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神獣朱雀『エレオノラ』
巨大ミキサーと悪童の野望
しおりを挟むそんなこんなで普通に手当てをされた薬師は、「こんなの本当に舐めときゃ治るのに」と、悪態を付いて日光に睨まれた。
けれど、そんな事一向に居に返さないのも、薬師様ならではである。
薬箱をカタンと閉じて、日光が言う。
「で、どう言った了見であんな事をしたのですか? 」
流石日光、的確な問いである。
「ん~、嫌、月光の言葉が引っかかってね…… 」
「へっ? 俺っ?? 」
月光が驚いて己を指差す。
「あぁ、血の海って言っていたでしょう。君は。こんな時、こんな所で血の海ですからね。違和感有り過ぎです。異空間に何かあるなと思い、調べてみようかなと思い立ったのですよ」
「で、その結果は?」
「見事な巨大ミキサーでしたよ。何の為に作成したのか理解に苦しみますがね」
そう言った薬師に、話を聴いていた悉陀が、考え込みながら、ある仮説を解いた。
「嫌、意外と理屈は単純明快かも知れないよ。薬師」
「悉陀? 」
「薬師に興味を持たせたかったんですよ。きっとね。何らかの理由で、薬師の血肉が欲しかったんですよ。例えば、治療の為、とか…… 」
それともう1つ、考えられる事があった。
けれどそれは、薬師に言って良いものなのかどうか、考え倦ねている。
悉陀は皆に気付かれないよう息を吐いた。
男ばかりの世界、恋の相手を同棲に求める事は特殊な事ではない。
そして性欲は修行してもなお、最後の最期まで付きまとう。
人間の三代欲求の一つであり、種の保存には欠かせない行為でもある。
それに愛もだ。
これも昇華出来ない代物だから。
彼等二人がした事なのか、それともどちらか一方なのか。
考えたくは無いけれど、多分……。
合っている。
───────────
──────
────
「うふふ……、ごめんねぇ、なた…… 」
薬師様の血と肉(ほんのちょっぴりだけど)だぁ……。
これで御人形を造るの。
身体を少しだけ治して、だってね、薬師様が付けて下さった僕だけの為の傷だもの。
残しておきたいって思うの、普通でしょ。
でね~残った血と肉で、薬師様の御人形を創るんだぁ。
「本物の薬師様では無いけれど、スッゴく似た御人形さんが出来ると思うんだぁ……。漸く愛し合えるぅ、抱いて貰えるんだぁ、楽しみだなぁ。たぁ~くさん、抱いてね。えっちい事しようねぇ…… 」
あはぁ、スッゴく楽しみ~。
ほっんとごめんね。
哪吒。
コレだけは譲れないの、大事な哪吒でもね。
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