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第7章 それは美しき光の玉
チーレム
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「私は……ダーク人間だから」
本気で言ってたのかそれ。てっきり魔族の兵士をだますために口八丁やってるのかと思ってたが……冷静に考えればこいつにそんな器用なことできるわけないか。
「いや、ていうかおかしいだろ? 俺お前の両親にも会ったけど普通の人間だったじゃん!」
「え!? もう両親に挨拶するところまでいってるの!?」
ちょっと黙っててくれイルウ。今そういう話をしてるんじゃないんだ。
「確かに……私の両親、家族は普通の人間よ」
だよな。マジで何言ってんだろうこの女は。疲労でバグったか。
「ダーク人間は、普通の人間から生まれることもあるのよ」
さてどうしよう。こいつぁ強敵だぞ。
「何よりこの肌の色を見てもらえば一目瞭然でしょう?」
どっからどう見てもただの日焼けした女だ。というかまあ、ぶっちゃけて言うとイルウも日焼けしたエルフにしか見えないんだけどさ。俺はちらりとイルウに目で合図をする。
イルウはこくりと頷いてアンススの前に進み出た。どうやら彼女を説得してくれるようだ。
餅は餅屋というか、ダークエルフのイルウならこんな舐めた事を言うアホ女をちゃんと諭してくれるだろう。イルウもダークエルフという自分の立場には少し思うところあったみたいだし、変な勘違いしたままなのも嫌だしな。
「確かに、ダーク人間が勇者の味方をしているのは問題があるかもしれない。ケンジの面倒は私が見るから、あなたはもうこのパーティーを離れた方がいいわ」
「ちょおぉい!!」
全然意図が伝わってなかったわ。
「そうじゃねえだろ! 全然違うわ!!」
やっぱりこういうのはちゃんと口で言わないとだめだな。イルウの腕を引っ張って文句を言おうとしたが、しかしその前にアンススが俺にうれしそうな表情で駆け寄ってきた。
「『違う』って……ケンジくんは私がダーク人間でも仲間でいてくれるっていうこと?」
「違う!! そっちじゃない!!」
「えっ!? 『違う』って……じゃあやっぱりダーク人間とは仲間ではいられないの?」
「ちっ、違う! いや違わないけど、違う!! 違うところが違う!!」
何とか抗弁しながらも、自分でも何を言ってるのかがちょっと分からなくなってきた。というかイルウはどういうつもりでそんなこと言ったんだ。こいつもアホなのか? まあ、ダンジョンで壁尻してるような奴だからな。
「ケンジくんが何を言ってるのか分からないわ」
俺もお前が何言ってるのか分かんねーよ。
「そもそもが『ダーク人間』なんて種族は存在しねえよ!!」
まず根本的なところだ。最も俺もこの世界のすべての種族を把握してるわけじゃないが。リキシが存在するくらいだからダーク人間も本当に存在してたらどうしよう。
「存在するわ。私が証拠よ!!」
「いや……」
言葉に詰まってしまう。確かにお前は存在してて、肌は黒いけども。お前はダーク人間じゃねえよ。バカを説得するときってどうすればいいんだ。
いったん落ち着こう。俺は深呼吸をしてゆっくりと頭の中を整理する。
「いや、そうだな。確かにアンススは肌が黒いね」
とりあえず相手を肯定してこちらに取り込む。バカを説得するにはまず、自分が『味方』だ、と認識させることが肝要だ。これは経験則だが、バカは『敵』と認識したものの言葉は絶対に聞かない。
「でもさ、両親に聞いてみればわかるけど、アンススって生まれた時から肌が黒かった?」
そして信用を得たところで相手にも分かる話を展開する。俺がアンススの信用を勝ち得ているかは微妙だが。
「たしかに、私は小さなころは肌が黒くなかった」
ん……ん? 一見こちらの話に乗ってくれてるようにも見えるけど、逆に言うとそれを認識したうえでそんな無茶な主張をしてるの?
「これは私が気付いたことなんだが、どうやら人は日に当たっている時間が長いほど、後天的にダーク人間に近づいていくらしい」
あのさあ。
「それと、冬の間もダークさがちょっと失われていく。私の考えでは、太陽の光とダーク人間の間には密接な関係が……」
「日焼けしてるだけだよッ!!」
目の付け所はよかったと思うんだけどさ。お前の頭でそこまで気づいたのは本当よくやったと思うよ。でもね? 日焼けの概念を知らないの? もう俺の手に余るよ!
