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第二部:後宮
ルナティのポケットから出て来た物
しおりを挟む『俊傑とリーリアさんは、地下牢に捕らわれているようなので、牢屋破りの道具を渡してきました~っ。だから大丈夫だと思いますっ。僕は脱出の為の抜け道の確保と、騎竜の確保をして来ますのでナディア様、この鉄格子切っておいて下さい!! 』
そう言ってルナティが(いつの間に取り付けられたのか)お腹のポケットから取り出し、ナディアに渡したのは紛れもなく『糸ノコ』。
そして、ぴょんぴょんと飛び跳ねて向かった先は、鉄格子のはまった出窓の、丁度人一人が座れそうな窪みの上だった。
『此処、四つまでは外せたんだ~! でも後一つが間に合わなくて、お願い!ナディア様~っ、ね、外しておいてくれませんか? 』
などと鉄格子を指差しつつ、く~っきっ、と首を折り曲げた仕草をするその姿は、とんでもなくあざとい。
この期に及んで『鉄格子を切っておいて貰えませんか? 』などという無茶を言い募るお主は鬼か、と、ナディアが思ったか否かは定かでは無い。
が、どう考えてもコレが無茶振りなのは、言うまでも無い。
「えぇっ!? コレを私がするのですか!?」
そう悲痛な声で嘆くナディアに、ルナティは『うん』、と言って頷く。
『大丈夫! 死に物狂いでやったら出来る! 』
それは無い、絶対に無い。
ナディアは令嬢(元だけど)なんだから。
糸ノコで、鉄格子を切る能力なんて有りはしない。
それでもルナティは、『じゃあ頼むね~っ』と言って外した鉄格子を元の位置に戻して出て行ってしまった。
両手をぶんぶんと振り回しながら。
「ちょっ……、私にどうやって…… 」
途方に暮れるナディアだが、時は待ってくれない。
「非力な侯爵令嬢にどうしろと……、でもやるしか無いのですよね…… 」
ナディアはそう呟くと、放り出されている糸ノコを手に取った。
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