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第二部
プロローグ①
しおりを挟む「では櫂、行って参りますわね」
「あぁ、気をつけて。青龍と白龍には行けなくて済まないと伝えて置いて下さい」
「解っていますわ。子供達の事、宜しく頼みますね」
申し訳なさそうに眉をしかめるこの家の主に、夫人はにっこりと笑った。
夫人の栗色の髪と瞳はありきたりの色ではあったがその姿は二人の子供を産んだにしては、若々しくて可愛い。
その彼女の夫は、そう、女神ですら平伏すと言っても過言では無いと思える程の美貌の主であった。
「ギルドからの依頼でなければ、ナディアのエスコートが出来たのに……。やっぱ、今からでも止めようかな…… 」
「駄目ですよ、櫂。貴方は薬師如来様でしょう」
「いや、な、ナディア。それと討伐以来は関係ないから」
目尻を下げながら言う薬師に、ナディアはやんわりと釘を刺す。
「嘩嚥国の青龍に神殿での御茶会に招待されただけですのよ。それに、朱雀も玄武も居ますのよ。身重の玄武の祝も兼ねての御茶会です。何の心配が有るのでしょう? 」
そう言って、ナディアはコロコロと笑った。
行くのは薬師のドコでもドアでガチャリです。何の心配も有りません。
ナディアは沢山のお土産を持参してドアを潜り抜けて行きました。
それが薬師がナディアを見た最後でした。
(少し語弊が有る……かな?)
二聖獣が慌てた姿で転がり込んで来た時、薬師は仕事で留守でした。
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「こっ、んのぉぉっ、貴様ら其処をのきやがれっ!! 」
そう叫んで、薬師は目前の魔物の群れを錫杖を振るって薙ぎ倒した。
厄介な者共が徒党を組んでいる。
アンデット系の魔物で、アンデットキングが文字通り王様となり、一つの王国を築いていた。
とんでもなく面倒くさい仕事である。
脇侍二人が此処に居れば任せて離脱出来ると言うのに、こんな時に限って二人は地球に用事が出来て行って貰っている所だ。
レギオンと化しているこのアンデット軍団を、全滅させる事が、出来ずに困っていると言う訳では無い。
其処は薬師様だ。
瞬殺に少し手惑う程度のものだ。
ならば何故、脇侍二人を一瞬でも宛てにしたのか。
それはナディアが拐かされたと言う連絡が入った為だった。
命の心配はしていない。
仮にも彼女は、宵闇の女神と呼ばれる女だ。
薬師は、少しでも彼女に触れる男が居る事に我慢ならなかった。
と、そう言う事なのだ。
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第二部始めます。
切り替える事も考えましたが、こちらでの連載がやはり読みやすいかと思い至りましたので、こちらで書かせて頂きたいと思います。
お話としては、一部程考えてから造っている訳では無く、少し見切り発車と成りますがどうぞ宜しくお願いします。
たまに息抜きに、番外編更新するかもしれませんm(_ _)m。
応援ありがとうございます!
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