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北の大森林の主
招かれざる客
しおりを挟むアイセンレイトは、キッチンでお茶の準備をしていた。
何せ、これから溺愛する予定の愛しい番がやってくるのだ。
嬉しくない筈がない。
思い出し笑い、してみるもののあまり良い仕事をしてくれ無い表情筋。
僅かに上がった口角も、彼をよく知る者でなくば、読み取る事は不可能に近い。
だからなのか、そんな彼の本心から紡がれる笑顔が人の心に響いて虜にするのは、実に詮無い事と言えた。
彼女を追い掛けて来た者達が、精鋭部隊と言えど、レイに掛かれば赤子を捻るも同然と、感じたアイセンレイトは天を仰いでふむと呟くと独自のブレンドで仕上げたハーブティーを用意する続きを始めた。
だが、そんなのんびりとした時間もあまり取れないようだと、アイセンレイトは深い溜め息を吐いた。
「面倒な輩が来たよなぁ。一個師団とは随分良い評価をしてくれたものだ…… 」
アイセンレイトはお茶を用意し終わると、そうひとり言って、徐にその場を後にした。
キッチンを出た途端にアイセンレイトの姿形が変わった。
背丈が伸び、顔付きが少年から青年へと変化していく。
その変化に伴って、着ている衣装もどことなく変化した。
15歳の少年から実年齢の23歳へ。
否応なく始まるだろう戦闘の為、彼は闘い易い姿に不承不承ながら変わりざる終えなかった。
アイセンレイトは、あまり戦いを好まない。
アイセンレイトになる前は気の向く儘に生きていて、戦闘も好きだったが、今は違う。
あの時の自分は、黒歴史と言って良い恥ずかしい行為ばかりしていた。
大切な人を巻き込んで。
けれど今は違う。
やるべき事は違えない。
「大丈夫。此処に居る者達と、君だけは守る」
アイセンレイトは空を見上げ、遠くに見える点のような物体を見た。
そしてふっと笑った。
ふわりと彼の周囲の風が舞い上がる。
大地からからキラキラと光る粒子が舞い上がるとアイセンレイトを護るように旋回する。
それは、世界樹の根から湧き上がる守りの力だ。
哪吒と言う少年神の身体を苗床にした世界樹が、アイセンレイトを守るのは至極当然な行為だった。
だってアイセンレイトは、哪吒が生まれ直した姿だったから。
世界樹が根を張り護るその根の終着点がこの森で、世界樹の魂でも有る人物が此処に居るのだから、世界樹が此処で力を揮っても可笑しくはない。
世界樹に取って自分を守っているのと同等なのだから。
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