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無実の罪で投獄された令嬢
投獄された令嬢⑥
しおりを挟む「洗浄及び乾燥。但ししっとりとした肌とさっぱり感は外さずに頼むよ風と炎のエレメンタル」
と、何故唱える言葉は、日本語だ。
聞いた事の無い言葉は、とても滑らかで優しい。
そう感じた儘、キャサリンに触れる風と熱は言葉のまま優しく彼女の肌を撫でて行き、すっかり綺麗でエステを施された後のようにしっとりすべすべ餅肌へと、力を取り戻していった。
これは零に使役された精霊が、主に呼び出された嬉しさに、もっと誉めて貰おうと言う欲が具現化した賜物であった。
勿論、目を閉じているキャサリンには一切合切知られてはいない。
目を開けていたならば、きっと彼女は精霊の乱舞を目にしただろう。
それはそれは美しい乱舞を。
さて、そうこうしていると、キャサリンはふわりと頭から毛布を掛けられ、ふかふかな場所に降ろされた。
すぽんと頭を毛布から出さされると、
「目をあけていいよ」
そう零に声を掛けられて、キャサリンはゆっくりと目を開けた。
目の前には、もこもこの暖かそうな純白のワンピース。
毛織物なのだが素材がよく解らない。
うさぎの毛のようにモコモコなのに、まるで真綿のように軽く見えるそれに、キャサリンは目が釘付けになった。
「あ~、似合うと良いんだけど、これ。着て、俺の見立てで申し訳ないんだが…… 」
そう目の前から言葉が飛んできて、キャサリンはワンピースから声の主へと目線を上げた。
そして、キャサリンは目を見張った。
あぁ、この人は人間じゃ無い……。女神の御使い、そう仰ったそのままなんですね……。
それが、キャサリンが 零を初めて見た第一印象であった。
キャサリンが零に釘付けになっている時、彼はフォルトゥーナから渡された衣装を身に付けている最中であった。
白い肌に黒い衣装が映える。
何の装飾もない闇夜のような、そう、騎士服に似ている。
猫っ毛なのだろう細くて柔らかそうな髪質をしていて、不思議な見たことも無い髪型で短く切ってある。
前髪は少し長めで、左右の耳の下半分が見える位まで左右は切りそろえられていて、後頭部は首もとまでしがない長さだ。
そしてその色は黒く、この色も夜の闇のよう。
目鼻立ちは左右対象でその唇は、紅を引いたように赤かった。
伏せられたように下がっていた目線が、不意に上がった。
まぁ、本当は不意にと言う訳では無く、上着の釦を留めるために目線が下がっていただけなのだが、ポカンと彼を見ていたキャサリンにはそれが解らなかっただけだった。
「零、貴方と言う人は本当に罪作りな人ですねぇ…… 」
「は? 何だよそれ」
ヘンディクが何を言いたいのか全く解らない零は、襟元を正した後でキャサリンの方を見た。
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