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大森林の小さな家
その身に宿る過ぎたる力
しおりを挟むするとどうだろう、ラスティエルの掌から暖かな輝きが桜へと流れ込み、樹木が輝き出したのだ。
勿論、今のラスティエルは神では無い。
正確には、ラスティエルは人間である。
神の子では有るが、神が人の子に身を窶し、人に混じって生きた際に産まれた子供だ。
だから。
アイセンレイトはそんな彼女を見て、眉を寄せた。
── ほら、やっぱり ──
彼は、ラスティエルを見て息を吐いた。
彼女が無理をしている。
それが有り有りと解るからだ。
彼女が眉を寄せて、己の大きすぎて持て余す力に耐え忍んで、目覚めの為の力を注いでいる。
アイセンレイトは、ゆっくりと近寄ってラスティエルの背後に立った。
勿論、彼女を驚かさないよう気を使って。
「ラス、その力の放出、僕を媒体にすると良い」
そうして彼は、彼女を後ろから包み込んだ。
幹に手を着いている右手の下に己の右手を滑り込ませ重ねさせる。
自然の動きで恋人繋ぎのように指を絡ませさせると、アイセンレイトは幹に手を着いた。
「アイセンレイト様! その様な事をなさると御身に負担が…… 」
「大丈夫。問題ない。お前の力を番である僕の身体が拒否する事は無い。それより、その力は人の身には強すぎる。毒のようなものだ。だから、ラスが使う時は必ず僕を媒体にしろ。いいね」
「でも…… 」
「い・い・ね・」
そう言ってラスティエルが躊躇ううちにも、アイセンレイトは涼しげな表情を見せて、ラスティエルの力の媒体になっている。
彼女は強引だが優しくて、ケロッとしているアイセンレイトに溜め息を吐くと、
「わかりました。わたくし、アイセンレイト様の仰る事を信じますわ。けれど、無理だけはしないで下さいませね…… 」
「ふふっ、それは僕の台詞だと思うんだけどな…… 」
アイセンレイトは笑いながらそう言った。
ラスティエルは、アイセンレイトに寄りかかるとゆっくりとまぶたを閉じた。
身体の中を廻る何かを指先からアイセンレイトの中に送り込む。
嫌、受け渡すと言うべきか。
その行為が驚く程スムーズに行われる事にラスティエルは驚いた。
そして、今一つ驚いた事に、アイセンレイトからラスティエルにお返しと言うかの様に彼の力が彼女の中に流れて来たのだ。
「あっ……、ダメッ…… レイトッ…… 」
「駄目じゃ無い……、体内の魔素を失えば回復に時間が掛かるから、貰っておけ…… 」
甘い甘い口調。
アイセンレイトは、目を細めて彼女の耳元で囁いた。
「でも、でも、そんな事をすればアイセンレイト様が…… 」
「ラス、僕を見くびらないで欲しいな。これでも神の端くれなんだよ……。心配いらない 」
力強いアイセンレイトの物言いに、ラスティエルは安心したように、今一度彼に身体を預けたのだった。
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