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神獣青龍『香燕』

青龍と白虎

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 さて、話は薬師の身体が青龍にさらわれた所まで遡ります。

 ルナティが薬師に結界を張った所です。


 『白龍って青龍は言ってたけど、誰なんだろう? 薬師様がそう呼ばれて浚われたって事は、薬師様に似てるって考えて間違い無いのかな? 』


 と、小さな頭で考えてみる。

 ルナティは、白龍の存在を全く知らなかったし、青龍ともあまり交流は無かった。

 だから、青龍に番が居る事も、その番が薬師にクリソツだと言う事も知らなかった。

 基本、四神の交流は少ない。

 もとい、白虎であるルナティが交流に対して積極的では無いと、言った方が適切か。

 青龍、朱雀、玄武の三神がよく交流を図っていると言うだけだ。

 まぁ、それには理由が有るのだが、此処で話すのも何だから、時がくればと言う事にしておく事にする。

 と、説明とルナティが思案に暮れている間に、青龍は己のねぐらに戻って来たらしい、本性を晒してもゆったりと出来る部屋に到着した。


 『この身体があれば、白龍は復活する…… 。あの者達が言った通りか…… 。悔しいが本当の事であったか…… 』


 そう聞いて、ルナティは首を傾げた。

 『あの者達』青龍は、そう言った。

 確かに。

 何とはなしに解ってしまう所がやだね~と、思考するルナティ。


 ── 青龍が関わって、薬師様を攫って、なおかつ、白龍とやらが薬師様にそっくりってきたら…あの者達って、あの二人しか居ないよね ──


 その考えに間違いは無いだろうと見越して、本性を晒した青龍の前にルナティは現れた。

 正確には、薬師の肩の上なのだが。


 『久し振り青龍、何やってんの。こんな事して』

 『お前は何じゃ!? 』

 『何じゃってね~、白虎、ルナティだよ! 青龍っ!! 』

 『は? お前が白虎だと!? 嘘も休み休み言え!! 大切な友の名を語る等と不届き千万!! 其処になおれ、叩き潰してやろうぞ!! 』

 『いい加減にせぬかっ! 儂が白虎か否かはぬしが掴んでおるそこな御仁の魂が、その身に戻れば証明して下さるわっ! このたわけが! その方はヌシを救う為にわざわざ足を運んで下さったと言うのに、香燕、ぬしはなにをしておるのだっ! 』


 と、ルナティは、白虎らしく啖呵を切ったものの、見た目ライオンちゃんな為、威厳も減った暮れも無かった。

 なのに、怯んだのだ。

 青龍、香燕が。

 薬師を掴んでいた手が思わず開いた。

 くずおれて横倒しになる薬師の身体。

 逸れを庇うようにルナティは、薬師の前に仁王立ちになった。


 『ううっ、その物言いは白虎殿か!? 本当に? 』

 『しつこいわっ! 青龍っ! 』

 『ごめんなさい! すいませんっ!! 』


 ふんっ、と、ドヤ顔をしてみせる白虎を、薬師達が見たら何と言うか……。

 まぁ、目をつむって声だけ聞けば威厳は、まぁ、有る。

 恫喝した為に声も低かった。

 だが、似合わない。


 『でも、聞いたのよ。白龍にそっくりの身体が来るって……。 その身体に白龍の魂を移し替えれば白龍は復活するって…… 』

 『そんな寝ぼけたような話、誰が言ったんだ? え? 青龍は、本気にしたんだ? その人、見て解んない? 冷静に見て解んないの、青龍は? 』


 青龍は、ルナティに言われて改めて冷静に薬師を見た。

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