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prologue
女神の御使い③
しおりを挟む其処で実戦をこなせて行けば、零は騎士となり、其処で初めて黒い騎士服を与えられた。
たった独りきりで御使いの役目に勤しんでいれば、仲間が出来、それは騎士団へと成長した。
総ては、零の努力の賜物だ。
彼は、部下の信頼も厚く騎士団の団長となった。
『フォルトゥナの守護騎士』候補に据えられたのも彼の実力の内の一つだ。
そして零は、守護騎士候補になって初めて、フォルトゥナは代替わりする事を教えられた。
其処で初めて彼は、最初に感じた引っ掛かりの正体を知った。
そして……。
「フォルトゥナ! 」
「あぁ、零君、おかえり~。ご苦労様~」
彼女は相も変わらずコレだ。
そう思いながら、真っ黒なローブを目深に被った儘、零は姿勢を崩し座すフォルトゥナの前に立った。
あの日から10年だ。
フォルトゥナからの許可が、まだ出ない。
零は好い加減じれていたのだ。
そんな彼を見てフォルトゥナは手をひらひらと動かして運命の力でもって零の被っていたフードを跳ね上げさせた。
彼のやたらと美しい美貌が露わになるが、零は彼女の行為に声も荒げず苦い顔でねめ付けるだけだ。
「良い顔に成ったねぇ…… 」
そう言うフォルトゥナの言葉を無視して勝手に本題を語り出す零。
「どういう訳だ、会いにも行かせずあの子をほったらかして、10年だ! 好い加減行かせてくれよ…… 」
零の言葉に、フォルトゥナはにっこりと笑う。
「良かったよ、零君があの子に惚れてくれて。そうでないと困るんだ。本当の意味で…… 」
フォルトゥナは、上機嫌、零は不機嫌だ。
零はなるだけ此処に来て、彼女の様子を『時映しの鏡』で確認してゆく。
現世で推しだった悪役令嬢。
まだ、体験版ソフトですら無かった彼女が出てくるゲームを開発して、キャラデザ段階で可愛くて採用した。
零は生前、あるトラウマを抱えていた為に、三次元の女、それも美女がてんで駄目だった残念なイケメンだった。
実はとんだゲームオタクである。
趣味と実益が兼ねて社畜になっていた訳だが、全然辛く無かった。
今現在、ソレが改善されたかと言うと、美女嫌いに関しては健在である。
だが、彼女に対しては平気だった。
美女と言うより可愛い部類に入るし、己を分析してみれば、偏に彼女が三次元化しても、二次元の認識でしか無い為だと解っているからだ。
だから平気。
だから彼女は手に入れたい。
男として。
異性が好きなのは間違い無いし、惚れた女に男は触れさせたくない。
うん、至って正常な考えの持ち主であった。
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