「ダーク人間だったからか、家族の私への扱いもひどいものでね……」
そうだったか? なんか、親父さんが俺とアンススをくっつけようと必死だったことは覚えてるが、冷遇されてるようには見えなかったけど。
「私のことをバカだのアホだのと、聞くに堪えない罵詈雑言の嵐で」
ただの事実だろ。それは俺が今実感してるよ。
もう、いいや。とりあえずはダーク人間のことは放っておこう。こいつが人間でもダーク人間でも別にどっちゃでもええわ。
「そういうわけで私には、イルウの悩みが他人事とは思えなくってね……魔王討伐の任に就いてる勇者の前でこんな態度ではよくないのかもしれないけど……」
「いや、もういいから。アンススの種族が何かなんて俺には関係ないから」
「ケンジくん……」
ん? なんだ? なんか妙に輝いた眼で俺の方を見つめている気がするが。
「種族なんて関係なく、ありのままの私と向き合ってくれるっていうこと……?」
何なのこいつのポジティブシンキングは。『関係ない』ってのはお前の種族如何に関わらずって意味じゃなくてナンオブマイビジネスって意味だぞ。
「ありがとう、ケンジくん。私は今回の件、国からの依頼として受けたけど、たとえそんなものなくても、私は君にずっとついていくよ」
めんどくせぇ……なんなんだこのめんどくさい女は。
「ちょっと待ってよ!!」
今度はイルウか。
「あんたみたいな要介護レベルの頭の弱いやつにケンジは渡さないわよ」
ん、まあ、うん。ちょっと引っかかる言い方ではあるが、俺もアンススの介護はしたくない。今回改めてそう思ったわ。
「ケンジは私がふたなりになれなかった責任を取って私の性処理係になってもらうんだから!」
「俺に関係ねえだろうが!!」
「ケンジ……」
驚いた表情でイルウは俺の方を見た。
いや、何驚いてるんだよ。今回の件、明らかに俺に関係ないだろうが。俺はさんざん『儀式をやるなよ』って念押ししたにもかかわらず俺たちが寝てる間に儀式を強行して玉が四つになっちゃったのはお前の責任だろう。そんなとこまで責任とれねえよ。
「私の性別なんか関係なく、私を愛してくれるっていうこと……?」
「いやどういうポジティブシンキングだよ!!」
今のはもう明らかにおかしいだろうが。
「モテモテじゃのう、勇者よ」
他人事だと思ってこいつ……まあ、他人事か。こんな状態で魔王城まで行けるのか……?
本気で言ってたのかそれ。てっきり魔族の兵士をだますために口八丁やってるのかと思ってたが……冷静に考えればこいつにそんな器用なことできるわけないか。
「いや、ていうかおかしいだろ? 俺お前の両親にも会ったけど普通の人間だったじゃん!」
「え!? もう両親に挨拶するところまでいってるの!?」
ちょっと黙っててくれイルウ。今そういう話をしてるんじゃないんだ。
「確かに……私の両親、家族は普通の人間よ」
だよな。マジで何言ってんだろうこの女は。疲労でバグったか。
「ダーク人間は、普通の人間から生まれることもあるのよ」
さてどうしよう。こいつぁ強敵だぞ。
「何よりこの肌の色を見てもらえば一目瞭然でしょう?」
どっからどう見てもただの日焼けした女だ。というかまあ、ぶっちゃけて言うとイルウも日焼けしたエルフにしか見えないんだけどさ。俺はちらりとイルウに目で合図をする。
イルウはこくりと頷いてアンススの前に進み出た。どうやら彼女を説得してくれるようだ。
餅は餅屋というか、ダークエルフのイルウならこんな舐めた事を言うアホ女をちゃんと諭してくれるだろう。イルウもダークエルフという自分の立場には少し思うところあったみたいだし、変な勘違いしたままなのも嫌だしな。
「確かに、ダーク人間が勇者の味方をしているのは問題があるかもしれない。ケンジの面倒は私が見るから、あなたはもうこのパーティーを離れた方がいいわ」
「ちょおぉい!!」
全然意図が伝わってなかったわ。
「そうじゃねえだろ! 全然違うわ!!」
やっぱりこういうのはちゃんと口で言わないとだめだな。イルウの腕を引っ張って文句を言おうとしたが、しかしその前にアンススが俺にうれしそうな表情で駆け寄ってきた。
「『違う』って……ケンジくんは私がダーク人間でも仲間でいてくれるっていうこと?」
「違う!! そっちじゃない!!」
「えっ!? 『違う』って……じゃあやっぱりダーク人間とは仲間ではいられないの?」
「ちっ、違う! いや違わないけど、違う!! 違うところが違う!!」
