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epilogue
可愛い息子④
しおりを挟む「にーに、フィーとあそぼ。フィーはにーにが大好きだから、遊んでくれないとつまんない」
そう言って、ルリコウ家の天使はプクりと頬を膨らませた。
ぺちぺち。
「にーにっ!! 」
くわっと愛らしい笑顔の女の子に、一瞬角が生えた。
気がした。
この家、最強の人物。
それが、このおちびさんなのである。
すると、アイセンレイトの瞳の奥に一瞬、光が揺らめいた。
逸れを目ざとく見つけたフィーはガバッとアイセンレイトに抱き付いた。
「にーに! はやくよくなってフィーとあそんでねっ!! 」
アイセンレイトを引き戻したのは、ルリコウ家の天使だった。
「良いか、レイト。折り合いを付けて必ず戻って来い。お前は父さんと母さんの息子なんだから…… 」
そう言って櫂は三人を抱き寄せた。
アイセンレイトが狂って二週間が経とうとしていた。
その間フィーは毎日兄の元へ通い、色んな話をしたり遊んだりしていた。
勿論、ナディアや櫂も毎日彼の元へとやってきては言葉を掛けていった。
そのお陰なのか、瞳は赤いままではあったが、其処には生気が戻ってきていた。
もう一息。
アイセンレイトが復活するまで、後一息。
今日も今日とて、フィーがアイセンレイトの居るベッドの上でお絵描きをしていた。
「あかい~🎵いろの~リンゴは🎶~おいしいんだよ~っ♪」
赤い色のクレヨンで画用紙に描くのは、歌の通りリンゴ。
逸れをいくつも描いていると、
「何……してる…の? フィー…… 」
と、問い掛ける声がフィーの耳に届いた。
「あのね、リンゴをかいてるんだよ」
フィーは、アイセンレイトを見上げると、にぱぱっと微笑んだ。
まるで何事も無かったかのように。
それを見たアイセンレイトの目に、涙がポロポロと零れ落ちる。
「にーに、どうしたの? ポンポンいたい? とうちゃま、よんでくる~っ」
「フィー、待って…… 」
櫂を呼びに行こうとしたフィーは、アイセンレイトに捕まって、ぎゅっと抱きしめられた。
「フィー、ありがとうね。変わらずにーにって呼んでくれてありがとう…… 」
泣き続けるアイセンレイトに、フィーは、普段から父親にされてるのだろう、
「いたくないよ~いたくない~。いたいのいたいの~とんでゆけ~」
と言って、アイセンレイトの頭をなでなでと撫でた。
それは、駆けつけた両親が彼の部屋に突入するまで続いたのだった。
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