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第3章 勃つ年
ドラゴンボッキ
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「勇者よ、だいたいのところは分かってきたぞ」
どうやら俺がエイメの異常性に戦慄してた頃、アスタロウ達は村の有力者を集めて情報の整理と対応の検討をしてくれていた。
「ん? なんか、おぬし、やつれてはおらんか? 何かあったのか?」
まあいろいろあったんだよ。こっちもこっちでだいたいのことは分かったよ。あの女の異常性がな。
「まあいい。お主がカマをかけた通り、やはりあのメルポーザとかいうドラゴンは本来は魔王軍の任務でこちらに来ているようじゃのう」
「やっぱりか。で、発情期が来ちゃったんで任務をほっぽりだして婚活してた、と。とんでもねえアニマルだな」
で、その『任務』ってのはなんなんだろう? こんなさびれた村に何か用事があるっていうのか。
「ドラゴンが来る少し前、異世界からの転移者について話してたのを覚えておるか?」
ああ、そう言えばそんな話をしてたような気がする。ドラゴンボッキとエイメの異常性癖で全部吹っ飛んじゃってたけど。
なんか山に籠って元の世界の何かを再現するための研究をしてる老人だっけ? できれば俺も会いに行ってみたいと思ってたんだよな。
「転移者の名はショウと言うんじゃが、メルポーザがこの辺りで何かの任務を負っていたとしたら、彼の研究を狙っているんじゃないかというのが儂らの予想じゃ」
「それって何の研究なんだ?」
「それは分からん。彼が何を作ろうとしていたのか、何を再現しようとしていたのか、結局は誰にも理解できんかったからな。だが、事態は急を要する。すまんが今からショウのところに向かうぞ」
え? なんでそんなに急いでるんだ。まさかもう転移者が死にそうとか? 高齢のはずだからなあ。
「おぬしのさっきのハッタリで、メルポーザは多分おぬしのことを魔王軍の関係者かお目付け役だと思っとる」
あっ、そうか。ってことは仕事ほっぽって婚活してたのがバレたから焦って本来の仕事を進めようとする可能性があるのか。宿題サボってた小学生かよ。
「休んでる暇はない。すぐに行くぞ」
――――――――――――――――
山に籠ってる、みたいな話は聞いてはいたが、実際に来てみると山というか丘の様な場所だった。
あまり起伏のないなだらかな丘陵地帯。地面の下は硬い岩盤層があるらしく背の高い気もほとんど生えていない。大きな木は根を張ることができないんだろう。
しかし俺には少し気になることがあった。
「大丈夫スか? 師匠。もう少しでつくッスよ!」
なんでエイメがいるんだ。
「いや道分かるんスか?」
む……確かに分からない。ちらりとアスタロウの方を見たが、目を逸らされた。まあ、こいつも詳しい場所までは知らんよな。
「それに、またドラゴンが出たら困るじゃないッスか」
ドラゴンが出た時にお前がいたらそれはそれでまた困るんだけどな。一応これ一般向けなんだけど。勃〇とか拡張とか言い出す奴が近くにいるとヒヤヒヤするんだよ。
「もしドラゴンが出たらワタシが抑え込むんで師匠たちはその内に逃げてくださいッス」
抑え込んで何をする気なんだ。ていうかなんでドラゴンを抑え込めること前提なんだ。
「そもそもドラゴンが来るというのも儂らの勝手な想像じゃからな。おぬしの出番はないかもしれんぞ」
「いや、そんなことはないス」
アスタロウの言葉を否定して、エイメは東の空を見てから静かに目を瞑った。何をしてるんだこいつは。
「いるッスね……」
え? なに? 何を検知してるのこいつは?
「ケンジ師匠、目を瞑って気を落ち着けて下さいス。ゆっくりと、丹田(ヘソの下辺り)に力を溜めることを意識して、気をサーチするんス……」
え、なにこいつ。急に武術家みたいなこと言いだしたぞ。
「気持ちを静かに落ち着けて、目を閉じながらも、世界の全体を俯瞰するイメージで……」
「ん……なんか、ずっと向こうの、遠くで、ぼんやりと光を感じるな……これは?」
「それが、勃気ッス」
「勃……なんて?」
「勃気」
「勃……」
何言ってんだコイツ。
「ドラゴンの勃気は……今は動いてないスね。まだ行動を起こさず、対応を考えてるんだと思うッス」
「え? 何なのこの能力? 勃〇の気配を感じることができる様になったって事?」
「そうスけど?」
異世界に来て初めて使えるようになったスキルがこれかあ……
!?
背筋に悪寒が走った。
得も言われぬ恐怖を感じて振り返り、それと同時にバックステップで距離を取る。
「どうした?……勇者よ」
こいつ……なんて禍々しい勃気を放ってやがる。
「気付いたッスか……やっぱ師匠のバディだけあって凄まじい勃気の持ち主ッスね」
だがなぜ? なぜ今こいつはこんな勃気を放っているんだ。一体何をするつもりだ。
「勇者よ、そろそろ飯にするとしよう。そこで一つお願いがあるんじゃが……」
まさか……
「儂のアナルから、保存食を取り出してくれんかのう……」
俺の拳がアスタロウの顔面を捉えた。
「エイメ、保存食持ってるよね? 俺も持ってるけど」
そうそう何度も同じミスを犯すわけないだろう。二度とその手は食わねえよ。
というかさあ。
「エイメ、この能力どうやってキャンセルすればいいの? なんかずっと勃気を感じ取ったままになっちゃうんだけど?」
「キャンセル? 何言ってんすか?」
え?