何とか抗弁しながらも、自分でも何を言ってるのかがちょっと分からなくなってきた。というかイルウはどういうつもりでそんなこと言ったんだ。こいつもアホなのか? まあ、ダンジョンで壁尻してるような奴だからな。
「ケンジくんが何を言ってるのか分からないわ」
俺もお前が何言ってるのか分かんねーよ。
「そもそもが『ダーク人間』なんて種族は存在しねえよ!!」
まず根本的なところだ。最も俺もこの世界のすべての種族を把握してるわけじゃないが。リキシが存在するくらいだからダーク人間も本当に存在してたらどうしよう。
「存在するわ。私が証拠よ!!」
「いや……」
言葉に詰まってしまう。確かにお前は存在してて、肌は黒いけども。お前はダーク人間じゃねえよ。バカを説得するときってどうすればいいんだ。
いったん落ち着こう。俺は深呼吸をしてゆっくりと頭の中を整理する。
「いや、そうだな。確かにアンススは肌が黒いね」
とりあえず相手を肯定してこちらに取り込む。バカを説得するにはまず、自分が『味方』だ、と認識させることが肝要だ。これは経験則だが、バカは『敵』と認識したものの言葉は絶対に聞かない。
「でもさ、両親に聞いてみればわかるけど、アンススって生まれた時から肌が黒かった?」
そして信用を得たところで相手にも分かる話を展開する。俺がアンススの信用を勝ち得ているかは微妙だが。
「たしかに、私は小さなころは肌が黒くなかった」
ん……ん? 一見こちらの話に乗ってくれてるようにも見えるけど、逆に言うとそれを認識したうえでそんな無茶な主張をしてるの?
「これは私が気付いたことなんだが、どうやら人は日に当たっている時間が長いほど、後天的にダーク人間に近づいていくらしい」
あのさあ。
「それと、冬の間もダークさがちょっと失われていく。私の考えでは、太陽の光とダーク人間の間には密接な関係が……」
「日焼けしてるだけだよッ!!」
目の付け所はよかったと思うんだけどさ。お前の頭でそこまで気づいたのは本当よくやったと思うよ。でもね? 日焼けの概念を知らないの? もう俺の手に余るよ!
「ダーク人間だったからか、家族の私への扱いもひどいものでね……」
そうだったか? なんか、親父さんが俺とアンススをくっつけようと必死だったことは覚えてるが、冷遇されてるようには見えなかったけど。
「私のことをバカだのアホだのと、聞くに堪えない罵詈雑言の嵐で」
ただの事実だろ。それは俺が今実感してるよ。
もう、いいや。とりあえずはダーク人間のことは放っておこう。こいつが人間でもダーク人間でも別にどっちゃでもええわ。
「そういうわけで私には、イルウの悩みが他人事とは思えなくってね……魔王討伐の任に就いてる勇者の前でこんな態度ではよくないのかもしれないけど……」
「いや、もういいから。アンススの種族が何かなんて俺には関係ないから」
「ケンジくん……」
ん? なんだ? なんか妙に輝いた眼で俺の方を見つめている気がするが。
「種族なんて関係なく、ありのままの私と向き合ってくれるっていうこと……?」
何なのこいつのポジティブシンキングは。『関係ない』ってのはお前の種族如何に関わらずって意味じゃなくてナンオブマイビジネスって意味だぞ。
「ありがとう、ケンジくん。私は今回の件、国からの依頼として受けたけど、たとえそんなものなくても、私は君にずっとついていくよ」
めんどくせぇ……なんなんだこのめんどくさい女は。
「ちょっと待ってよ!!」
今度はイルウか。
「あんたみたいな要介護レベルの頭の弱いやつにケンジは渡さないわよ」
ん、まあ、うん。ちょっと引っかかる言い方ではあるが、俺もアンススの介護はしたくない。今回改めてそう思ったわ。
「ケンジは私がふたなりになれなかった責任を取って私の性処理係になってもらうんだから!」
「俺に関係ねえだろうが!!」
「ケンジ……」
驚いた表情でイルウは俺の方を見た。
いや、何驚いてるんだよ。今回の件、明らかに俺に関係ないだろうが。俺はさんざん『儀式をやるなよ』って念押ししたにもかかわらず俺たちが寝てる間に儀式を強行して玉が四つになっちゃったのはお前の責任だろう。そんなとこまで責任とれねえよ。
「私の性別なんか関係なく、私を愛してくれるっていうこと……?」
「いやどういうポジティブシンキングだよ!!」
今のはもう明らかにおかしいだろうが。
「モテモテじゃのう、勇者よ」
他人事だと思ってこいつ……まあ、他人事か。こんな状態で魔王城まで行けるのか……?
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