婚約破棄された転生令嬢は、魔の森の銀の薬師に溺愛される

黄色いひよこ

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北の大森林の主

バリトンの持ち主

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「嫌、僕の事が怖かったのでしょう? だって、気を失うくらいですしね……。だからせめて、子供の姿なら少しは怖がらないでいてくれるかなぁ……、なんてね」


気を失わせてしまった事に気落ちして、アイセンレイトは、言い訳がましく言ったのだが、その考えも違ったようで、


「そんなっ、ごめんなさい! それは誤解ですっ!! 」


ラスティエルの慌てた声と、青くなった顔色で、アイセンレイトは即座に己が勘違いをしていた事を知った。


「えっと……、もしかして僕、盛大に勘違いしてた? 」


そう言って、少年姿のアイセンレイトがまたもやこてんと首を折る。

その姿にラスティエルはまたもやキューピッドの矢をくらってしまった。

本日二度目である。


── ああっ、駄目っ……、尊い…… ──


などと考えていた事は、内緒であった。

だがだが彼女はこの後、思い知る事になる。

実年齢そのものの姿に立ち戻ったアイセンレイトが、実は父親譲りの破壊的な色気を持つと言う事を、ラスティエルはそのまんまの生身のままで実感する事になると、言う事実を。

そう、思い知るのだ。(大切? な事は二度言っておく。ひよこは親切だからね。)


「そう言う事なら…… 」


アイセンレイトは宙を仰ぐと、ぽつりと言い放ち、ソファの側から立ち上がった。(ラスティエルは気付かなかったが、彼女の休むソファの傍らの床に座り込んでいたのだ。)


「ラスティエル、待っててね。オレンジジュース持ってくるから…… 」


いそいそとその場を後にする彼も、懐かしいかわいいと思うラスティエルだった。




ラスティエルよ、よくよく考えろ。

アイセンレイトと言う男は、成人(この世界では18歳が成人とされる)をとうに過ぎた大人の男なんだと言う事を……。


そして……。


「お待たせ、ラスティエル」


巷で良く使われる『バリトンの美声』と言っても可笑しくない声が聞こえてラスティエルは戸口に見入ってしまった。
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