婚約破棄された転生令嬢は、魔の森の銀の薬師に溺愛される

黄色いひよこ

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動き出す

アイセンレイトの妹

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手のひらサイズの板の様な物。

通信手段にしか使えないが、其れだけでもこの世界の住人ならば、便利アイテムには違いない。

そう、あの薬師様が持ち込んだアイテムなのだから、それはオーパーツに間違いない訳で…… 。

その手のひらサイズの板の様な物は、地球世界での便利通信グッズ、スマホであった。

この弥勒の箱庭世界では、スマホは当たり前にオーパーツなので、薬師関係者と、世界の神々の間でしか使われていない。

大量の神力及び魔力を消費するのだから、当たり前に人間では扱えない。

逸れを操作してアイセンレイトが掛けた先は、父親では無く(後で知られたら泣かれるぞ)妹の所だった。


3コールで出る辺り、まるで、どこかの会社の受付嬢のようだ。

アイセンレイトが「もしもし、フィリー? 」と、問い掛けた瞬間受話器の向こうから、


「うっわぁおっ、お兄ちゃん!? ひっさしぶりぃ~!! 」


と、耳をつんざく用な疳高い少女の声が、スピーカーにしてもいないのに部屋中に響き渡った。


「あ、あのねフィリー。もう少し声を小さくして話してくれないかな? 兄ちゃんの耳、壊れる…… 」


思わずスマホを遠く離してしまったアイセンレイトは溜め息を吐いて徐に耳を当て直し、妹のフィリーに注意を促した。

至極マイペースな妹が、兄の言う事を聞くかどうかは別として。


「あはっ、ごめんね、ごめんね~っ」

「はあっ…… 」


相変わらず、思考の斜め上を行くこの妹は、正真正銘、アイセンレイトと血の繋がった妹である。


「んで、どうしたの? にいにい。あたしに用があるから電話したんでしょ。わざわざ莫大な神力使って」

「やっぱりフィーは話が早いね。うん、頼みが有るんだ」

「…………めっずらしぃ~!? にいにいがあたしに頼み事!! いいよ~、いいよ~。何でも言って」

「じゃあ、御言葉に甘えて…… 」


端っからテンション高めの妹に、アイセンレイトは、にっと笑うと言葉を続けたのだった。


「少し留守にするから、こっちに来て僕の番の護衛を頼みたいんだ。色々あって、人は増えたんだけど、皆人間だから神の力を持つ護衛が居なくてね。フィーに頼めないかなぁ? 」


そう言うアイセンレイトに、「きゃーっ!! 」と言うフィリーの喜びの悲鳴がスマホから響いて、アイセンレイトはまたもや耳からスマホを離す羽目に陥った。


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