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長い1日の始まり
prologue③
しおりを挟む騎士団長や団員の絶望が読み取れた時、ナディアは、信じられない声を耳にした。
「良く頑張ったね。凪。待たせてごめんね」
ふと、頭の中に湧き上がった声が、現実で、それも耳元で聞こえる。
その上、最初に思い出した言葉と、今のが違っていたから、現実感がありありとしている。
それが、『これは現実だ』と、伝えている一つ目で、お腹と、胸に巻き付く腕と、背中にじんわりと染み込む暖かさと、抱き締められる力強さが感じられる事象が、現実と思わせる事の二つ目。
それだけでも十分なのに、三っつ目の事象は、騎士団を庇うように彼等の前に立つ、二人の青年だった。
いつの間に現れたの?
そう思いはしたものの、『これで助かる。もう大丈夫。あの二人と、あの人が来てくれたから…… 』そう、ナディアは、無意識にも考えて仕舞ったから。
意味は、サッパリ解らない。
けれど、その思いと安堵感が、頭を過ったのは確かだったから、現実だと信じられた。
『ドンッ』と『カシャン』と、言う音と共に、
「うぎゃあぁぁ~~、しまったぁぁ~~」
と言う雄叫びが前方から聞こえる。
「失敗したぁ…… くっすん…… 」
背の高い人と、少しだけ低い人。
その内の低い人が頬に手を当てて居るのが後ろからでも解る。
反対側の背の高い人が、低い人にコツンと拳骨を落としたのを見て、ナディアは、驚く。
「君は、アホですか? それとも、バカですか? 魔羅漢は、四面同時に叩かないといけませんよねぇ。一面だけ、それもひっくり返してどうするのです? 」
「ん~、一面ずつ壊す? 」
「馬鹿ですね、君は。正真正銘の馬鹿ですよね。一面ずつ叩いても四面倒す頃には、最初の一面が復活していますよ。さぁ、どうするんです? ほら、エネルギー、溜め込み始めてますけど………… 」
「う~ん………… 」
『低い人が考え込み始めてますけど、大丈夫なのでしょうか? 不安です……… 』
そうナディアが考え込んでいると、ナディアを抱きしめ、肩口に顔をうずめていた彼が、顔を上げたのが、解った。
「日光、月光もう少し真面目に出来ませんか? 凪が不安がっています」
高くもなく、低くもない声音に、心地よさを感じるナディア。
声音だけでうっとりとする彼女は、首を巡らせて、後ろに居る彼を見た。
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