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第二部:後宮
思い出してはいないけれど……
しおりを挟むルナティは、最初に目覚めたわたくしに、何と言ったかしら……。
と、ナディアは思考する。
── 確か、俊傑君にカイ=ルリコウ様を知っているか? と、聞かれたのよねぇ。その後にルナティちゃんに、『 じゃあ、じゃあ、坊ちゃまは? レイト様やフィリー様の事は?? 覚えて無い? 』って聞かれたのよ… ──
と、記憶を探っていた。
レイトとフィリーって誰かしら?
ルナティちゃんがあんなに嘆いたのですもの、きっとわたくしが忘れているのね。
そう思えば、ぎゅっと胸が締め付けられる。
ポロリと涙が落ちそうになって、ナディアはぐっとこらえた。
自分が泣いちゃいけない。
泣きたいのはきっと、忘れられた側の方だ。
そう己に言い聞かせて、ナディアは耐えた。
落ち着くまで思考停止させて、その後また物思いに耽る。
旦那様がいて、ルナティちゃんが坊ちゃまと呼んだのがレイトくんでフィリーちゃんは女の子。
旦那様は、カイ。
もしかして、夢の中のあの男の人?
だったら……レイトくんとフィリーちゃんは……、わたくしとカイ様のこども……。
其処まで考えて、ナディアはかああああと、全身茹で蛸になった。
お顔は解らなかったけれど、お声は覚えて居ますわ。
耳にとても心地良い高くも低くも無いお声。
巷で言われる美声なのですわ。
わたくし、思わずうっとり致しましたもの。
ナディアは歩きながら心の中で悶えていた。
その時、丁度到着したのか侍女が立ち止まりナディアの方に向き直した。
ナディアの様子が馬鹿げていても微動だにしない所は流石、小国の王扱いされている国守の城の侍女である。
良く教育されている。
あの馬鹿国守のせいでは無いだろう。
あの馬鹿国守は、周りに恵まれているのだ。
ナディアは、サロン── 女の園 ──へと突入する覚悟を決めた。
此処はサロンなのだ。
居るのは第一夫人だけでは無い筈だ。
此処を切り抜けて、わたくしは必ずあなた達の元へ帰ります。
旦那様、私の子ども達────。
待っていて下さい、ナディアは頑張ります!
取り敢えずはこれを乗り切りましょう。
ナディアは心の中でガッツポーズをすると、侍女の後からサロンに入って行った。
────────────────────
お知らせです。
『女神に殺されて死神にされました。でも助けた令嬢がドストライクで困ってます 改訂版 』
を、新しく連載させて頂いてます。
短編への書き直しなのですが、滅茶苦茶加筆されています。
長編から短編にかき直される中の加筆です。
状況としては、2話しかなかったprologueが5話に増えた、と言う具合でしょうかね。
良かったら読んで頂けるととっても嬉しいです
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