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5話 レベレーター
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5話
次の日
俺はまた最初の白い空間にいた。
([ディストピア]へようこそ)
(ここはかつて生命が住み消えた世界。あなた達開拓者はモンスターを倒しこの世界のどこかにあるとされる本当のディストピアを探し出してください)
これが雪ムラの言っていたストーリーか、意外と簡単でありきたりなストーリーだな。
(クロッド、待ってる)
最後の言葉だけ妙に生々しいな。
眩しい光が俺を包む。
「おう、兄ちゃん。遅かったな」
目を開けると昨日いた店の中だった。
「雪ムラはまだ来てないのか?」
「もうとっくに来て出て行ったぞ」
「早いな」
「今日はもう少ししたら街中が混むからな。それを見越して早めに来たんだろ」
「混む?」
「レベレーターの1人がこの街に来るんだよ。あいつらはこの[ディストピア]にとっては1流芸能人みたいなものだ。一目見ようと人だかりができるからな」
「そんな奴が何でこの最初の街に来るんだ?」
「なんでもこの街の地下を調べているらしい。隠しダンジョンか何かさがしてるんじゃないのか」
隠しダンジョン、そそられる言葉だ。
それよりもレベレーターがこの街に来る?
絶好のタイミングだ。
雪ムラの言葉通りならあの声の正体が分かるかもしれない。
「兄ちゃん、話しかけようとは思うなよ。雪ムラに勝ったとはいえブロンズなんて相手にされないぞ......行っちまった」
店主の言葉を聞かないまま店の外に飛び出した。
とりあえず人が多いところを目指すとしよう。
辺りを見渡すと街の北側に人だかりができていた。
中央のリスポーン地点を抜けて人だかりの前まで来たが、1人が多くてこの先に進めない。
「何してんの?」
冷めた声をかけてきたのは雪ムラだった。
「お、雪ムラ。お前もレベレーターに会いに来たのか?」
「違う。クエストの帰り」
「ちょうどよかった!一緒に会いに行かないか?」
「やだ、興味ない」
「お前も強い奴に会いたいだろ?」
「相手を誰だと思ってるの?
レベレーター4位の[レッドスプリント]だよ。今の君の装備じゃ戦いにならないよ」
レッドスプリント...聞き覚えがある。いや、この厨二臭い名前忘れるわけがない。
「行こう雪ムラ!なおさら会いたくなった」
「何でよ!あっちょっと...」
雪ムラは前に見せた明るい表情でツッコミを入れてきたがそれを無視して俺は前に進んだ。
意外にも雪ムラは大人しく着いてきて来てくれた。普段はあの冷めた目つきだが中身は流されやすい女の子のようだ。
なんとか人混みを押し退けて前まできたが目的の人物はボロボロの建物の中に入ってしまった。
10人くらい人を連れていた。あれがパーティメンバーだろうか。
「あそこから先は地下への入り口だからパーティーにゴールド以上がいないと入れない。」
「そうか......あっ雪ムラ、マスターだっ」
雪ムラは逃げ出そうとしたがパーカーのフードを掴んで食い止めた。
「何でそこまでして会いたいの!?会ったって相手なんてしてもらえないよ」
「頼むよ。雪ムラも謎の声のこと気になるだろ?」
雪ムラは悩んでいた。どうやら彼女も謎の声に関して少しは興味を持ってくれているらしい。
「分かった。けど聞くだけ聞いたらすぐ戻るから」
案外ちょろい。
雪ムラは手元で何か動作をすると俺のもとにパーティーの招待が来た。
いつもと同じように受領を押すとパーティーメンバーの体力とランク、名前がでた。
「よし、行こうぜ」
俺はボロボロの建物のドアを開いた。
中は入ると大広間がありその奥に大きな階段が下に向かって伸びていた。そしてその大広間中央に目的の人物のパーティーがいた。
1人のリーダーを円状に囲って作戦を立てているようだった。
ここが最初の街ということもありこの大広間にはレベレーターのパーティーと俺達しかいない。
俺は目的の人物の顔を確認すると木の棒を手に持ちそいつに向かって走った。
「嘘でしょ」
雪ムラは俺のいきなりの行動を止めようとしたが間に合わず手を伸ばすだけだった。
周りを囲んでいるパーティーメンバーの隙間を通ってそいつに木の棒を力の限り振り下ろした。
しかし、そいつは体をくるりと回し背中に担いだ大剣を遠心力の力を利用して振り上げてきた。
木の棒では流石に受け止めきれないため空中で大剣の平面の部分を蹴り後ろに引いた。
「なんだこいつ?」
「大丈夫ですか!隊長!」.
