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神獣朱雀『エレオノラ』

弟の秘密と世界の秘密

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 話し合った結果? ナディアの母と弟が領主館、父が、帝都のペントハウスに決まった(本当に話し合ったのかは定かでは無い)。

 薬師は、領主館に弟君を返す前に今一度彼を診察してみた。

 身体全体、目、スキャンを身体に施して視ると、身体が弱いと言っている理由が解った。

 お腹の中にいた時に、母親からの栄養が回らなかったのが理由だ。

 勿論、それ意外にも理由はあった。

 弟君は所謂いわゆるバニシングツインと言う奴だった。

 腎臓が4つ、副腎も4つ、尿管も4つ。

 そして有ろう事か、身体の内側に袋状のものがあった。

 胃と腸の隙間に、それは挟まれていたのだ。

 そこから見ても確実に双子のなり損ない。

 薬師は伝えるか否か、逡巡した。

 そして何故か薬師は、彼を見ながら眉を寄せた。


 「確か、君はロベルト君だったよね」


 薬師がそう問い掛けると弟くん改め、ロベルトくんは、頬を染め、パアアアァァァと満面の笑みを顔中で表現した。

 薬師に名前を覚えて貰えていたのが余程嬉しかったのだろう。

 そんな彼に薬師はまた話し掛けた。


 「頭の中に自分意外の意識が同居してない? 君の身体の中に別の子の身体が入ってる。部分的なパーツなんだけど……」


 そう言って薬師は、言葉を切った。

 ロベルトを見ると、知っていたのだろう眉を寄せて泣きそうだった。


 「その子を君から取り出さないと二人とも共倒れするよ」


 薬師がロベルトの目を覗き込んで言った。

 薬師がこの地に降り立ってまだ二日目だと言うのに、余りにも様々な事が起こっている。

 何がそうさせるのか。

 この弟も、薬師が居なければその内寝たきりになり、早死にしていた運命があった。

 そしてこの箱庭は、菩薩が作っただけあって無数の落ち度あなが有った。

 だから、逸れを修復する為の最適任者が誰かと言えば、薬師如来しか居なかった。

 それらを鑑みて、凪が弥勒に誘拐されてこの箱庭に転生させられたのは、本当に凪の保護の為だったのか。

 有る意味、悪童達には黒幕が居るのかも知れない。

 薬師は、思考の海に堕ちてしまった己の意識を現在へと浮上させた。

 そう、今はナディアの弟を治療中だった。

 薬師は軽く首を振り、意識をロベルトへと引き戻した。


「ロベルト君、君の中に何かが居る。その子と話したい。いいかな」


 そう言われて、ロベルトには嫌だと言う選択肢は選べなかった。

 其れほどに、薬師と言う人物は絶対王者だったのだ。

 彼の両親や姉のナディアにとって今から起こる事は寝耳に水だった。

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