婚約破棄された転生令嬢は、魔の森の銀の薬師に溺愛される

黄色いひよこ

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朱色の欠片

妲己と太公望③

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「と、言う訳でぇ……、どっちが先に欠片を集めるか、勝負よ❤ 」


妲己はそう言うと、領布をひらりとはためかせると大地を蹴り上げた。


「じゃあね~っ❤バイバ~イ❤ 」

「魚っ!? いっかせるかぁ~っ!! 」


妲己の台詞に被せて来たのは、今まで大人しく状況を見定めていたフィリーであった。


「待て、フィー」


そう言って、逸るフィリーの首根っこをむんずと掴んだのは、アイセンレイトだった。

彼の声音には、焦りの一つすら見受けられない。

何故にアイセンレイトはそう言う行動に出たのか。

それは、猪突猛進の如く妲己を追いかけて、飛翔しようとしたフィリーを諫める為だった。

アイセンレイトに掴まれて、待ったを掛けられた勢いの儘、フィリーは振りかぶって兄を見た。


「お兄ちゃん! あの女っ、逃がしちゃうよ!! 」


フィリーの言葉はごもっともだった。

案の定、妲己は天高く舞、その姿は米粒のように小さい。

アイセンレイトは、わざと妲己を見送ったのだ。

彼の真の目的は妲己などでは無い。

あくまでも、女禍だったのだから。


「あんなのは、放っておけ。女狐の動向はライに追わせているし、もし、この世界に何か嫌がらせでも有れば、父上が黙っていない。妲己とて、強大過ぎる相手に噛み付く程馬鹿では無いさ」


アイセンレイトはそう言うと首だけ巡らせてラスティエルを見た。

その目は大切な番を見る目では無く、あくまでも余所者である女禍を見る目であった。


「女禍殿、僕自身は、貴女を信用する程までは気持ち的にも無い。けれど、僕の番であるラスティエルと、今では友とも言える太公望の気持ちに免じて、貴女を信用する事にする。だから……、決して2人の信用を裏切るな」


アイセンレイトの言葉を噛みしめるように聞いていた女禍は、コクリとラスティエルの身体を使って頷いた。


「太公望は、本当は女禍、君と共に逝くつもりだったんだよ。妲己ちきゅうの意志が働いて叶わなかったらしいんだけど……。だからだろうね、今度こそ貴女と一緒にいるそうだよ」


そう言って、アイセンレイトはラスティエルに近付いた。

そして近付きながら彼女に向けて握った拳を仰向けに突き出して見せると、ゆっくりと手の平を見せるように開いて行った。

アイセンレイトの掌には、赤い宝石が輝いていた。


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