無実の罪で断罪される私を救ってくれたのは番だと言う異世界の神様でした

黄色いひよこ

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第二部:事の始まり

兎騎士と飛空挺

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「ヤッホー! 坊ちゃま!! お迎えにあがりましたよぉ! 」


飛空挺の看板に居たのは兎耳の獣人騎士。

リーリア、片方の耳をコテンと折り曲げた兎獣人である。

彼女も俊傑に付いて来た忠義に熱い女騎士であった。

彼等は、薬師の命でルナティとナディアを別ルートで探していたのだ。

俊傑達は獣人だから匂いを辿れる。

薬師は、彼等とは別のアプローチを掛けていた。

そしてナディアを見付次第ルナティと共に護衛の任を薬師から受けていた……、と、言うのが二人が此処に居る理由であった。


「リーリア! ナイスタイミング」


俊傑はリーリアに向かってそう叫ぶと崖に上手く船体を近付けた飛空挺に、ナディアとルナティを呼び寄せた。

そして、三人が乗り込むと飛空挺はゆっくりと崖から離脱したのだった。


音もなくスッと離れる飛空挺は、ゆっくりと谷間を進んでいく。

その下には、ナディアが通ってきた忘れ草の花々が一面に咲いていて、驚くほど綺麗な光景だった。


「見た目は綺麗なんですけどね、あの花粉を吸えば確実に近年から過去十年程の記憶を失います。解毒剤は有りません。花の効力を止める中和剤なら存在しますが、この花の毒に侵された場合の解毒剤は無いのです。ただ、毒はそのうち身体から抜けていきます。そうすれば記憶は戻りますが、抜ける時期が人によってまちまちなんですよね。何時記憶が戻るのかは、一概には言えないのが難点なのですよ…… 」


そう言って俊傑は眉尻を下げた。


「ん~、でも大丈夫だと思うわ。だって忘れたのは此処五、六年の事でしょう? わたくし、誰の娘で、家がどこに有るか、知って居ますもの。ちゃんと家に帰れますわ! 」


そう言って、胸を張ってトンと叩くナディアは、どや顔の真っ最中である。

逸れを見たルナティと俊傑は深く深く、溜め息を吐いた。


『そりゃね~実家ならね~、覚えるでしょ、うん…… 』

「今のナディア様のお屋敷は世界樹の根元ですからね~。カンペキに忘れてますよね~」


と、二匹は聞こえるようにモノを言う。


「世界樹? 」


首を傾げるナディアを見て、「『其処からか~』」と、嘆く二匹であった。

そんな折に、飛空挺が大きく揺れた。


「どうした!? リーリアっ!? 」


俊傑が舵を握るリーリアに向かって叫んだ。


「何かが攻撃を仕掛けて来ています!! 」

「なんだとっ!? 山東の船だと知っての狼藉かっ!? 」


リーリアの言葉に俊傑が反応する。


「ワイパーンと、ドラゴンの戦隊ですっ!! ドラゴンブレス、来ます!! 」


リーリアの叫びと同時に、船体が大きく傾いだ。

炎の玉が船体スレスレを通り過ぎる。

それはリーリアが大きく舵を切った結果であった。


傾いだ船の中をティーセットがテーブルから雪崩落ちナディアの身体が船体の角へと流される。

壁に激突し、その衝撃でナディアは気を失った。
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