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揃う
話し合い④
しおりを挟むあそこだと、楊戬を連れて指をさしたアイセンレイトは、広大な緑深い森の中心を目指して飛翔した。
目的地の森の中心は、ぽっかりと楕円形に切り開かれていて、其処にはどっしりと構える屋敷の屋根と庭園が見えた。
楊戬は、それを見て目を細める。
彼の目で目視出来る薄いヴェールのような膜、それは自ずと彼に結界だと捉えさせた。
招き入れて貰えなければ入れない強固な結界の凄さに、楊戬は舌を巻いた。
綿密に編まれた三重の結界は、幼い少年の身で出来る代物では無い。
そんな彼が只一つ勘違いしていた事は、アイセンレイトが少年では無いのだ と言う事実を、知らなかった事だった。
ふわりと地面スレスレでアイセンレイトが止まり、楊戬は哮天犬を地面に着地させた。
さっと目線だけで周りを確認する楊戬。
女二人に、変わった姿の生き物が一匹。
そして、銀髪に赤い瞳の美丈夫が一人。
何故かその美丈夫からは、太公望の気配がして楊戬は首を傾げた。
「太公望師叔? 」
『中身はな、太公望、助かったよ』
そう哪吒の姿をしたアイセンレイトが間髪入れずに楊戬に言い、太公望に向かって話し掛ければ、二人の女がアイセンレイトに声を掛けた。
楊戬に取っては初めて出会う女達であったが、その二人とは、ラスティエルとフィリーだった。
「お帰りなさいませ、アイセンレイト様」
「お兄~ちゃん、お帰り~」
『うん、二人ともただいま』
と、アイセンレイトは二人の女性にさらっと言って、楊戬が不思議に思った男の身の中にするっと入って行くさまを見て、ギョッとしたのは楊戬だった。
「どういう事だ? 魂と魄が違う? は? 有り得ない…… 」
「逸れを有り得る事にしてしまうのが、薬師如来、僕の父だ。さて、改めて僕は、アイセンレイト=セイ=ルリコウ。そして、二人の女性のうち、向かって右側が妹のフィリー=トウコ=ルリコウそして、」
そう言って言葉を途切れさせたアイセンレイトは、ラスティエルの細腰を引き寄せると、ぴたりとひっついた状態で、
「彼女が妻となる女性、ラスティエル=アル=エルディエク公爵令嬢だよ」
平然と言ってのけた。
にっこりと、目の笑わない微笑を貼り付けて。
「さてと太公望、もう何とかなるだろう? 取り敢えず話し合いの場を設ける。出て来い」
そう、アイセンレイトはわざと面々に聞こえるように言った。
此処は、アイセンレイトの屋敷の客間である。
ラスティエルの専属侍女、コレットがお茶をカップに注いでいる間に、太公望はアイセンレイトから出て姿を現した。
その後一同は、側のソファーに楊戬と太公望、そして彼等の前にアイセンレイトとラスティエルが着席し、その後ろにスウェンとギディウスが並んで護衛に立った。
フィリーはと言うと、ひとり席にルナティを抱えてちんまりと大人しく座っていた。
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