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第2章 冒険者達
エビデンス
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ある時を境に、領主エルシラの様子が急変して人が変わったように苛政を敷くようになったらしい。
その「ある時」というのは新しいダンジョンが現れたのと同時期らしい。
それはそれとして俺達は魔王城を目指して東に旅立つことにした。
「だからなんでだよ!!」
ガロンさん何急にキレてんすか。だって俺達最初から魔王城目指してるって言ってたじゃないッスか。
「あのな」
キレ散らかしてるガロンを横に置いておいて、ヒューが落ち着いた様子で話しかけてくる。
「町の人達が困ってるのね? 勇者の目の前で。ほんでね? たまたまギルドで知り合った先輩冒険者がそのことについていろいろ情報を出してるわけよ。勇者がそれを聞いてるのね? キミはどう思った?」
「え? いや……大変やなあ、って」
「ちょい」
ヒューはまだ怒りの収まらないガロンの肩を引っ張って少しテーブルから離れ、小声で話をする。
「こいつどっかおかしいんちゃう?」
聞こえてますけど。
「いやでもね? 人間が生きてる以上、みんなどっかで困りごと抱えて生きてるわけやないっすか。みんなそれを自分で解決して生きてくか、解決できないならそれとうまく付き合っていくしかないんスよね? それをたまたま目の前に勇者がいたからって、勇者が解決すんのは、なんか、こう……ちゃうんちゃうかなあ? って」
「マジなんなんコイツ」
「勇者って皆こんなんなん?」
「それは……『正義』とかじゃなくって、『差別』なんちゃうんかなあ? って、思うんスけど」
「『分かってる』風な顔ムカつくわ」
「アカン、めっちゃ殴りたい」
言いたい放題言いやがって。
でもなあ、俺は既に何の関係もないのにこの世界を助けるために異世界から来て、おっさんのケツの穴から聖剣を引き抜いてんのよ? この上さらに面倒ごと引き受けられるかっての。
「え、じゃあちょっと話変わるけどさあ。領主がある時を境に急に人格豹変して悪政を敷くようになったのね? んで、同時期に新しいダンジョンが現れてるわけよ。これについてはどう思った?」
「どう、って……」
なんなんこいつらめんどいなあ。
「めちゃフラグ立ててくるなあ、とは思いましたけど」
「そこやんなあッ!!」
デカい声出すなよ鬱陶しいなあ。
「あんなあ、お兄さんらめちゃわざとらしく『人が変わったように』って言ったやんなあ!」
声のボリューム調整してくれよ。
「ほんでダンジョンの話したんやからまず間違いなくこれは関連あるやん? ダンジョンやで? ハイ、ダンジョンといえば!?」
なんなんコイツのテンションは。
「え? ……じめじめしてる、とか」
「ちがうちがうちがう、ダンジョンといえば……何が住んでる? ほら、何が住んでる?」
「ええ……?」
マジで鬱陶しいこいつらのテンション。
「ホラ、ダンジョンといえば? モ……? モンス……? ほら言って! 一緒に言って?」
「モンス……」
「た?」
「た……」
「モンスター?」
「モンスター……」
「はいモンスター! モンスターきました!! ダンジョンといえばモンスターだよね!?」
こいつら人生楽しそうだな。
「モンスター、つまり魔族。魔王討伐に繋がるためのヒントがこんな何気ない日常に転がってるって訳よ」
無理やりすぎひん?
「現状魔王の居場所に関する情報は何にもないんでしょ? じゃあ普通はこういう何気ないお使いクエストをこなしながら情報を集めていくのが定石やんなあ? なんでそれが分からんの?」
「いや、領主が豹変した、って……領主も私生活でなんかあったかもしれんし、その話と新しいダンジョンの発見を結びつけるのはいくら何でも無理があると思うんだけど」
俺は何も間違った事は言ってない。
そもそもダンジョンイコール魔族と結びつけるのもそれはそれで無理があると思う。たまたま古い遺跡かなんかが見つかったのかもしれんし。
それだけでも無理があるのにそれを領主の豹変と結びつけるのはさらに無理があるだろう。
領主、なんかつらい事でもあったんかな? どしたん? 話聞こか?
ってのが優しさってもんじゃないのかしら?
