悪女で悪魔

黒澤尚輝

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男はもうほとんど力が入らないのだろう。少し肩を押すだけで尻をついた。

「さ、わるなっ」

頬を赤らめ潤んだ瞳でにらみつけてくる2番目。拒否しているはずなのに何かを期待する瞳。ゾクゾクと背筋に走る高揚感。膝をつき男に跨る。

「ねぇ、今どんな気持ち?」
「最、悪だねっ」
「ふふ。そうよね。大嫌いな女に上に乗られて……屈辱よね」

するりと頬を撫でる。顔を背ける男。女慣れしているはずなのに耳まで赤く染まる。怒りかはたまた羞恥か。フェロモンによる弊害なのだろうか。
ゆっくり手を首筋へと這わす。ピクピクと体が震える男。そんな姿を見ているとこんな男にすら愛おしさが湧いてくるほどだ。
唇を耳元に寄せ、そっと耳の淵を舌でなぞる。

手は徐々に下へと降りていき胸の尖りを掠める。大きく体をびくつかせる。

「ふっ……くっそ……」

唇を噛み声を我慢する男。こんなにこの男は可愛かっただろうか。女を侍らせているくせにのことは睨みつけ悪態をつく。あの女には蕩けるような笑みを見せる。そんな男が今では私の下敷きになり何かを期待するような瞳で弱弱しく睨みつけてくる。

「いつも女生徒と人通り少ない場所に行ってナニをしているのかしら。そんな男が今はこんな情けない格好で大嫌いな女に主導権を握られて……可哀そうね」
「だ、まれよ」
「悪態をついても可愛いだけね」

耳元で囁きながらそっと制服の下から手を忍ばせ、すでに尖っている突起を弾く。小さく体を振るわせ俯く2番目。そんな反応を楽しみながら責めていく。
脇腹の方から逞しい胸に向け触る。触るか触らないかギリギリの触れ方をすることでこの男は息が荒くなる。筋肉の溝をなぞり、突起の周囲をくるくると撫でる。決して中心には触れないように。
男の吐く息がだんだん早くなり腰が僅かに動いたのを見計らい突起を摘んだ。

「っぁっっ⋯⋯」

小さな喘ぎ声を漏らし大きく体をビクつかせた。頬が赤く染まりぼーっと私を見つめてくる男。その瞳には確かに期待の色が浮かんでいる。
イけばイくほどフェロモンの取り込みが増えるのだろう。段々と理性が崩れ落ちていく2番目の耳元にそっと口を近づかせた。

「ねぇ、どうしてほしい?」

吐息混じりに呟けば男の腰が少し揺れる。屈辱に顔を歪め唇を噛んだ。そっと唇を撫で頬を包む。ゆっくり上を向かせ少し高い位置にある私の顔を見るよう促す。
あぁなんで素晴らしい力なのだろうか。この魔の力、淫魔の能力とは。あの女に心酔している、私を貶し侮辱する、女関係の途切れないこの男をここまで骨抜きにするとは。

目は口ほどに物を言う。男の目には確実に情欲が混じっている。なけなしのプライドが、理性が引き留めているであろう男の本能を引き摺り出すため硬く勃ち上がる男のモノをそっと撫でる。ピクピクと反応する逸物を何度か撫であげる。

「くっそ⋯⋯」

頭では拒否したいのに体の言うことがきかないのだろう。腰が揺れている。そんな2番目の姿に、これまでにないほどの愉悦が身体に走る。背筋に甘い痺れが走り目の前が白くなった。高揚感のような満足感のような何かを感じた。
男へ焦らすようにズボンをくつろげた。どろりと濃いチョコレートの匂いがした。
その匂いを嗅いだ私は理性が擦り切れていくのを感じた。

──美味しそう。

生唾を飲み込みゆっくりと2番目の逸物に手を伸ばした。
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