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新米女神と女神の守護騎士
光の祝福
しおりを挟むキャサリンが、フォルトゥナになる気になった頃、扉の外ではドアの左右に見た目対照的な男が二人、警備兵宜しく佇んでいた。
言わずとしれた筒井 零と、ヘンディク・アトラタンだ。
白の騎士団『白翼』の騎士団長と、黒の騎士団『黒翼』の騎士団長。
全く同じデザインの騎士服の、白バージョンと黒バージョン。
旧フォルトゥナが白で新フォルトゥナが黒だ。
零が目線だけで天井を見上げた時、彼の頭上からまるで雪の結晶のような光の粒が、きらきらと舞いながら降り注いだ。
それは、祝福の光と言われるおめでたい代物。
巷ではそう呼ばれる現象で、主に新しい神が生まれた時に、その本人に降り注ぐと言われている現象だった。
そう、この場合新生フォルトゥナが生まれたと言う証で、同時に彼女の守護神の誕生をも意味する。
2柱が生まれた証であった。
勿論、この祝福は新生フォルトゥナであるキャサリンにも降り注いでいる。
筈だ。
「新たなるフォルトゥナ様が誕生したのですね。おめでとうございます、零。これで貴方も神の一員ですね。心置きなく想い人を娶れますよ。私も漸くお役御免です」
そう嘯くヘンディクに零はぐっと眉を潜めると、
「そう簡単に白の騎士団を解散させねぇからな。キャサリンはまだまだ未熟だ。どちらかと言うと、フォルトゥナ見習いってとこだろ」
「そうですねぇ、まぁ、貴方もそんな彼女だからこそ、側で付き従い道を指し示して差し上げるのですよ。我が不肖の弟子よ」
強めに言ってみたが、やり返されてしまった。
其処へ慌てた風な足音が、二人の元へと響いて来た。
どんどん近付いて来る。
只ならぬ様子に、ヘンディクはおや?と、眉を上げ、零は右手で片目を覆う仕草をする。
足音で誰が来たのか解ってしまったからだ。
「アーッ!! 此処に居たーっ!! だんちょおぉぉ~」
「廊下は、走るなっ!! 」
明らかに黒い騎士服を着た中肉中背の金髪青年が、血相を変えて走って来てるのだ。
間違い無く、零の部下である。
そして、彼を慕っている人物の一人でもあった。
零の目前に到着した彼が、肩で息をする。
其処まで全力疾走する理由が何処にあるのか?
零が疑問視するのも不思議では無かった。
「ハ~ッ、ヒ~ッ、だんちょお、やっと、見つけたぁ、ハ~ッ…… 」
「お前なぁ……、はぁ、無理して話すな、呼吸を整えろ。何、息切らしてんだよ。運度不足か? 」
それなら訓練メニューを増やすぞと、案に言われている青年。
彼は肩で息をしながら、右手をぶんぶんと振った。
「訓練所から全力疾走してきたんですよっ!! 察して下さいよぉ…… 」
「訓練所からの全力疾走くらいで呼吸を乱すな。情け無い」
零は、泣き言を言う青年にそう言うと、彼は顔を上げて何か言おうとして、目を丸くして固まった。
「は、えっ? うわっ、団長の素顔初めて見た……。ってか、見れてる…ぇ、マジ? マジっすか!? 」
マジマジと、それこそ穴が開くかと言う程、零を見ながら顔を近付ける金髪美青年を、零は軽く彼の額に手をやって押しのける。
「あたたたた、ちょっと急に押し返さないで、いっ、だだだだ、イダッ、だんちょお、っ、」
「近い!! お・ま・え・は、顔が近すぎんだよ! スレイッ!! 」
スレイと呼ばれた美青年は、有り得ない角度に首をひん曲げられて、悲鳴を上げていた。
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