隊長と呼ばれる人物は手を横に出し隊員に動かないよう指示した。
雪ムラは口を開けたまま固まっている。
「久しぶりだなレッド」
「相変わらずだねクロは」
俺とレッドスプリント以外は皆、今起きている状態が分からず立ち尽くしていた。
続く
<hr>
名前 黒下 進人
ユーザーネーム クロッド
年齢 20
ランク ブロンズ
概要
元サイオスオンライン最強パーティの5人の内の1人。
お金が関わるゲームを好まない。
サイオスオンラインサービス終了後2年間の間を開けてハッキング?の影響でディストピアを始める。
名前 ?
ユーザーネーム ?(店主)
年齢 27
ランク ブロンズ
概要
[ディストピア]で店屋の店主をやってるが最近は材料不足で客足が少ない。めんどくさがりやなので自分で調達しようとはしない。以外にも面倒見はいい。
名前 ?
ユーザーネーム 雪ムラ
年齢 ?
ランク マスター258位
概要
金髪のショートカット、黒いパーカーを着て背中にはいつも禍々しい薙刀を担いでいる。女の子なのだが男のような雰囲気をだしている。
自分の興味があることが起きると素を見せるが本人は隠そうとしている。
名前 ?
ユーザーネーム レッドスプリント
ランク レベレーター4位
概要
クロッドと深い関係がある?
次の日
俺はまた最初の白い空間にいた。
([ディストピア]へようこそ)
(ここはかつて生命が住み消えた世界。あなた達開拓者はモンスターを倒しこの世界のどこかにあるとされる本当のディストピアを探し出してください)
これが雪ムラの言っていたストーリーか、意外と簡単でありきたりなストーリーだな。
(クロッド、待ってる)
最後の言葉だけ妙に生々しいな。
眩しい光が俺を包む。
「おう、兄ちゃん。遅かったな」
目を開けると昨日いた店の中だった。
「雪ムラはまだ来てないのか?」
「もうとっくに来て出て行ったぞ」
「早いな」
「今日はもう少ししたら街中が混むからな。それを見越して早めに来たんだろ」
「混む?」
「レベレーターの1人がこの街に来るんだよ。あいつらはこの[ディストピア]にとっては1流芸能人みたいなものだ。一目見ようと人だかりができるからな」
「そんな奴が何でこの最初の街に来るんだ?」
「なんでもこの街の地下を調べているらしい。隠しダンジョンか何かさがしてるんじゃないのか」
隠しダンジョン、そそられる言葉だ。
それよりもレベレーターがこの街に来る?
絶好のタイミングだ。
雪ムラの言葉通りならあの声の正体が分かるかもしれない。
「兄ちゃん、話しかけようとは思うなよ。雪ムラに勝ったとはいえブロンズなんて相手にされないぞ......行っちまった」
店主の言葉を聞かないまま店の外に飛び出した。
とりあえず人が多いところを目指すとしよう。
辺りを見渡すと街の北側に人だかりができていた。
中央のリスポーン地点を抜けて人だかりの前まで来たが、1人が多くてこの先に進めない。
「何してんの?」
冷めた声をかけてきたのは雪ムラだった。
「お、雪ムラ。お前もレベレーターに会いに来たのか?」
「違う。クエストの帰り」
「ちょうどよかった!一緒に会いに行かないか?」
「やだ、興味ない」
「お前も強い奴に会いたいだろ?」
「相手を誰だと思ってるの?
