無実の罪で断罪される私を救ってくれたのは番だと言う異世界の神様でした

黄色いひよこ

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神獣朱雀『エレオノラ』

双子

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 「あのっ、薬師様、一体どういう事ナノでしょう? 」


 ナディアの言葉にシルベスタ侯爵夫妻は、くい気味で薬師を見ていた。

 自分らの息子の事だ。

 当たり前と言えば当たり前である。

 薬師は一同を見て徐に口を開いた。


「ロベルト君は元々双子だったんだよ。母親のお腹の中に居た時、身体の大半をロベルト君に吸収されてしまった。夫人、身ごもった時に酷い体調不良を起こしませんでしたか? 」

「どうしてそれを…… 」


薬師がにっこりと笑うと夫人は思わず顔を赤らめた。

もう殆ど条件反射と言える。


「苦しむお母さんを見て、もう一人の子は、ロベルト君とお母さんを守る事に決めたんだだろうね。ほっておくと皆が死んでしまうと本能で解っていたんだろう。自分が一番出来ていなかったから。だから自分と言う負担を無くさせたんだ。でも、身体の一部と脳がロベルト君の中に残ってしまった。普通なら死んでいるから機能していないんだけど、彼、彼女かもしれないけど、脳が生きている。ロベルト君の中でね…… 」


 薬師は、其処で一旦言葉を切って皆の様子を見た。

 勿論の事だが、皆呆然としていた。


 「そう言った双子をバニシングツインと呼ぶんですよ。で、その子はそんな状態でもかろうじて生きていて、このままで行くと近いうちにロベルト君諸共死にます」


 そう一同に爆弾を落とすと、薬師は深く息を吐いた。


 「此処に来てから不具合が多すぎる。まだ二日目だぞ、タイミングが良すぎるんだよ! 」

 「弥勒の頭脳勝ちですか? それとも…… 」


 薬師のボヤキに日光が声を掛ける。


 「はっ、『毒を食らえば皿まで』だ。弥勒の思惑に付き合ってやる。はぁ、しかし、こりゃ四神の問題が解決しても、色々と浮上して来そうだな」


 薬師はそう言うと、三人にしか解らない話題をきり上げた。


 パン!


薬師が、1つとても良い音で柏手を打つと、


 「よし、気持ちを切り替えて問題をかたずけるぞ」


 「なぁ、ロベルト。その君の弟君か妹ちゃんに名前ってあるのか? 」

 「いえ、ありません。性別も解りません」

 「その子に伝えて。君達の命を救うから、君を其処から取り出すよ。って」

 「って言うか、聞こえてます『うん、聞こえてる』」


 もう一つの声音に、薬師の口角がゆっくりと上がった。


 「出て来たね、これで本題に移れる」


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