「キャンセルとかよく分かんないッス。慣れるしかないんじゃないスかね?」
え?
どうやら俺がエイメの異常性に戦慄してた頃、アスタロウ達は村の有力者を集めて情報の整理と対応の検討をしてくれていた。
「ん? なんか、おぬし、やつれてはおらんか? 何かあったのか?」
まあいろいろあったんだよ。こっちもこっちでだいたいのことは分かったよ。あの女の異常性がな。
「まあいい。お主がカマをかけた通り、やはりあのメルポーザとかいうドラゴンは本来は魔王軍の任務でこちらに来ているようじゃのう」
「やっぱりか。で、発情期が来ちゃったんで任務をほっぽりだして婚活してた、と。とんでもねえアニマルだな」
で、その『任務』ってのはなんなんだろう? こんなさびれた村に何か用事があるっていうのか。
「ドラゴンが来る少し前、異世界からの転移者について話してたのを覚えておるか?」
ああ、そう言えばそんな話をしてたような気がする。ドラゴンボッキとエイメの異常性癖で全部吹っ飛んじゃってたけど。
なんか山に籠って元の世界の何かを再現するための研究をしてる老人だっけ? できれば俺も会いに行ってみたいと思ってたんだよな。
「転移者の名はショウと言うんじゃが、メルポーザがこの辺りで何かの任務を負っていたとしたら、彼の研究を狙っているんじゃないかというのが儂らの予想じゃ」
「それって何の研究なんだ?」
「それは分からん。彼が何を作ろうとしていたのか、何を再現しようとしていたのか、結局は誰にも理解できんかったからな。だが、事態は急を要する。すまんが今からショウのところに向かうぞ」
え? なんでそんなに急いでるんだ。まさかもう転移者が死にそうとか? 高齢のはずだからなあ。
「おぬしのさっきのハッタリで、メルポーザは多分おぬしのことを魔王軍の関係者かお目付け役だと思っとる」
あっ、そうか。ってことは仕事ほっぽって婚活してたのがバレたから焦って本来の仕事を進めようとする可能性があるのか。宿題サボってた小学生かよ。
「休んでる暇はない。すぐに行くぞ」
――――――――――――――――
山に籠ってる、みたいな話は聞いてはいたが、実際に来てみると山というか丘の様な場所だった。
あまり起伏のないなだらかな丘陵地帯。地面の下は硬い岩盤層があるらしく背の高い気もほとんど生えていない。大きな木は根を張ることができないんだろう。
しかし俺には少し気になることがあった。
「大丈夫スか? 師匠。もう少しでつくッスよ!」
なんでエイメがいるんだ。
「いや道分かるんスか?」
む……確かに分からない。ちらりとアスタロウの方を見たが、目を逸らされた。まあ、こいつも詳しい場所までは知らんよな。
「それに、またドラゴンが出たら困るじゃないッスか」
ドラゴンが出た時にお前がいたらそれはそれでまた困るんだけどな。一応これ一般向けなんだけど。勃〇とか拡張とか言い出す奴が近くにいるとヒヤヒヤするんだよ。
「もしドラゴンが出たらワタシが抑え込むんで師匠たちはその内に逃げてくださいッス」
抑え込んで何をする気なんだ。ていうかなんでドラゴンを抑え込めること前提なんだ。
「そもそもドラゴンが来るというのも儂らの勝手な想像じゃからな。おぬしの出番はないかもしれんぞ」
「いや、そんなことはないス」
アスタロウの言葉を否定して、エイメは東の空を見てから静かに目を瞑った。何をしてるんだこいつは。
「いるッスね……」
え? なに? 何を検知してるのこいつは?
「ケンジ師匠、目を瞑って気を落ち着けて下さいス。ゆっくりと、丹田(ヘソの下辺り)に力を溜めることを意識して、気をサーチするんス……」
え、なにこいつ。急に武術家みたいなこと言いだしたぞ。
「気持ちを静かに落ち着けて、目を閉じながらも、世界の全体を俯瞰するイメージで……」
「ん……なんか、ずっと向こうの、遠くで、ぼんやりと光を感じるな……これは?」
「それが、勃気ッス」
「勃……なんて?」
「勃気」
「勃……」
何言ってんだコイツ。
「ドラゴンの勃気は……今は動いてないスね。まだ行動を起こさず、対応を考えてるんだと思うッス」
「え? 何なのこの能力? 勃〇の気配を感じることができる様になったって事?」
「そうスけど?」
異世界に来て初めて使えるようになったスキルがこれかあ……
!?
背筋に悪寒が走った。
得も言われぬ恐怖を感じて振り返り、それと同時にバックステップで距離を取る。
「どうした?……勇者よ」
こいつ……なんて禍々しい勃気を放ってやがる。
「気付いたッスか……やっぱ師匠のバディだけあって凄まじい勃気の持ち主ッスね」
だがなぜ? なぜ今こいつはこんな勃気を放っているんだ。一体何をするつもりだ。
「勇者よ、そろそろ飯にするとしよう。そこで一つお願いがあるんじゃが……」
まさか……
「儂のアナルから、保存食を取り出してくれんかのう……」
俺の拳がアスタロウの顔面を捉えた。
「エイメ、保存食持ってるよね? 俺も持ってるけど」
そうそう何度も同じミスを犯すわけないだろう。二度とその手は食わねえよ。
というかさあ。
「エイメ、この能力どうやってキャンセルすればいいの? なんかずっと勃気を感じ取ったままになっちゃうんだけど?」
「キャンセル? 何言ってんすか?」
え?
「キャンセルとかよく分かんないッス。慣れるしかないんじゃないスかね?」
え?
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