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神獣白虎『ルナティ』
番に弱い薬師様
しおりを挟む「私は聖女ですが、強くなりたいです。その上で、薬師様の隣に立ちたいと思っております」
少し(いや、かなり)顔を赤らめつつ、「言ったぞ! 」と言う満足感を漂わせつつナディアが言えば、薬師はそんなナディアにふにゃりと笑って見せた。
ついぞ見たことが無い薬師の笑顔に、脇侍達が固まってしまう。
そうだろう、そうだろう。
見たことが無い故に、怖い。
「ナディアからそんな事言って貰えるなんて思っても居なかったから、嬉しいよ。ねぇ、少しは好かれてるって思っても良い? 」
優しいけどクールで動じない薬師が、番の前では砂糖菓子のように甘い。
ナディアが、顔を真っ赤にして頷いた後、「もぅ、恥ずかしい…… 」と言って両手で顔を覆う。
恥ずかしがり屋なナディア。
其処は凪と正反対で、凪は大胆で、思いっきりが強い。
その反面、ナディアはきめ細やかな性格で慎重そのもの。
全くの正反対さ加減に薬師は新鮮さを感じていた。
育った環境の違いと失った記憶。
それだけで、これ程までに変わるのかと、実は凪を知っている面々全てがそんな感想をナディアに抱いていた。
「ナディア、顔を見せて。隠すなよ」
顔を隠して嫌々と首を左右に振るナディアの手に、薬師はそっと自身の手を重ねる。
優しい動作でそっとナディアの手を外すと、其処から真っ赤になったナディアの顔が現れた。
美人と言うより、可愛いと言う表現が似合う少女。
瞳は零れるかと思う程大きな二重。
唇は桜色に仄かに色付き小さく引き結んでいる。
きっと笑うと花も綻ぶ可愛い笑顔になるだろうと伺えた。
「ナディア、可愛い」
どうした!? 薬師!?
普段なら絶対に口にしない台詞も、ナディア限定でポンポンと出て来るのだろうか?
「ねぇ、ナディア。君は俺が護から今のままでいてくれよ」
もう一度、今度はきちんと言われたナディア。
聞いたのは薬師で、懇願されれば頷かざるを得ない。
ナディアはじっと薬師を見詰めて、ふわりと笑んだ。
「わかりました。宜しくお願いしますね。その代わりと言っては何ですが、必ず、私を貴方様のお側に置いて下さいませね」
交換条件だと言わんばかりのナディアの問い掛けに、薬師も笑って頷くしか無かった。
こう言う所は、凪もナディアも変わらない。
「では、この得物は櫂に渡すとするかのぅ…… 」
そう言って晴明が懐から取り出した物は、人型に切られた一枚の白い紙だった。
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