無実の罪で断罪される私を救ってくれたのは番だと言う異世界の神様でした

黄色いひよこ

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epilogue

可愛い息子②

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 ルリコウ家での櫂とナディアの夫婦の寝室で、今、一大イベントが行われていた。

 御多分に漏れず(何処の家でもそうだと思うのだが)この家の家長は、熊のように廊下をうろついている。

 逸れを見ていた一人息子のアイセンレイトは、つい一週間前に6歳の誕生日を迎えたばかりで、逆に落ち着き払った様子で櫂を見ていた。


 「父上、うろうろしていても妹はまだまだ産まれま●●●●●●●●●●せんよ」


 ジト目で父を見る彼には、愛妻がお産で苦しむ姿は見たくないと言って、大層気を揉む様子の父を、さっきからずっと見せられているのだ。

 右往左往する父親が、胡乱うろんじた目で見る6歳児に言う。


 「アイセンレイトも、父になる頃には同じ様な事をしていますよ。きっと」


 他の大人が見れば、確実に大人気ないと言っていただろうが、残念ながら今此処には父と息子しか居なかった。

 櫂の義父義母、義理弟、に義理妹、脇侍二人は朝食に行っている所だ。

 ふと、うろうろしていた櫂が、すっと息子の隣に腰掛けた。


 「アイセンレイト、何故産まれるのが妹だと思うのですか? 」


 「あ、それは世界樹ユグドラジルが教えてくれました」


 にぱーっと笑う息子に罪は無い。

 総ては、アイセンレイトと繋がっている世界樹ユグドラジルのせいだ。

 そして元を正せば、哪吒の魂の一部を世界樹ユグドラジルに与えた櫂のせいになる。

 哪吒の魂の一部を持つ事によって、世界樹ユグドラジルは、思考する事を覚え世界の把握を覚えた。

 そしてアイセンレイトは、その哪吒の生まれ変わりだ。

 世界最凶、最悪の童、悪童と言われた哪吒が世界の終わりの最期の最後で心を入れ替え、世界に自身を捧げた行為。

 薬師如来は、その魂に願いを込めて育てる事を決意したのだ。

 そしてそれは今の所、成功と言える結果を出していた。


 「僕は弟より妹が欲しかったので、スッゴく楽しみにしてるんです。勿論、弟だったとしても可愛いがれますよ。父上」


 妹が良いと言いつつも、産まれたらどっちでも可愛いと言う息子に櫂は、ニコッと笑って、


 「アイセンレイトは良いお兄ちゃんになるな。お母様は、赤ちゃんが産まれたら、お前だけを構ってあげることが出来なくなります。赤ちゃんは一人では何も出来ませんからね。だから、アイセンレイトも、お母様を手伝っていい子で居てあげて下さいね。赤ちゃんを可愛がってあげて下さい。その代わり、アイセンレイトはこの父が、今まで以上に愛してあげますから…… 」


そう言って、可愛い息子の頭をぐりぐりと撫でまくった。

 アイセンレイトが、きゃーっと笑い転げるまで。


 そして、薬師は宣言通り、アイセンレイトを跡継ぎ●●●にすべく、傍らに置いて次代の薬師に育てて行ったのだった。

 いゃ、愛し方がすこ~し違うよね。





 「父上、この壷は? 」

 「あぁ、それは薬壺やっこと言ってね、一人前の薬師に成った時、現れる壺ですよ。ですから大切にして下さいね。アイセンレイト」

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