聖マティア女学園の日常

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同級生(4月9日 前編)

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4月9日 いよいよ、私の聖マティア女学院の学園生活がはじまりました。昨日の入学式の熱狂がおさまっていないらしく、初等科は興奮がおさまらないようでした。新入生の代表のサティー家は代々、王属の一つであり、その中でも、一番と言っても良いくらいの名家だった。私もその熱狂に胸を抱いていた。



「私のクラスは、私のクラスは」



初等科はいつも東の泉の前の掲示板にクラスが発表される。私は、沸き立つ同級生のなかでも特に背が小さいので、小刻みにジャンプをしながら掲示板を見ていた。ジャンプを何度しても、この大勢の人で掲示板は見えなかった。正直にいうと、悪戦苦闘していたのだった。




「そこじゃあ、見えない。ちょっと待って」



後ろにいた生徒に声をかけられた。



振り向いた瞬間、私の体は空中にいた。ぶっきらぼうな声の主に、高い高いをされていた。



「ああ、やはり。軽かった。ここから、見れば、クラスの掲示板、見れる」



私は思わずの好意?(行為)に驚いていた。でも、当然、周りの学生に注目されていた。
私自身、父上から高い高いをされたことがあった。けれども、他人からされたことは一度もなかったので、恥ずかしさが増してきた。



「お気遣い、結構です。自力で探しますから」



私の話を聞かずに、彼女は、私を高い高いし続けた。



「下ろしてください」



私は最後の手段で、足をばたつかせて、下ろしてほしいとせがんだ。


「いいえ。失礼ですが、あなたの身長じゃ見えない。ここからの方が、見える。まあ、私が上を向けば、パンツが丸見えだけど。」


私は赤面して、スカートを押さえ、高い高いしている彼女をにらみつけた。


「あら、でも、もう大丈夫でしょう」


急に彼女に下ろされた私。

何のことだか、わからなかったけども、私の目の前に道が広がっていた。初等科の生徒たちは、私たちの押し問答を見て、気の毒だと思われたのでしょう。


「お気遣い、ありがとうございます。」


私は最大限の皮肉をこめて、彼女につげたのだが、いかんせん、つうじていなく。


「ああ、気にしないで」



彼女はそういうと、去って行ってしまった。


私の前には、ビミョーな空気が漂っていた。こんな風に悪目立ちしたくなかったのにと内心思った。その後、私は掲示板の目の前に移動して、羞恥心を隠しながら、自分のクラスを探したのであった。
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