「ちょい、ちょっと」
ガロンとヒューはアスタロウの袖を引っ張って少し離れたところまで連れて行って小声で話を始めた。
「なんなんあの子」
「どこの子なん」
え? なに? 俺が悪いカンジ? これ。
「すまんな。迷惑をかける。なんというか、異世界から来てるだけあって、ちょっと常識に欠けるところがあっての」
ケツの穴に剣が刺さってる奴にだけは常識云々を言われたくないんですけど。
ていうかそもそもさあ、自分の国の一領主が悪政を敷いて国民を苦しめてるってんなら本来お前がどうにかするべきだろうが。
ここで異世界人の俺が出しゃばったらいかんだろう。そもそもそれだと内政ものでジャンルが変わってくるしさあ。魔王みたいなイレギュラーな存在が相手なら話は別だけど、この国の問題は基本この国の人が解決するべきだと思うよ? 俺は。
もしそれが魔王のせいだって言うんなら確かなエビデンスを持ってきてよ。話はそれからだよ。コンセンサスはちゃんととれてるんだろうな。ちゃんとコンセンサスを得ないと俺は動かないぞ。
「こういう所は常識で動いてもらわないと困るというか、ねえ?」
「勇者としての自覚が足りないんじゃないんですかね」
なんだよ、文句があるならアスタロウに言わずに直接俺に言いやがれ。
「これは、アレだな」
「ああ」
「チュートリアルが必要じゃな」
ガチャリ。
その「ある時」というのは新しいダンジョンが現れたのと同時期らしい。
それはそれとして俺達は魔王城を目指して東に旅立つことにした。
「だからなんでだよ!!」
ガロンさん何急にキレてんすか。だって俺達最初から魔王城目指してるって言ってたじゃないッスか。
「あのな」
キレ散らかしてるガロンを横に置いておいて、ヒューが落ち着いた様子で話しかけてくる。
「町の人達が困ってるのね? 勇者の目の前で。ほんでね? たまたまギルドで知り合った先輩冒険者がそのことについていろいろ情報を出してるわけよ。勇者がそれを聞いてるのね? キミはどう思った?」
「え? いや……大変やなあ、って」
「ちょい」
ヒューはまだ怒りの収まらないガロンの肩を引っ張って少しテーブルから離れ、小声で話をする。
「こいつどっかおかしいんちゃう?」
聞こえてますけど。
「いやでもね? 人間が生きてる以上、みんなどっかで困りごと抱えて生きてるわけやないっすか。みんなそれを自分で解決して生きてくか、解決できないならそれとうまく付き合っていくしかないんスよね? それをたまたま目の前に勇者がいたからって、勇者が解決すんのは、なんか、こう……ちゃうんちゃうかなあ? って」
「マジなんなんコイツ」
「勇者って皆こんなんなん?」
「それは……『正義』とかじゃなくって、『差別』なんちゃうんかなあ? って、思うんスけど」
「『分かってる』風な顔ムカつくわ」
「アカン、めっちゃ殴りたい」
言いたい放題言いやがって。
でもなあ、俺は既に何の関係もないのにこの世界を助けるために異世界から来て、おっさんのケツの穴から聖剣を引き抜いてんのよ? この上さらに面倒ごと引き受けられるかっての。
「え、じゃあちょっと話変わるけどさあ。領主がある時を境に急に人格豹変して悪政を敷くようになったのね? んで、同時期に新しいダンジョンが現れてるわけよ。これについてはどう思った?」
「どう、って……」
なんなんこいつらめんどいなあ。
「めちゃフラグ立ててくるなあ、とは思いましたけど」
「そこやんなあッ!!」
デカい声出すなよ鬱陶しいなあ。
「あんなあ、お兄さんらめちゃわざとらしく『人が変わったように』って言ったやんなあ!」
声のボリューム調整してくれよ。
「ほんでダンジョンの話したんやからまず間違いなくこれは関連あるやん? ダンジョンやで? ハイ、ダンジョンといえば!?」
なんなんコイツのテンションは。
「え? ……じめじめしてる、とか」
「ちがうちがうちがう、ダンジョンといえば……何が住んでる? ほら、何が住んでる?」
「ええ……?」
マジで鬱陶しいこいつらのテンション。
「ホラ、ダンジョンといえば? モ……? モンス……? ほら言って! 一緒に言って?」
「モンス……」
「た?」
「た……」
「モンスター?」
「モンスター……」
「はいモンスター! モンスターきました!! ダンジョンといえばモンスターだよね!?」
こいつら人生楽しそうだな。
「モンスター、つまり魔族。魔王討伐に繋がるためのヒントがこんな何気ない日常に転がってるって訳よ」
無理やりすぎひん?
「現状魔王の居場所に関する情報は何にもないんでしょ? じゃあ普通はこういう何気ないお使いクエストをこなしながら情報を集めていくのが定石やんなあ? なんでそれが分からんの?」
「いや、領主が豹変した、って……領主も私生活でなんかあったかもしれんし、その話と新しいダンジョンの発見を結びつけるのはいくら何でも無理があると思うんだけど」
俺は何も間違った事は言ってない。
そもそもダンジョンイコール魔族と結びつけるのもそれはそれで無理があると思う。たまたま古い遺跡かなんかが見つかったのかもしれんし。
それだけでも無理があるのにそれを領主の豹変と結びつけるのはさらに無理があるだろう。
領主、なんかつらい事でもあったんかな? どしたん? 話聞こか?
ってのが優しさってもんじゃないのかしら?
「ちょい、ちょっと」
ガロンとヒューはアスタロウの袖を引っ張って少し離れたところまで連れて行って小声で話を始めた。
「なんなんあの子」
「どこの子なん」
え? なに? 俺が悪いカンジ? これ。
「すまんな。迷惑をかける。なんというか、異世界から来てるだけあって、ちょっと常識に欠けるところがあっての」
ケツの穴に剣が刺さってる奴にだけは常識云々を言われたくないんですけど。
ていうかそもそもさあ、自分の国の一領主が悪政を敷いて国民を苦しめてるってんなら本来お前がどうにかするべきだろうが。
ここで異世界人の俺が出しゃばったらいかんだろう。そもそもそれだと内政ものでジャンルが変わってくるしさあ。魔王みたいなイレギュラーな存在が相手なら話は別だけど、この国の問題は基本この国の人が解決するべきだと思うよ? 俺は。
もしそれが魔王のせいだって言うんなら確かなエビデンスを持ってきてよ。話はそれからだよ。コンセンサスはちゃんととれてるんだろうな。ちゃんとコンセンサスを得ないと俺は動かないぞ。
「こういう所は常識で動いてもらわないと困るというか、ねえ?」
「勇者としての自覚が足りないんじゃないんですかね」
なんだよ、文句があるならアスタロウに言わずに直接俺に言いやがれ。
「これは、アレだな」
「ああ」
「チュートリアルが必要じゃな」
ガチャリ。
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