無実の罪で断罪される私を救ってくれたのは番だと言う異世界の神様でした

黄色いひよこ

文字の大きさ
95 / 220
神獣青龍『香燕』

青龍と白虎

しおりを挟む

 さて、話は薬師の身体が青龍にさらわれた所まで遡ります。

 ルナティが薬師に結界を張った所です。


 『白龍って青龍は言ってたけど、誰なんだろう? 薬師様がそう呼ばれて浚われたって事は、薬師様に似てるって考えて間違い無いのかな? 』


 と、小さな頭で考えてみる。

 ルナティは、白龍の存在を全く知らなかったし、青龍ともあまり交流は無かった。

 だから、青龍に番が居る事も、その番が薬師にクリソツだと言う事も知らなかった。

 基本、四神の交流は少ない。

 もとい、白虎であるルナティが交流に対して積極的では無いと、言った方が適切か。

 青龍、朱雀、玄武の三神がよく交流を図っていると言うだけだ。

 まぁ、それには理由が有るのだが、此処で話すのも何だから、時がくればと言う事にしておく事にする。

 と、説明とルナティが思案に暮れている間に、青龍は己のねぐらに戻って来たらしい、本性を晒してもゆったりと出来る部屋に到着した。


 『この身体があれば、白龍は復活する…… 。あの者達が言った通りか…… 。悔しいが本当の事であったか…… 』


 そう聞いて、ルナティは首を傾げた。

 『あの者達』青龍は、そう言った。

 確かに。

 何とはなしに解ってしまう所がやだね~と、思考するルナティ。


 ── 青龍が関わって、薬師様を攫って、なおかつ、白龍とやらが薬師様にそっくりってきたら…あの者達って、あの二人しか居ないよね ──


 その考えに間違いは無いだろうと見越して、本性を晒した青龍の前にルナティは現れた。

 正確には、薬師の肩の上なのだが。


 『久し振り青龍、何やってんの。こんな事して』

 『お前は何じゃ!? 』

 『何じゃってね~、白虎、ルナティだよ! 青龍っ!! 』

 『は? お前が白虎だと!? 嘘も休み休み言え!! 大切な友の名を語る等と不届き千万!! 其処になおれ、叩き潰してやろうぞ!! 』

 『いい加減にせぬかっ! 儂が白虎か否かはぬしが掴んでおるそこな御仁の魂が、その身に戻れば証明して下さるわっ! このたわけが! その方はヌシを救う為にわざわざ足を運んで下さったと言うのに、香燕、ぬしはなにをしておるのだっ! 』


 と、ルナティは、白虎らしく啖呵を切ったものの、見た目ライオンちゃんな為、威厳も減った暮れも無かった。

 なのに、怯んだのだ。

 青龍、香燕が。

 薬師を掴んでいた手が思わず開いた。

 くずおれて横倒しになる薬師の身体。

 逸れを庇うようにルナティは、薬師の前に仁王立ちになった。


 『ううっ、その物言いは白虎殿か!? 本当に? 』

 『しつこいわっ! 青龍っ! 』

 『ごめんなさい! すいませんっ!! 』


 ふんっ、と、ドヤ顔をしてみせる白虎を、薬師達が見たら何と言うか……。

 まぁ、目をつむって声だけ聞けば威厳は、まぁ、有る。

 恫喝した為に声も低かった。

 だが、似合わない。


 『でも、聞いたのよ。白龍にそっくりの身体が来るって……。 その身体に白龍の魂を移し替えれば白龍は復活するって…… 』

 『そんな寝ぼけたような話、誰が言ったんだ? え? 青龍は、本気にしたんだ? その人、見て解んない? 冷静に見て解んないの、青龍は? 』


 青龍は、ルナティに言われて改めて冷静に薬師を見た。

しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを 

青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ 学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。 お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。 お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。 レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。 でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。 お相手は隣国の王女アレキサンドラ。 アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。 バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。 バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。 せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

処理中です...