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Extra3:幸せのいろどり ―透side―
(22)
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静香と会う約束の金曜日。
仕事納めで飲み会に誘われたりして、断るのに時間を取られてしまい、約束より少し遅れて店の駐車場に車を停めた。
静香が俺より先に着いてる事なんて滅多に無いけれど、店の前には姿は見えない。
俺が時間よりも遅れたと言っても、5分くらいだから、静香がもう帰ってしまったという事はないだろうし、もしかしたら先に店に入ってるのかもしれない。
考えながら、連絡してみようかと携帯を取り出してみると、いつの間にか静香からの着信が2件入っていた。
仕事中にかかってきて気付けなかったのか、メッセージが残っている。
『お兄ちゃんごめんなさい。行けなくなっちゃった。俊之さんも急に帰ってきちゃって……ごめんね。また連絡するね』
「……なんだ……、そっか」
金曜日という事もあって、今夜は直くんがバイトに入っている確率は高い。だから、あの店へ行くことに知らず知らずのうちに緊張をしていたのかもしれない。静香のメッセージを聞き終わった途端、身体の力が抜けて運転席のシートに沈み込むように背を預けた。
「……帰るか……」
一度抜いてしまったキーをキーシリンダーに挿し込み、エンジンをかけた。溜息をつきながら何気なくフロントガラスの向こうのカフェレストランへ視線を向けた。
落ち着いた作りの店の中から、温かい雰囲気の白熱灯の灯りが漏れている。
シフトレバーに手を置きながら、俺は店の灯りから目が離せずにいた。
――ここまで来て帰るつもりか。
たった今、帰ろうと車のエンジンをかけたのに、頭の中では反対のことを考えてしまう。
――顔を見て、元気そうだったらそれで良いと思ったんじゃないか。
気が付けば、手は自然にキーを元に戻し、今かけたばかりのエンジンを切っていた。
――ただ会えるだけでいいと、思ったんじゃないか。ただ、それだけの事なのだから。別に静香がいなくても……。
運転席のドアを開け車を降りた時には、もう、躊躇する気持ちはすっかり消えていて、真っ直ぐに店の入り口へ向かう。
いつもの窓の前では立ち止まらずに扉を開き、温かい色の灯りが溢れる店内へ入って行った。
仕事納めで飲み会に誘われたりして、断るのに時間を取られてしまい、約束より少し遅れて店の駐車場に車を停めた。
静香が俺より先に着いてる事なんて滅多に無いけれど、店の前には姿は見えない。
俺が時間よりも遅れたと言っても、5分くらいだから、静香がもう帰ってしまったという事はないだろうし、もしかしたら先に店に入ってるのかもしれない。
考えながら、連絡してみようかと携帯を取り出してみると、いつの間にか静香からの着信が2件入っていた。
仕事中にかかってきて気付けなかったのか、メッセージが残っている。
『お兄ちゃんごめんなさい。行けなくなっちゃった。俊之さんも急に帰ってきちゃって……ごめんね。また連絡するね』
「……なんだ……、そっか」
金曜日という事もあって、今夜は直くんがバイトに入っている確率は高い。だから、あの店へ行くことに知らず知らずのうちに緊張をしていたのかもしれない。静香のメッセージを聞き終わった途端、身体の力が抜けて運転席のシートに沈み込むように背を預けた。
「……帰るか……」
一度抜いてしまったキーをキーシリンダーに挿し込み、エンジンをかけた。溜息をつきながら何気なくフロントガラスの向こうのカフェレストランへ視線を向けた。
落ち着いた作りの店の中から、温かい雰囲気の白熱灯の灯りが漏れている。
シフトレバーに手を置きながら、俺は店の灯りから目が離せずにいた。
――ここまで来て帰るつもりか。
たった今、帰ろうと車のエンジンをかけたのに、頭の中では反対のことを考えてしまう。
――顔を見て、元気そうだったらそれで良いと思ったんじゃないか。
気が付けば、手は自然にキーを元に戻し、今かけたばかりのエンジンを切っていた。
――ただ会えるだけでいいと、思ったんじゃないか。ただ、それだけの事なのだから。別に静香がいなくても……。
運転席のドアを開け車を降りた時には、もう、躊躇する気持ちはすっかり消えていて、真っ直ぐに店の入り口へ向かう。
いつもの窓の前では立ち止まらずに扉を開き、温かい色の灯りが溢れる店内へ入って行った。
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