルグを構え直した。
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