レベレーター4位の[レッドスプリント]だよ。今の君の装備じゃ戦いにならないよ」
レッドスプリント...聞き覚えがある。いや、この厨二臭い名前忘れるわけがない。
「行こう雪ムラ!なおさら会いたくなった」
「何でよ!あっちょっと...」
雪ムラは前に見せた明るい表情でツッコミを入れてきたがそれを無視して俺は前に進んだ。
意外にも雪ムラは大人しく着いてきて来てくれた。普段はあの冷めた目つきだが中身は流されやすい女の子のようだ。
なんとか人混みを押し退けて前まできたが目的の人物はボロボロの建物の中に入ってしまった。
10人くらい人を連れていた。あれがパーティメンバーだろうか。
「あそこから先は地下への入り口だからパーティーにゴールド以上がいないと入れない。」
「そうか......あっ雪ムラ、マスターだっ」
雪ムラは逃げ出そうとしたがパーカーのフードを掴んで食い止めた。
「何でそこまでして会いたいの!?会ったって相手なんてしてもらえないよ」
「頼むよ。雪ムラも謎の声のこと気になるだろ?」
雪ムラは悩んでいた。どうやら彼女も謎の声に関して少しは興味を持ってくれているらしい。
「分かった。けど聞くだけ聞いたらすぐ戻るから」
案外ちょろい。
雪ムラは手元で何か動作をすると俺のもとにパーティーの招待が来た。
いつもと同じように受領を押すとパーティーメンバーの体力とランク、名前がでた。
「よし、行こうぜ」
俺はボロボロの建物のドアを開いた。
中は入ると大広間がありその奥に大きな階段が下に向かって伸びていた。そしてその大広間中央に目的の人物のパーティーがいた。
1人のリーダーを円状に囲って作戦を立てているようだった。
ここが最初の街ということもありこの大広間にはレベレーターのパーティーと俺達しかいない。
俺は目的の人物の顔を確認すると木の棒を手に持ちそいつに向かって走った。
「嘘でしょ」
雪ムラは俺のいきなりの行動を止めようとしたが間に合わず手を伸ばすだけだった。
周りを囲んでいるパーティーメンバーの隙間を通ってそいつに木の棒を力の限り振り下ろした。
しかし、そいつは体をくるりと回し背中に担いだ大剣を遠心力の力を利用して振り上げてきた。
木の棒では流石に受け止めきれないため空中で大剣の平面の部分を蹴り後ろに引いた。
「なんだこいつ?」
「大丈夫ですか!隊長!」.
隊長と呼ばれる人物は手を横に出し隊員に動かないよう指示した。
雪ムラは口を開けたまま固まっている。
「久しぶりだなレッド」
「相変わらずだねクロは」
俺とレッドスプリント以外は皆、今起きている状態が分からず立ち尽くしていた。
続く
<hr>
名前 黒下 進人
ユーザーネーム クロッド
年齢 20
ランク ブロンズ
概要
元サイオスオンライン最強パーティの5人の内の1人。
お金が関わるゲームを好まない。
サイオスオンラインサービス終了後2年間の間を開けてハッキング?の影響でディストピアを始める。
名前 ?
ユーザーネーム ?(店主)
年齢 27
ランク ブロンズ
概要
[ディストピア]で店屋の店主をやってるが最近は材料不足で客足が少ない。めんどくさがりやなので自分で調達しようとはしない。以外にも面倒見はいい。
名前 ?
ユーザーネーム 雪ムラ
年齢 ?
ランク マスター258位
概要
金髪のショートカット、黒いパーカーを着て背中にはいつも禍々しい薙刀を担いでいる。女の子なのだが男のような雰囲気をだしている。
自分の興味があることが起きると素を見せるが本人は隠そうとしている。
名前 ?
ユーザーネーム レッドスプリント
ランク レベレーター4位
概要
クロッドと深い関係がある?
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