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長い1日の始まり
prologue④
しおりを挟む真近に見る彼に、思わず『開いた口が塞がらない』現象に見舞われるナディア。
彼は、綺麗過ぎた。
見ただけで、人では無いと痛感する。
艶やかな黒髪に、黒曜石のような瞳。
肌は白磁のように白いが、不健康と言う訳では無い。
目はパッチリとした二重で、睫毛が羨ましい程長かった。
『はぁ……… 。恐ろしく美人だわ…… この人』
それがナディアの、彼に対する第一印象だった。
「ちょっと、勘弁してください。コイツと一緒にするなんて。それに、アナタに言われたく有りませんって。薬師様、久方振りに会うからって奥方にベッタリ引っ付いてないで、仕事して下さいっ。仕事っ!! 」
「わっ、うるさっ。日光ってやっぱり細かい。十六年も会ってなかったんですよ。少しくらい…… 」
小さな声で呟いていたけれど、ナディアには丸聞こえで、拗ねた顔は何故か可愛いく感じる。
「ね、良いと思いませんか? 」
そう急に私に振られましても……… 答えようが有りません……… 。
ナディアは、そう思考するが、答えた言葉は、
「誠に申し訳ありませんが、私も、あの方の意見に賛成させて頂きたく存じます」
薬師と呼ばれた彼にとって、けんもほろろな対応のナディア。
「凪……… 」
『 私はナギではありません。ナディアです』そう彼に言ってやりたいとナディアは、怒り半分で思っていたが、流石に空気読めない訳では無いので、今はぐっと我慢の子を貫いていた。
「分かった。まっててすぐ終わらせるから」
そう言うと薬師は立ち上がり、徐にパチンと指を鳴らした。
たったそれだけの動きなのに、其処にいた者全ての身体が一瞬の内に回復した。
それは、疲れから始まって、怪我、傷、病、産まれながらの障害。
総てが無かった事のように治ったのだ。
明らかに、それは魔法では無い。
呪文の詠唱も、それに伴う魔力の流れも、魔法陣も。
何一つ発動の気配も無く、一瞬で此処に居る皆が、健康体になった。
これを奇跡と言わずしてなんと言おう。
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