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北の大森林の主
転生令嬢の事
しおりを挟むそう言えば、此処までのラスティエルの心の機微はあまり語っていませんでしたね。
ならば、此処で半泣きでリビングに駆け込んで来た彼女の話でも致しましょうか。
ラスティエルと言う女の子は、小さい頃から両親から「お前は高貴な御方の御子息のお嫁さんになるのですよ」と、言われて育ちました。
彼女の母はランドール帝国の巫女姫です。
正確には、帝国を守護する聖獣神です。
そして父親は、この世界の創造主です。
その2人が人間に化けて帝国の侯爵をしているのですが、娘のラスティエルはその事を知りません。
この事実を知るのは帝王と、彼等の友人達だけです。
ラスティエルには前世がありますが、彼女が逸れを思い出す事はありません。
決して無いのです。
前世の彼女が心底愛した繋がりを持つ少年を、彼女は覚えて居ないのです。
前世の彼女が犯した罪。
その罰が、愛した男を忘れる事。
前世の男と今世も番で産まれる事。
そして、人間に産まれて、番が現れても分からない事。
それが、彼女への罰でした。
ラスティエルには番が居ます。
勿論、前世からの仲です。
言わずとしれた彼ですが、その仲を深める前に横槍が入ります。
隣国の王子との婚約です。
ラスティエルの住む帝国には、王子も王女も居ると言うのに、何故かラスティエルに白羽の矢が立ちました。
一節には、隣国の指名だと言われていますが、定かでは有りません。
ただ、彼女の母親が『巫女姫』であると言うのは、周知の事実だと言う所から来ているのかも知れません。
無理矢理成立させられたラスティエルの婚約ですが、此処で彼女の両親は抵抗します。
何せ2人はラスティエルに番が居る事を知っています。
その為に、ラスティエルがとっても小さい頃から、2人は話して聞かせているのですから……。
『貴女には高貴な男のお嫁様になるのですから、かの君に相応しい女性に成らなければ成りません』
勿論、王子の事では有りません。
けれどラスティエルにはそんな事、知る由もないのです。
子供の頃から今に致まで、彼女は『王子に嫁ぐ』と思い努力をして来たのでした。
王子に対して、何の思いも有りませんでしたけどね。
そしてまぁ、右翼曲折色々あって彼女は漸く、唯一無二を見付けました。
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