45 / 220
神獣白虎『ルナティ』
魔法と神力
しおりを挟むナディアがリビングでのたうち回っている頃、亜空間から衣服を出した薬師は、少し緊張していた。
何やかんやで予定外の事も多かったが、漸く会えた魂の片割れ。
凪なら緊張感などからっきし無いのだが、己を覚えていないナディアにどう接して良いものか、思案に暮れる。
総ては一からやり直し。
関係性から何もかも。
やりがいは有る。
愛される、自信も。
「考えたって仕方が無いね。成るようにしかならないさ」
そう言い聞かせて寝室を出ると、ナディアがクッションを殴りつけて悶えていた。
呆然と見続けていると、今度はクッションに顔を押し付けたまま固まっている。
何だかほっとした自分がいる。
ナディアはやはり凪だ。
こんな所が変わってない。
薬師は後ろからまるで今出て来ました感を装って、ナディアに、
「ナディア嬢良いお湯だったよ。貴女も入ると…… 」
と、声を掛けた。
「あ、あ、あぁぁ~っ! 薬師様っ、こっ、コレはですね、、あっ、御髪、濡れたままですわっ! 乾かしてしまいましょう!! 」
薬師はタオルの間から、ナディアを盗み見てクスリと笑う。
慌てきってドモる姿が愛らしい。
そう思ったらしい。
「ん、ありがとう。でも女性と違って髪短いからタオルで拭いておけばすぐ乾くよ」
「でも生活魔法の乾燥を使えばあっと言う間ですからね」
言えば飛ぶように帰って来る返事に薬師は関心しつつ、思った事を口にする。
「魔法かぁ、楽しそうだね」
「うふふふ」
まるで子供みたいに瞳を煌めかせる薬師に、ナディアが優しげに、かつ、楽しそうに笑う。
「じゃあ、一度体験してみようかな」
これまた楽しそうに言う薬師に、ナディアは人差し指を立てて、「乾燥」と、一言呟いた。
すると暖かな風がふわりと髪の毛を撫でて立ち上って行った。
一瞬、ドライヤーの風が髪の毛の中を一本一本駆け抜けた様だ。
そんな風に巻き起こった風が一瞬の内に頭を乾かしたのだった。
そんな魔法に薬師は素直に感心した。
「へぇ…コレが魔法なんだね」
初めて『魔法』成るものに接して感心する薬師。
ナディアは、ソファーに腰掛ける薬師の隣にぶんどって、不思議そうに彼に聞いた。
「薬師様の使用されるお力は魔法では無いのですか? 」
「うん? あぁ、全然違うモノだよ。俺や日光月光の使う力は『神力』『神通力』とも言ってね力の成り立ちから違うと思う」
そう言って、薬師はナディアを見つめた。
🌿お知らせ🌿
作中にて失礼します。
『青碧の魔術師』完結に当たり、新作を公開しております。
『悪役令嬢にされた白雪姫のひとり娘は人形使いに恋をする 』です。
あらすじを載せていますので此方も読んで頂けると泣いて喜びます。
侯爵令嬢のサクラ=レナ=ストレインは10歳のある日、偶然、断罪の場に立ち会ってしまった。
家族と共に見た、粛正者と呼ばれる法の番人の行う断罪は、罪を犯した者に取って厳しいものであった。
銀色の髪に赤い瞳の粛正者に、目が離せないサクラは、10歳にして粛正者の彼に恋をする。
そして6年の歳月が経ったある日、サクラは何でもない相手から(婚約者でも何でもない赤の他人)無実の罪で断罪にあう。
そう、その人はただ単に、悪役令嬢が欲しかったのだ。
そんな理由で悪役令嬢にされたサクラの前に現れたのは、10歳の時出会った初恋の青年、『銀の粛正者』扇 睦月だった。
しかも、彼は6年前と寸分違わぬ姿で現れ、濡れ衣を着せられたサクラを、庇ってくれたのだ。
白雪姫の一人娘である侯爵令嬢サクラと、銀の粛正者と呼ばれる謎多き人形使い、扇 朔夜との甘くて苦い恋物語。
どうぞよろしくお願いします。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる