目付きの悪い俺が黒猫に振り回されてます。

海野(サブ)

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前編

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 外は土砂降りだった、遠くの空が光った気がする。
 肌寒い。もう暑くなる季節なのに真夜中で雨のせいで肌寒かった。
 こんな真夜中の雨の中、クロはどこに行ってしまったのだろうか。行く当てが思いつかず、途方にくれていた。

「あ、そうだ…クロのやつ、携帯持ってないか?」

 俺はクロがワンチャンスマホを持ち歩いてないかと思い、電話をかけた。しかししばらく鳴らしても出る気配はなかった。
 それはそうだ。あのスマホはあくまで貸しただけであげた訳じゃない。それに仮に持っていたとしても出るなんてことはしないだろう。
 いや、まて。確か情報共有アプリがあって、そこで相手のスマホがどこにあるのか把握できたはずだ。万が一紛失した時のように入れてたはずだ。そのアプリを開くと、クロに渡したスマホの位置が表示された。
 場所は家ではなく、少し離れた公園だった。俺はそのまま位置情報を頼りにクロが居るであろう公園に向かった。

 ーーーーーーー

「クロー!居るかー!」

 公園に着いて俺はクロの名前を呼んだ。けど雨の音にかき消されてるのか、返事はない。
 スマホの位置情報ではここから動いていない、近くにいるのは間違いない。けどこの雨の中、公園で雨宿り出来そうな場所なんてあるのだろうか。
 と思っていると、中心に設置されているドーム型の遊具があるのに気づいた。あの中なら雨宿りできるかもしれない、そう思いスマホの灯りで中を照らして覗いてみた。

「…っ、まぶしい…」

「クロ…!?やっぱりここにいたのか…」

「え、は?シロウ……?なんでここに…」

 俺の予想通り、クロが中に居た。クロは俺の姿を見て動揺していた。

「その…前に渡したスマホに位置情報を把握できるアプリ入れてて、それでその位置情報頼りにここまで来たんだ。」

「ふーん、随分と厄介な機能あるもんだね。……はい。」

 クロはポケットからスマホを取り出し、俺に投げつけてきた。

「返すよ、だからささっとどっか行ってくんない?」

 クロは愛想なく機嫌の悪そうな表情でそう言ってきた。なんか、遊園地の時、クロの不機嫌になっていた時と同じような雰囲気だ。

「く、クロ……俺はただ……お前、泣いてたのか…?」

「!!」

 ここに来た理由を言おうとする前に、俺はクロの頬に涙の跡があるのに気づいた。聞かれたクロは消すように強く袖で涙の跡を拭おうとしていた。

「雨だからこれ。ていうか今更なに?僕のこと拒絶したくせに…」

「…だから謝りに来たんだ。」

「…………とりあえず中に入れば。」

 クロはそっぽを向いた。ただ謝罪はさせてくれるらしく俺はひとまず安堵した。
 俺はそのまま頭ギリギリで身体を小さく丸めてクロの隣に座る。

「……クロ、その…悪かった。あの後気づいたんだ。俺、最近お前のこと蔑ろにしてたって。」

「……なにそれ、それじゃあ僕が嫉妬してたみたいな言い方じゃん。」

「……まあ、部分的にはそうなんじゃないのか?」

 グルンっとクロは勢いよく顔を俺の方に振り向かせた。

「ば、馬鹿じゃん!別に僕は最初からシロウのことなーんにも興味ないしっ!誰かとセックスしてようが僕には関係ないしー?」

 怒ってるのか照れてるのか判断しづらいが、顔を真っ赤にして否定してきた。俺を押し倒した時、明らかに嫉妬丸出しだったのにはつっこまない方がいいのだろうか。

「嫉妬なんかしてないし…どうせシロウも僕のこと見下してただけでしょ。」

「な、俺は一度もクロのこと見下したことないぞ!?」

「ふん、どうだが。」

 クロは思いっきりそっぽを向いた。
 許してもらうつもりはなかったのだが、だんだん俺に対して当たりが強くなってきた気がしてどうすれば良いのか焦りが出てしまう。

「……なぁ、俺が悪い前提の上で聞きたいんだが、どうしてそんなそう思うんだ…?」

「どうしてもなにも、みんな僕のこと嫌ってくるんだもん。……くだらない迷信で俺に石投げてきたり罵声浴びせてくるし…」

「なっ!?そんな酷いことされてきたのか…!?」

 クロの口から衝撃的な発言が出てきて俺は動揺した。そんな残虐な行為、俺ですら受けたことがない。

「だから僕は自分の身体を使って、相手を利用してやったんだ!ほんと笑えるよね、迷信は信じてるくせに身体は正直な奴ばっか!シロウもそうだよね?いやいや言っときながら結局僕に抱かれたし!」

「そ、それは…」

「あ、そっかぁ。ここに来たの、結局僕の身体が惜しくなったから取り戻しにきたんだね?あはは、じゃあ別に戻ってもいいよ?雨が止むまでね?あはは!」

 喉を使って笑い声を出すクロ、だけどその笑い声は諦めも入っているようだった。そっぽを向いてるからクロの顔は見えないけど、いつもみたいに笑っているが、目は笑ってない気がした。

「俺は別にクロのことそんなっ…」

「いいよ、肉棒になってあげる。それで満足でしょ?」

  クロは、俺に失望しているようだった。どうして、俺はただ謝罪したかっただけなのに、クロを更に怒らせるようなことになってしまったのだろうか。今、何を言ってもクロには何にも響かないだろう。俺がクロを疎かにしてしまったせいで、こんな辛い思いをさせてしまったのだ。
 どうしたらいいのだろうか、俺は困惑してしまった。
 ふと、同窓会前にクロと抱きしめ合ったのを思い出した。不安を軽減できるって言って、実際に不安が軽減された。

「……クロ……」

 俺は後ろからクロに抱きついた。クロは急に抱きつかれて驚いたのか、耳と尻尾がまっすぐになった。

「はっ?!ちょ、なに急に!?」

「クロ、悪いけどこのまま聞いてくれ。」
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