悪女で悪魔

黒澤尚輝

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その後の行動は早かった。さっと着替えを済まし音をたてないよう家を出る。そのまま向かった先は大きな豪邸、首席の家。昼間私を散々侮辱しあの女の味方をするこの男に一泡吹かせてやりたかった。
以前と同様にそっと部屋に入り込めば大きなベッドで眠る首席がいた。規則正しい寝息をたてている姿は美しくキラキラと金色の髪が月光を浴び輝いていた。

これからどうすればいいのか、初めてのことのはずなのになぜか理解していた。小説を読んだだけで挿絵もないのに行為の光景が目に浮かんだ。自分の中にいる淫魔の力なのか考えることもせず男の上へと乗り上げた。

手早くフェロモンをかけモノを勃たせる。いつものように手淫をしつつ自分の履くズボンを下げた。すでに濡れているソコはすんなり受け入れることができそうだった。
不思議と恐怖心はなくこれから訪れる強大な快感への期待と高揚感に包まれていた。

勃ち上がる陰茎をそっと自分に添わせる。擦り合わせるだけで気持ちが良くそのままゆっくりと腰を動かす。静かな部屋に響くのは水音と私の喘ぎ声、そして男の荒い息遣いだけ。快感を求め腰の動きを早めればさらに音は大きく響く。

「あぅっんんっ」

びくびくと身体を震わせ快感に酔いしれる。ふわふわとした頭の中にはナカへの刺激を求める感情がひしめいていた。
したことのない性行為。しかし知識だけはある。自分の秘所を弄り男のモノを飲み込むために手を添えた。入口に男の先を沿わせゆっくり挿入しようと腰を落とす。しかし経験がないためか中々入らず弱い刺激が続いた。入口と擦れくちゅくちゅ音が鳴る。早く気持ち良くなりたいのに焦らすように入口だけを掠めナカヘの侵入が難しい。

「ユ、ナイデル?」

そうこうしているうちに目を覚ました男は私を見て驚愕の表情を浮かべていた。嫌いな女に寝込みを襲われている事実が受け入れられないのだろう。滑稽なその姿に笑みを溢した。

「んっ、く、つじょくでしょ?あっ私なんかに興奮して、いるなんて、」
「ど、ういう」
「見て、分からない?んぁっあ、なたはあのっ女以外に、興奮してる、の」

腰を止めずに語りかける。男は驚きつつも快感に抗えずさっきより大きくなった。あの女じゃないのに興奮している事実に、フェロモンの力とはいえ私なんかにでも勃っている事実に嬉しくなる。男が目覚めてしまえば抵抗されナカへの挿入は難しくなるだろう。しょうがなくお互いのものを擦るだけ、所謂素股という行為のまま快感を共有しようと腰を動かした。
そのはずなのに男は突然身体を起こし私を組み敷いたのだ。その目に宿るのは興奮。私に喰らい付きそうな獣のような瞳。ベッドに縫い付けられた手は力強い男の手に拘束され痛んだ。

「怒ってるの?」
「あぁ」
「可哀想な男」

怒りに染まるその瞳に映るのは私だけ。気持ちが高鳴る。どんな感情だとしても誰かの目に映ることは嬉しかった。笑みをこぼせばさらに強く手首が軋んだ。催眠をかけて別の男の元へ行こう、そう考え口を開くと溢れたのは催眠の言葉ではなく私のくぐもった声だった。

──キス、されてる?

なぜか口付けをされている。誰に?首席に。なぜ?分からない。混乱する頭では口付けをされている事実と口腔内に入り込んだ舌の気持ち良さに支配されていった。

「ユナイデル。あの噂は本当だったんだな。夜な夜な男の家を渡り歩いてるのは。ところに」
「な、、に?」

何か言ってるけど気持ちよさから頭が働かず聞こえてこない。今はただその続きを期待して、そのことしか考えられなくなっていた。

「も、っと」
「誰に躾けられたんだ?こんなになるまで。噂は嘘だと思っていたが本当だったんだな。こんな淫乱になるまでどの男と関係を持っていたんだ?なぁユナイデル」
「ぁっふぅっんっ」
「期待しているのか?」
「ナカ、切ないのっ、」
「ちっ」

