無実の罪で断罪される私を救ってくれたのは番だと言う異世界の神様でした

黄色いひよこ

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神獣白虎『ルナティ』

世界が壊された理由②

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   薬師は、目の前に出されていた紅茶を一口飲むと、続きを話し出した。


   「元々この世界は、あなた達が慕う神が紡ぎ出した夢です。その夢を私達の世界の人間の一人が、かの神と同調してお話として作り出したのが、転生者が言う本の世界と言う訳なのですが、生憎と此処は現実の世界。お話では有りません。この世界が彼奴の紡ぎ出した夢でも、貴方方は生きている。其れだけは、勘違いなさらないで下さい」


   皆が薬師の言葉に素直に頷いた。

   それを見た薬師もふわりとした柔らかな笑みを見せた。

   欲を持たない神の微笑みは、そこにいた全ての者を魅了する。

   だから彼は知らない。

   『それ』が原因だと言う事を。

   愛染も哪吒も、薬師に誉められて頭を撫でられながら、慈愛の微笑みを向けられて勘違いした結果が、咎められる行為に走る切っ掛けとなった。

   
   ── あぁ……、この人、また信者を増やしやがりましたよ……… ──

   ── この人の微笑みは釈迦、阿弥陀様方の次に美しいと影で言われているもんなぁ、慈愛の微笑みなら右に出る者無しだし……… ──


   などと、脇侍二人が、溜め息を吐きながら考えを巡らせているとは、誰一人気付かなかった。




   ナディアも見事に薬師の微笑みに見とれてしまった一人だった。

   記憶が無いから、薬師の伴侶の凪の生まれ変わりだと言う事が俄には信じられなくて、戸惑いもあった。

   ただ、胸の奥にくすぶるドキドキとした苦しい程の鼓動と熱が、自分に番が居る事実を知らしめているのは、ついさっき自覚してしまった。

   膝の上から降ろして貰えないと言う行為も、実はドラゴンの番の行為と同じだとナディアは知っていた。

   きっと移動は抱えられての移動だとも予想される。

   ナディアは気付いていた。

   此処にいるみんなに向ける薬師の眼差しと、自分の瞳を覗き込む彼の眼差しの違いに。

   薬師に、熱い眼差しを向けられて、身体にカッと熱を持つのが解る。

   羞恥心と逸れを上回る欲求。

   彼の瞳に見つめられると、愛されたい欲求が背中を這い上がる。

   番のみが発する甘い香りが彼から漂ってナディアの鼻腔を擽る。

   彼もきっと同じ体験をしている筈だと、予想していた事の答えを、ナディアはすぐに薬師から告げられた。


   「ナディア………、私は君に対しては欲だらけだ。君も同じ気持ちなら、私は………、君が欲しいよ。番の儀を早く行いたい。けれど、君が嫌がる事は、決してしたくは無いんだ。私は、いくらでも待つから………、待てるから 」


   そう、耳元で囁かれた。
   
   柔らかくて優しい微笑みを見せるのに、その瞳には、炎が揺らめいている。

   そう感じられずにはいられない、情熱のこもった視線に目が眩みそうになる。


   「とても甘い香りがするな、ナディア嬢は……… 」


   そう呟いた薬師の言葉に、ナディアは真っ赤に全身を熟れさせる事しか、出来なかった。


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