悪女で悪魔

黒澤尚輝

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あれからどれだけの時間が過ぎたのか。私の声は掠れベッドはぐしゃぐしゃに濡れている。何度目かわからない絶頂に涙を流しシーツに縋り付いた。
未だ硬度を保ち止まることを知らない男の動き。ナカに出された精液が泡立ち溢れでている。男は何度吐精したのか。首席もそうだがなぜここまで行為を続けることができるのだろうか。

「ぁ、ぁっんっあ、っ」

漸く落ち着いた男は最後1番奥へ押し込むように吐精しナカから出て行った。ぽっかりとお腹に穴が空いたように剛直が入っていたところが寂しくきゅうきゅうと収縮している気がする。今にも意識が飛びそうになっている私は最後の力を振り絞り2番目に催眠をかけ水魔法で隣のベッドへ突き飛ばした。寝息を立てる男の音を聞いた私はそのまま目を閉じ意識を手放した。

────────

あの後目が覚めた私はベッドに魔法をかけ元に戻しカーテンを開けた。ちょうど同じタイミングで目を覚ました2番目と遭遇したと思えばいつものように嫌味を言われた。態度が変わらないことに安堵しつつもお腹は寂しさを訴えた。

教室に戻れば談笑していたクラスメイトたちが一斉にこっちを見て気まずそうに視線を逸らした。帰宅したと思っていたのだろうか。その後の授業は倦怠感からほとんど耳から抜けていき気がつけば放課後の時間となっていた。

帰宅中今日のことを思い出す。2番目の態度のことだ。
まず意識が朦朧としていた。そしてなぜか怒りながらも行為に及んだ。淫魔についての書物は少なくまだフェロモン操作や催眠などの実態も分かっていない。
意識が朦朧としていたのは、怒りは元々の感情だがそれでも性行為を行えたのはフェロモンの影響なのか。催眠は言葉で伝える魔法だと考えていたが違うのか。まだ何も分からない。しかし順調に事が進み魔力の補給ができたのはありがたい。優秀な人物を狙うのは危険だろうがあの甘味を知ってしまえば引き返せるはずもなく私は次の計画を練っていた。

────────

俺の上で腰を振るのは悪女。拙くゆっくりな動きは徐々に俺を的確に刺激する動きに変わっていく。白い肌が赤く色付き熱っている。精液を搾り取ろうと蠢く悪女のナカは気持ちが良く今まで感じたことのないほどだった。
好きな女に童貞を捧げる、なんてことはなく当たり前のように初体験を10代前半で済ませそのまま女を取っ替え引っ替え。友人からは痛い目に合うと言われていたが修羅場も潜り抜けのらりくらり生きてきた。自分で言うのもなんだが経験は豊富だし嫌いな女にまで興奮するほどガキでもないはずなのに。今の俺はこの女の名器具合に呑まれそうになっていた。

高く鳴く女は俺の上で艶やかに踊り狂う。男を誘うその姿は美しく気が付けば女の細い腰を掴み突き上げるように腰を動かしていた。俺の胸に倒れ込んできた女は喘ぎだらだらと愛液を垂らし快感に酔いしれている。女から香る甘い匂いを胸いっぱいに吸い込めば思考が揺らぐ。
柔い尻を掴み1番奥を抉るように突き上げる。絶頂を迎えた女は静止を乞うがそのまま動きを止めることなく腰を動かし続ける。女のナカが大きく唸り腰が逃げようとしたのを咎め腰と背中に腕を回す。最奥をこじ開けるように穿ち吐精する。

今までやった誰よりも気持ちがいいのに嫌いな女、エメルネス。頭が混乱する。しかし快感に抗えるはずもなくエメルネスを押し倒す。俺と繋がっているのに別のことを考えていることに無性に腹が立った。口からは悪態が溢れるのに腰は責めるようにエメルネスのナカを抉る。
泣きながら感じる姿に無性に興奮する。手の跡が残るほど強く腰を掴み何度もナカへと吐精した。

──孕んでしまえばいい。

恐ろしいことを考える自分にぞっとしつつ腰は止まらない。俺が追い詰めているのに俺に助けを求めるように縋る姿に加虐心が刺激された。

──もっと、もっと俺を頼れ。

深く、深くキスをする。1つになるように、混ざり合うように。蕩けたエメルネスの瞳は俺を、俺だけを映す。もう2度とこの目に俺以外が映らないように縛り付け監禁してしまいたい。この気持ちはなんなのだろうか。嫌悪を抱くから嫌がらせをしたいがためなのか、それとも⋯⋯。

微睡む思考に目を開ける。白いカーテンがゆらゆらと揺れている。意識が浮上し身体を起こすと保健室のベッドだった。授業をサボり少し休みにきたことを思い出し、夢を見ていたことを思い出す。詳しい夢は思い出せないが怒り立つモノに項垂れた。性を知ったガキでもないのにこんな状態になっていることに恥ずかしさを覚えた。
最近こんなことが続いている。悪女が夢に出てきてからだ。朝起きると硬くなった自分のモノに嫌悪しつつも1人でに収める繰り返し。一体自分の身体に何が起きているのか。あの女が夢に出てきた日以降夢の内容は記憶にないが毎朝こうだ。

重苦しいため息を吐く。学校の保健室でうたた寝をしていただけのはずなのにこんなことになるなんて。人気がないことを確認しそっと手を添え扱く。何を考え済ませたのかは誰にも言えないが。

保健室には甘い香りが漂っていた。
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