目付きの悪い俺が黒猫に振り回されてます。

海野(サブ)

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前編

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 それから俺の生活は少し変わった。まず何が変わったかと言うと。

「ただいま~!!」

 仕事から帰ると【クロ】と名付けた黒猫が出迎えしてくれる。そう、こないだ拾ったあの黒猫である。
 名前安直過ぎない?って言われた気がするがそんなのは聞こえない聞こえない。わかりやすいし変に洒落た名前にするよりはマシだろう。

「にゃー」

 クロはまるで本当におかえりと言っているかのように鳴くのだ。

「寂しくなかったか~クロ~」

 俺はクロを抱き抱えて、頬をすりすりする。クロの毛が柔らかくていつまでも頬をすりすりしたくなる。誰かが出迎えしてくれることがこんなにも嬉しいだなんて。一人暮らししてるとなんやかんやで寂しくなる時があるから感激だ。
 そのままクロを抱き抱えながら部屋に入り、ベッドに腰を下ろした。もっと抱きしめていきたいが、流石にずっとは無理なのでクロを解放した。

「じゃあ今からご飯用意するからな。」

 そう言って俺はキッチンに向かう。冷蔵庫でクロ用の夕飯の材料を取り出す。猫用のレシピ本を参考についでに俺の夕飯も作っていく。

「お待たせ、出来だぞ。」

 エサが入った皿を床に置くとクロはそのまま頬張った。
 クロはキャットフードをあまり食べたがらない。キャットフード出すと渋い顔をするのだ。とはいえネットによれば毎回手作りだと猫に必要な栄養が補えないらし、可哀想ではあるし、毎回作ってあげたくなるがクロの健康の為にも時々キャットフードで我慢してもらっている。
 仕事でも料理は作ってるが、特定の相手の為に美味しいものを食べさせたくなるものだ。そう思いながら俺は自分の飯を食べる。
 食べ終わった後は安物のビーズクッションに座ってネットドラマをながら見する。クロは俺の膝の上に乗ってくつろぐ。
 あぁ可愛いなぁ…!俺はクロの背中を撫でる。
 クロは随分人間に慣れている気がする。最初は誰かの飼い猫かと思ったが首輪は付けられてないし、第一飼い猫だったらあんな場所で弱っている筈がない。それとも飼い猫だったけど捨てられた、とかなのだろうか。もし後者だったら許せない。
 
 しかし、クロに関して少し不思議なことがある。キャットフードやトイレ用の砂やシートの減りが極端に少ないのだ。確かにキャットフードあんまり食べたくないみたいだがあげている量に比べて袋にはまだまだキャットフードが入っている。トイレ用の砂とシートもそうだ。というか後始末している、という感覚はあるけどはっきりしてないというか。上手くいえないが、した気でいるって感覚に近い。
 それにクロはおもちゃに関心がない。猫じゃらしで遊んであげようかとしたら、だからなにみたいな冷ややかな目で見られた。
 まぁ、人にも色んなタイプがあるし、猫にもそうなんだろう。
 後、クロは関係あるかわからないが冷凍しといた食品やカップ麺とか含めて減りが早い気がする。目付きが悪いせいで外食したくとも周りの反応に躊躇してできなかったから、基本自炊して食品を使い込む方とはいえ、一人暮らしにしては減りが早く感じた。単なる俺の気のせいだろうか。

 しばらくしてドラマを見終わった後は色々家事をして、お風呂で身体を綺麗にし、ベッドに入る。明日も仕事があるから早く寝ないと。
 俺がベッドで横になると、クロもベッドに入り隣に来てそのまま身体を丸くして目を瞑った。
 あれからずっとクロは俺と一緒にベッドで寝ている。割といい猫用ベッド買ったんだが見向きもしなかった。仕方ないので猫用ベッドはフリマで売った。
 とはいえこんなにも嬉しい事はない。そもそも俺のこと怖がらない動物さえ珍しいのに、こんなにも心を開いてくれてるんだから暖かい気持ちになる。
 正直結婚出来ないと思っていたし、ペット飼うにも俺の目付きで怖がらせちゃうから諦めていた。だから飼うと決めた以上、クロは家族だと思って最後まで面倒見ると決めた。クロは俺にとってかけがえのない存在になっている。

「おやすみ、クロ。」

 いつもみたいにクロの頭を撫でた後、俺は目を瞑った。
 ちなみに、クロを飼ってから俺はある一つ、悩みが出来た。
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