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神獣青龍『香燕』
哪吒と愛染⑥
しおりを挟む「あ、あぁ……? なんか、薬師様が優しい…… 」
月光が感嘆の声を上げる。
彼にも感じられたのだろう、この珍しい現状を。
正に信じられないモノでも見る様子に、愛染が驚きの眼で薬師と月光を代わる代わる見た。
勿論、インコなのでその動きは超絶に愛らしい。
正に愛玩動物であった。
逸れを見て「可愛い❤」と呟くナディアに、薬師は彼女の後ろに回り込み鳥籠ごとガッシッと、抱きすくめた。
「ナディア、駄目ですよ。浮気は…… 」
「えっと、薬師様? 」
「私意外の男に気を向けるのはいただけませんね。帰ったらお仕置きですよ。ずっと我慢してきましたが、私もそろそろ限界です。帰還したら夫婦に成りましょうね」
と、ナディアの首筋に顔を埋めながら、周りに聞こえるように爆弾を投下する薬師様であった。
流石、薬師様。
「うげっ、吐く。ゲロ甘過ぎて砂糖吐くぅ
…… 」
そう、ブッコミ発言をして、薬師から拳骨を貰ったのは月光だったと言うことは言うまでも無いだろう。
そして、そんな薬師に物申せる人物が一言。
「薬師様、蜜月など、入らせませんからね。番の蜜月は総て終わってからです」
「いゃ、でもな……、『どうしても、ナディアを妊娠させなくてはならない事情が出来た』少しくらい…… 」
日光のキツい一言に反論を混ぜて言い返す薬師は、大切で脇侍二人にのみ話たかった事を、思念にて送りつけた。
それが、『』内の言葉である。
そんな薬師の弱い言葉に思案顔の日光。
だが実はこの時に、日光は薬師に思念を飛ばしていた。
『理由をお伺いしても、きっと教えては下さらないのでしょうね……。薬師様は』
『済まんな、ちょっと理由は言えない』
『分かりました。三日です。3日間、時間を差し上げましょう。我等はその間、玄武の事を調べます』
ハアッ、と、日光が息を吐いた。
薬師のする事に間違いは無い。
けれど、何かが引っかかる。
何かを見落としている。
一抹の不安が過る日光であった。
「薬師様、この子の事ですが…… 」
ナディアがインコを見ながら呟くと、「あぁ、そうだったね」と薬師は言葉を返した。
愛染インコが目を丸くして、ゴクリと唾を飲み込む。
その姿も可愛いと思ったが、ナディアは口には出さずぐっと耐えた。
一言可愛いだ等と宣えば、きっとまた会話が脱線すると考えての行動に、正解だと拍手を贈ろう。
「哪吒が失敗すれば、愛染はこの世界の何処かの家に、人間の女の子となって転生してもらいます。未来永劫、哪吒は愛染を見つけるまで、世界をさ迷わなくてはなりません。愛染は、記憶も無いひとりの人間の女の子に、哪吒はその女の子を探してさ迷う者に。お互いに成ってて頂きます」
にっこりと笑う薬師と、想像を絶する程の彼らへの罰。
ひと月で徳などつめる訳が無いのだ。
実質、今薬師が言った事が本当の彼等への罰だった。
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