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神獣青龍『香燕』
薬師と白い龍
しおりを挟む「ううっ…… 」
声を聞いて白龍の顔を覗き込む一同。
白髪に開く瞳が赤色だと、薬師達はアルビノを想像する。
けれどこの世界には、白髪に赤い瞳は意外にもポピュラーで、アルビノとはあまり関係無い。
「気が付きましたよ…… 」
「本当、薬師様にクリソツだよねぇ…… 」
「有る意味くそガキ共に狙われた理由が解るような気がしますよ」
白龍を覗き込み口々に感想を述べる面々に、白龍は目覚めたばかりで反応が出来なかった。
しばしの沈黙の後、
「うわあぁぁぁぁぁ───っ!! 」
叫び声が上がった。
文字通り、飛び起きて後退りする白龍。
「声までそっくり。まぁ当たり前なのかなぁ? ね、薬師様? 」
そう言って月光が、振り返って薬師を見た。
其処にはひきつり笑いをしてみせる、半透明に透けて見える薬師が立っていた。
見上げる白龍に、悠然として対峙する薬師。
「あ、オリジナル? 」
『やはり、そう言う意味か……。つったく、あの馬鹿が何考えてんだか…… 』
薬師の言葉に、白龍が眉尻を下げた。
そして、今更だが己が生きている上に五体満足な事に気付く。
「あぁ……、身体が、治っている…… 」
「薬師様が治されました。感謝なさい」
白龍の信じられなさそうな声音に、被せるように日光が説明を入れた。
「あ、ありがとうございます。治してくれたのは僕の身体を使う為でしょうか? 」
『何故そう思う? 』
白龍の問い掛けに薬師は首を傾げる。
ある意味真面目に。
「産まれたときに気付きました。此処に響いて、無理矢理理解させられました。僕はいざという時の貴方の身体のスペアだと…… 」
白龍は、自分のこめかみをつつくと深く深く息を吐いた。
『残念ながら君は私の身体のスペア等ではありません。君はこの世界の神に、私に瓜二つに創られたようですが、ただそれだけです』
「えっ、なっ」
『それに、私は龍では有りませんしね。元は人間ですから龍身は受け付けません。それに、人間に転身する時はその身体を創る専属の作成者が居ますから…… 』
「それじゃ…僕は… 」
薬師の言葉に戸惑う白龍の前に、薬師はしゃがみ込みはっきりと言い切った。
『君には大切な番が居るのでしょう。それ程の自我を持つ者の魂を追いやって、自分がその身体を使うなんて、はっきり言って嫌ですから。そんな寝覚めの悪い事、私がする訳が無い。基、其処までゲスに成り下がる気は無い』
目を丸くして薬師を見る白龍は、薬師に似ていても彼では無い。
白龍を見やりにっと笑う薬師は、やっぱり薬師様だった。
『あぁ、でも君の力は貸して下さい。何せ君の番殿が、私の身体から魂を叩き出して持って逃げてしまったんで、返して貰うよう説得をお願いしたいんですよね』
と、肩をすくめて見せたのだった。
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