武装聖剣アヌスカリバー

月江堂

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第3章 勃つ年

拡張スロット

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「エイメ、少しいいか?」
 
 邪竜メルポーザが去った後、アスタロウは村長と村の有力者を集めて情報の収集と対策会議を集会所でしている。
 
 本当は俺もそこに参加しなきゃいけなかったんだが、少し気になることがあって、こうやって村の片隅で村長の娘エイメと話をすることにした。
 
「俺達が竜を退治するって言ってるのに、なんであそこで急に出てきたんだ?」
 
 正直言ってさっきは助かった。アヌスカリバーも抜いていない状態で竜の前に出てしまったのは俺のミスだ。エイメの動きはそれをカバーしてくれたものの、自らの命を危険にさらす行為だった。
 
 村のためなどではなく、まるで自らの意志で竜の花嫁になりたがっているかのような、俺の目にはそんな風に見えた。
 
 エイメは観念したかのように小さくため息をついてからゆっくりと話し出す。
 
「勇者様は……どんな子が好みのタイプですか?」
 
 一見今までの会話とつながりのないような、そんな問いかけ。どんな子がタイプか、かあ……実を言うとあんまりそういうのは考えたことが無かった。俺はこの世界に来て、今までに出会った女の子達の事を思い出す。
 
『それでは、チュートリアルを開始します』
 
『ケンジのオスマントルコに私のエクスカリバーをイングウェイしたい』
 
『私ね、子供はたくさん欲しい派なんだ』
 
「……話してて気が変になりそうにならない子かな」
 
「えっ、話してて気が変になりそうになる子ってどんな子ですか」
 
 いろいろあるんだよ。俺の話は別にどうでもいいじゃないか。なんで今急にそんな話をするんだよ。
 
 まさかとは思うが、こいつはあの竜に一目ぼれして、結婚したいとか思ってるのか? そんなド変態には見えんが。
 
「私ね……男同士の恋愛とか、異種族間の恋とか、そういう『道ならぬ恋』に、もの凄く興奮するんです」
 
 ド変態だった。
 
 エイメ、「話してて気が変になりそうになる子」っていうのはね、おめーみたいな奴の事を言うんだよ。
 
「さっきのドラゴン、勃〇してましたよね」
 
 年頃の女の子がそんなこと言うもんじゃないよ。ああ、なんか顔が真っ赤に上気して目がトロンとしてる。もしかしたら今まで会った奴の中でこいつがダントツにヤバい奴かもしれない。
 
「あんなのれられたら、ワタシどうなっちゃうんだろう……?」
 
「死ぬと思うよ」
 
「あのドラゴンを初めて見た時にビビっときたんです。『ああ、ワタシ、この雄に犯されるために生まれてきたんだ』って」
 
 あのドラゴンもとんでもない奴に目をつけられたもんだな。可哀そうに。
 
「今日見てみても、やっぱりこの胸の高まりは嘘じゃないって確認できました。今もまだパンツがびしょびしょなんですよ。見てみます?」
 
「見ねーよ。さっさとおりものシート代えてこい」
 
 やべえな。とんでもねえ破滅思考の持ち主だったわ。村長はこいつの本性知ってんのだろうか。
 
「ワタシ思うんですよ。男女間の愛なんてね、所詮は繁殖のために仕組まれたプログラムの産物です。つまり、子孫を残せない男同士や異種族間の愛こそが、真の愛なんです」
 
 どうすんだよこれ。もう俺の手には負えねえぞ。
 
「だから、勇者様みたいな同好の士に出会えて、本当によかったです」
 
ちょっと待てどういう意味だ。
 
「勇者様とアスタロウさん、デキてるんですよね?」
 
「ハァ!? お前何わけの分かんない事言ってんだよ!!」
 
「ごまかさなくてもいいですよ。大丈夫、ワタシは全部分かってますから!!」
 
「何が大丈夫なんだよ! 何も分かってねえよ!! いいか? 俺があいつと一緒にいるのは……」
 
「大丈夫! 大丈夫ですから!! 全部分かってますから!!」
 
 だ……ダメだ。何言っても全部「大丈夫」で返される。会話にならない。
 
「あのお尻の剣……よほど覚悟が決まってないと人前でまであんなプレイは出来ないですからね。勇者様の事、尊敬してます。『師匠』って呼んでいいですか」
 
 いいわけねえだろブッとばすぞ。
 
「ワタシも師匠の恋を応援するッスから、師匠にもワタシの恋を応援してほしいんス」
 
 なんかコイツ口調が変わってきたな。こんな喋り方してたっけ?
 
 えっとつまり? てっきり村を守るためだとか、他の子が犠牲にならないためだとか、そんな感じで自らの危険も顧みずに「竜の花嫁になる」とか言ってるのかと思ってたけど?
 
 全然違うって事? こいつがただあの竜に欲情しててファックしようとしてるって事? なんなんこいつ、こわっ……
 
「いや、でもおかしいだろ。お前が『道ならぬ恋』に興奮して発情するのは別にいいよ? でもそういうのは妄想で楽しむのにとどめるべきだろ? 現実にそんなことしたら死ぬぞお前」
 
「え? でもアスタロウさんはケツに剣刺さっても死んでないじゃないッスか」
 
「あいつは特別なんだよ!!」
 
「師匠にとっては特別な人かもしれないスけど……」
 
「そういう意味じゃねーわ!!」
 
 どう言ったら理解してくれるんだこいつは。
 
「お前ドラゴンのアレ見たんだろ? 1メートルくらいあっただろ。あんなもん入れられたら普通に死ぬぞ」
 
「それは……確かに師匠の言う通りスけど……」
 
 こいつ、まさか分かってて言ってるのか? 命をかけてまで己の意志を貫くつもりなのか?
 
「でも、ワタシも拡張頑張ってるんスよ。おかげで今はなんとか拳くらいは入るようになったッスし……」
 
「やめろ! そんな話聞きたくない!!」
 
 生々しい話はやめて欲しい。女の子天使説を支持する俺としてはとても受け入れられない話だ。
 
「とにかく! 師匠にはワタシの恋を応援してほしいッス!!」
 
 そう叫んでエイメは走り去っていった。
 
 この世界にはアレかな? 頭のおかしい女しかいないのかな? 今まで会った女誰一人としてまともな奴がいないぞ。

 一番まともなのが夫を殺して伯爵領を手に入れようとしてたフェンネ夫人っておかしいだろう。
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