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それからアデリーナとしてロバートくんと遊びに行くことが多くなった。
とりあえず今の所私がアルロとは気付かれていない。
「アデリーナ、あちらに綺麗な薔薇が咲いているようですよ。行ってみませんか。」
ロバートくんは手を掴んで薔薇が咲いている場所まで私を誘導する。
「わぁ、確かに綺麗だね。」
「えぇ、そうですね。ですが貴方の方が美しいですよ。」
「へっ?!!」
お世辞なんだろうけど、こんな風にストレートに褒めてくれる。しかもこれで初めてではない。彼は好きあらば私のことを美しいとか言ってくれるのだ。
アルロではなく、アデリーナとして褒めてくれるといえ、普通に恥ずかしい。
「あ、ありがとうね…」
私は赤くなった顔を手で覆って隠した。耳まで熱い。
「いえいえ、本当のことですから。」
とにかく、アデリーナとしてはロバートくんとの関係は良好だ。
ロバートは実に紳士的だ。それは単純にアデリーナが女性だと思っているからだろうけど。でも彼から色々話を聞くと、友人や仲間とも良好で上手くいっているようだった。
本当に、アデリーナには色々話してくれる。表情だってそうだ。優しく眩しいまだ幼さが残る笑顔を見せてくれるのだ。
ずっとその笑顔が見てられる気がする。だって本当に今まで彼の笑顔見たことなかったのだから。
「あ、ロバートくん、髪に葉っぱが。」
いつのまにかロバートくんの髪に小さな葉っぱが付いていた。
「えっ、お恥ずかしい…どこですか。」
「あ、取ってあげるよ。ちょっとまってね。」
ロバートくんの頭に付いていた葉っぱを取ろうとして手を伸ばそうとした時だった。走り回っていた子供がロバートくんの背中にぶつかってしまったのだ。
「わっ!!」
よろけそうになったロバートくんを支えようと手を彼の胸あたりで押さえようとしたが私の力では彼を支えることが出来るわけがなく、なんなら巻き込まれて倒れそうになった。
だが倒れることなくロバートくんは私を支えながら踏ん張ってくれていた。
その時だった。ロバートくんの顔が近づいたと思った次の瞬間、私の唇に柔らかい感覚が加わった。
「!?!?!?!」
何が起きたのか分からなかった。ずっと知らなかった、そしてこれから先知ることがないと思っていたその感覚。つまりこれってキス…?!
「す、すいません!!!!」
先に離れたのはロバートくんだった。彼は顔を真っ赤にしている。そしてそれは私もだった。今私達の顔は薔薇よりも真っ赤にしているのだろう。
ドクンドクンと心臓の音がうるさい。これはただの事故だ。そう思っているのに鳴り止む気配はない。
「だ、大丈夫だから。気にして、ないから…」
「そ、そうですか…」
その後は気まずい空気が流れていた。ある意味夕飯時よりも気まずかった。
そして私の心臓はずっと鳴り続けていた。感触がいつまでも唇に残っていた。
とりあえず今の所私がアルロとは気付かれていない。
「アデリーナ、あちらに綺麗な薔薇が咲いているようですよ。行ってみませんか。」
ロバートくんは手を掴んで薔薇が咲いている場所まで私を誘導する。
「わぁ、確かに綺麗だね。」
「えぇ、そうですね。ですが貴方の方が美しいですよ。」
「へっ?!!」
お世辞なんだろうけど、こんな風にストレートに褒めてくれる。しかもこれで初めてではない。彼は好きあらば私のことを美しいとか言ってくれるのだ。
アルロではなく、アデリーナとして褒めてくれるといえ、普通に恥ずかしい。
「あ、ありがとうね…」
私は赤くなった顔を手で覆って隠した。耳まで熱い。
「いえいえ、本当のことですから。」
とにかく、アデリーナとしてはロバートくんとの関係は良好だ。
ロバートは実に紳士的だ。それは単純にアデリーナが女性だと思っているからだろうけど。でも彼から色々話を聞くと、友人や仲間とも良好で上手くいっているようだった。
本当に、アデリーナには色々話してくれる。表情だってそうだ。優しく眩しいまだ幼さが残る笑顔を見せてくれるのだ。
ずっとその笑顔が見てられる気がする。だって本当に今まで彼の笑顔見たことなかったのだから。
「あ、ロバートくん、髪に葉っぱが。」
いつのまにかロバートくんの髪に小さな葉っぱが付いていた。
「えっ、お恥ずかしい…どこですか。」
「あ、取ってあげるよ。ちょっとまってね。」
ロバートくんの頭に付いていた葉っぱを取ろうとして手を伸ばそうとした時だった。走り回っていた子供がロバートくんの背中にぶつかってしまったのだ。
「わっ!!」
よろけそうになったロバートくんを支えようと手を彼の胸あたりで押さえようとしたが私の力では彼を支えることが出来るわけがなく、なんなら巻き込まれて倒れそうになった。
だが倒れることなくロバートくんは私を支えながら踏ん張ってくれていた。
その時だった。ロバートくんの顔が近づいたと思った次の瞬間、私の唇に柔らかい感覚が加わった。
「!?!?!?!」
何が起きたのか分からなかった。ずっと知らなかった、そしてこれから先知ることがないと思っていたその感覚。つまりこれってキス…?!
「す、すいません!!!!」
先に離れたのはロバートくんだった。彼は顔を真っ赤にしている。そしてそれは私もだった。今私達の顔は薔薇よりも真っ赤にしているのだろう。
ドクンドクンと心臓の音がうるさい。これはただの事故だ。そう思っているのに鳴り止む気配はない。
「だ、大丈夫だから。気にして、ないから…」
「そ、そうですか…」
その後は気まずい空気が流れていた。ある意味夕飯時よりも気まずかった。
そして私の心臓はずっと鳴り続けていた。感触がいつまでも唇に残っていた。
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