疼く奥に指が入り込み暴れ回る。大きな快楽に腰が跳ね足が伸びる。じゅぽじゅぽといやらしい音をたてるソコは快楽を求め蠢いた。深い口づけをされながら胸を弄られ下もぐしゃぐしゃで頭がくらくらと快楽に浸っていく。
口と指が離れナカの空虚感が寂しい。なぜ抜いてしまったのか男を見上げれば着ていた服を脱ぎ去り怒りたつモノが露わになった。鍛え上げられた筋肉が美しく飾りたてる腹部にくっ付いてしまいそうなほど強靭なソレは今まで見てきたモノと別物のように感じた。

ソレに手を沿わせ私の上に乗り上げる首席。その先と私の泥濘みがくちゅくちゅと擦れる。なぜこの行為に発展したのか、意味が分からなず混乱してる。なのにこの行為への期待が媚蜜を溢れさせる。相反する思考が混ざり合う。

「腰が揺れてるな」
「んぅっ」
「そんなにコレが欲しいか」
「あっ」

入り口を少し割り入りそして出る。弱い刺激が期待を招く。無意識に腰を揺らしナカへと導いている自分がいる。期待で胸を高鳴らせふしだらに腰を振る。昔の自分とは大違い。でももう戻れる自分などいない。

──早く、早く。ソレが欲しい。ナカに欲しい。

「お前を抱くのは俺だ。しっかり目に焼き付けろ」

首席の大きく骨ばった手が私の腰を強く掴む。跡が残りそうな程強く掴み押さえ付ける。ゆっくりと私のナカへと挿入ってくる大きな剛直。初めてだからもちろん痛みが襲う。破れてしまいそうなほどに大きなソレは私のナカの全てを擦り付けながら進む。

「あっいっはぁっ」
「くっ、息を吐けっ」
「はぁっはぁっんんっ」

汗が吹き出る。男の手首に強く捕まり痛みを逃す。息をしたいのに痛みから上手く吐き出せない。そんな私を見た首席は何を思ったのか突然頭を撫で出した。そのまま頬へと手を添え口付けを交わす。さっきのように荒々しくない優しい口付け。触れるだけを繰り返しやがて柔く甘噛みをする。ペロリと唇を舐めゆっくり口腔内に入り込む。味わうように舌が這う。
甘い口付けに酔いしれていれば全て挿入ったのか男の腰が止まる。ジクジクと痛む秘口をいたわるようにすりすりと優しく撫で始める。そのまま突起を優しく擦る。痛みが徐々に快楽へと変わり違和感しかなかったはずの逸物が馴染み始める。

「せま、いな」
「んぁっ、」
「ユナイデル、今お前を抱いているのは誰だ」
「ぁ、っ」
「俺だ。他の誰でもない。俺」
「あぁっまっ」
「待って?待たねぇよ」
「あ、あ、っっ」

ゆっくりとナカのものが引き抜かれ始める。ゾリゾリとナカを擦りながら抜けていくソレは全ての快感を刺激していく。今までにない快感に恐怖が生まれる。腰が逃げようとするが首席がそれを許さない。ギリギリまで抜かれてしまえばぽっかりとナカが。そしてそのまま勢いよくナカに突き入れた。

「あ゙ぁっ、んっ」
「これだけでイったのか」
「ま、って、や、これ、こわっ」
「やだ?ふざけるなよ。この部屋に来たのはお前だろ?俺が満足するまでは帰さねぇから」

男はまるで肉食獣のような捕食者の目をしている。強く掴む手が帰さない事実を見せつけるように感じた。帰さない、その一言に不覚にも心が高鳴りそれに合わせナカも疼いた。

「んぁっっ」
「はは、締まった。本当に淫乱な女だな」

なぜか嬉しそうな男は私を見下ろし満足そうに笑った。また口付けを交わす。

そして腰の動きは早まり始めた。
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