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貴方の暗闇~結芽の思い
しおりを挟む私は、変わらず
貴方だけを愛しています。
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朝食を戴いて、後片付けを終わらせると、私はこの部屋の鍵を掛け、隣へと移動した。
この家は、お姉ちゃんと真紘さんの家。
私と真紘さんの家じゃない。
私の家は、この隣。
お姉ちゃんが居なくなってから、お姉ちゃんと真紘さんの家に私の部屋も出来たんだけど、私はこっちの部屋の方が居心地が良かった。
変に一部屋、一部屋をゆとりある家にしているせいで、このマンションは、角部屋がワンルームになっている、デザイナーズ・タワーマンション。
真紘さんの持ち物で、お姉ちゃんと結婚した時に、私の事も引き取ってくれて3人一緒に暮らし始めた。
私は、隣のこのワンルームだけど。
本当はね、私、独りで居残ろうと思ってたの。
両親が残してくれた家に。
私の両親は、事故で亡くなってね。
その時、私とお姉ちゃんは、高校の修学旅行中で、難を逃れたの。
トラックの居眠り運転が、事故の原因で…………。
私とお姉ちゃん、二人きりになってしまった…………。
なのに、たった独りの肉親まで私は亡くしてしまって…………。
私には、もう、真紘さんだけ……。
でもね、私、真紘さんの事は、義兄さんって、呼びたくない。
だって私、今でも真紘さんを愛しているんですもの。
部屋に入ってホッとするのも束の間、インターホンが鳴って、エントランス解除ボタンが点滅する。
誰かしら?
私は、通話ボタンを押した。
「はい?」
答えると、モニター画面にエントランスと、懐かしい顔が映った。
『結芽~! 陣中見舞いに来たわよ。どう? 調子は? 』
笑う顔は、かなりのベビーフェイス。
でも、私と同い年で、大の親友と言える存在。
「紅葉!! 今開けるわ! 待って! 」
ウキウキした浮かれた口調で私は応えると、慌ててエントランスの解除ボタンを押した。
「結芽~。元気だった!? 」
開け放たれた玄関扉。
開口一番に、掛けられた言葉。
優しい友人の言葉と声は、自然と口元を綻ばせ、涙腺を緩める。
泣き笑いする私に、紅葉は驚いた顔をして見せて、ため息を付き、抱き締めてくれた。
「あんたは、何でも独りで抱えてしまう子だから、ほんと心配。ん? 何があったのかな~? もしかしなくても、義兄さんの事、なんでしょうけどね~。結芽の悩みって」
「紅葉……」
「まぁ、止めろと言っても止められないのが、恋。だもんねぇ、さ、この紅葉さんが話聞いたげるから、ささっ奥行こっ」
そう言った紅葉は、私の身体を、奥へと押しやった。
都心に10畳のワンルームは、結構贅沢な作りに成っているのに(タワマンだしね)、紅葉は、何時も突拍子も無いような事を言う。
「芸能界1の歌姫を囲う家が、ちっちゃいワンルームなんて、馬鹿にしてる! せめて自分の家で、一緒に暮らせっての! 」
「紅葉、隣には私の部屋、ちゃんと有るよ? 」
「え? あら、そうなの? 」
なんて、嘯く紅葉は、はっきり物を言う人。
でも、早とちりする事もしばしば。
歯に絹を着せない人なんですよね。
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