無実の罪で断罪される私を救ってくれたのは番だと言う異世界の神様でした

黄色いひよこ

文字の大きさ
37 / 220
神獣白虎『ルナティ』

番に弱い薬師様

しおりを挟む

    「私は聖女ですが、強くなりたいです。その上で、薬師様の隣に立ちたいと思っております」


    少し(いや、かなり)顔を赤らめつつ、「言ったぞ! 」と言う満足感を漂わせつつナディアが言えば、薬師はそんなナディアにふにゃりと笑って見せた。

    ついぞ見たことが無い薬師の笑顔に、脇侍達が固まってしまう。

    そうだろう、そうだろう。

    見たことが無い故に、おそろしい。


    「ナディアからそんな事言って貰えるなんて思っても居なかったから、嬉しいよ。ねぇ、少しは好かれてるって思っても良い? 」


    優しいけどクールで動じない薬師が、番の前では砂糖菓子のように甘い。

   ナディアが、顔を真っ赤にして頷いた後、「もぅ、恥ずかしい…… 」と言って両手で顔を覆う。

    恥ずかしがり屋なナディア。

    其処は凪と正反対で、凪は大胆で、思いっきりが強い。

    その反面、ナディアはきめ細やかな性格で慎重そのもの。

    全くの正反対さ加減に薬師は新鮮さを感じていた。

    育った環境の違いと失った記憶。

    それだけで、これ程までに変わるのかと、実は凪を知っている面々全てがそんな感想をナディアに抱いていた。


    「ナディア、顔を見せて。隠すなよ」


    顔を隠して嫌々と首を左右に振るナディアの手に、薬師はそっと自身の手を重ねる。

    優しい動作でそっとナディアの手を外すと、其処から真っ赤になったナディアのかんばせが現れた。

    美人と言うより、可愛いと言う表現が似合う少女。

    瞳は零れるかと思う程大きな二重。

    唇は桜色に仄かに色付き小さく引き結んでいる。

    きっと笑うと花も綻ぶ可愛い笑顔になるだろうと伺えた。


    「ナディア、可愛い」


    どうした!?  薬師!?

    普段なら絶対に口にしない台詞も、ナディア限定でポンポンと出て来るのだろうか?

    
    「ねぇ、ナディア。君は俺がまもるから今のままでいてくれよ」


    もう一度、今度はきちんと言われたナディア。

    聞いたのは薬師で、懇願されれば頷かざるを得ない。

    ナディアはじっと薬師を見詰めて、ふわりと笑んだ。


    「わかりました。宜しくお願いしますね。その代わりと言っては何ですが、必ず、私を貴方様のお側に置いて下さいませね」


    交換条件だと言わんばかりのナディアの問い掛けに、薬師も笑って頷くしか無かった。

    こう言う所は、凪もナディアも変わらない。

 
    「では、この得物は櫂に渡すとするかのぅ…… 」


    そう言って晴明が懐から取り出した物は、人型に切られた一枚の白い紙だった。



    
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...