41 / 51
前編
41
しおりを挟む
「ゲホッゲホッ…」
あれから数時間後、クロは思いっきり風邪を引いていた。そらぁ雨の中、雨宿りしていたとはいえ外にいたのだから当たり前である。
「大丈夫か?」
俺は風邪で赤くなり汗ばんでいるクロのおでこに冷えピタを貼ってそう聞いた。
「……つらい…」
「だろうな。わかるぞ、その気持ち。」
この前、風邪を引いてたから余計にその辛さが痛いほど分かる。
「何か食べられそうなのあるか?買い物行ってくるけど。」
「……今は、何も、食べたくない…」
「そうか、ならゆっくり寝てれば良い。」
俺はとりあえず前、風邪を引いた時の薬が余ってないか確認した。妖怪も人間と同じ薬飲んで大丈夫だろうか?漢方にした方がいいのだろうか。というか病院行くことになった場合、保険証ないから全額負担になるよな…?
「……ゲホッ、ゲホッ、シロウ、今日買い物行くんでしょ?早く行かないと遅刻するよ?」
「いや、行けないって連絡したから大丈夫だ。」
「えっ……?」
クロの風邪が発覚した直後に、灰島さんにドタキャンしてしまった。もちろんちゃんと行けなくなった理由を伝えてある。むしろ灰島さんの方から看病した方がいいと言われたぐらいだ。
「病人をほっといてまでは行かないさ。だから安心しろ。」
「…………うん。……ありがとう。シロウ。そしてごめん…」
「えっ…?」
突然、お礼と謝罪を言われて俺は軽く驚いた。
「僕、シロウに酷いことしたのに…許せないよね……」
咳き込みながら必死に口に出すクロ。さっきよりも辛いのか掠れ声になってきている。
「俺はもう怒ってないから。謝ってくれたし、許す。それに、それはお互い悪かったってことで仲直りすれば良い。いいだろ?」
そう言って俺はクロに小指を差し出す。クロは不思議そうな顔をした。
「指切りげんまん、仲直りの合図だ。」
「…それは、約束する時の合図なんじゃないの…?」
そう指摘されて俺はハッと勘違いしていたことに気づき、恥ずかしくなった。
「あ、いや、た、たしかに…ごっちゃになってたみたいだ…」
ずっと怖がられて喧嘩らしいことすらしてこなかったから、仲直りのやり方も知らなかった。
「くすっ、いや、いいと思うよ…僕も、仲直りしたい…」
クロも小指を差し出してきた。それを見て、俺は嬉しくなり思わずふっ、と声が出てしまった。
「あぁ、そうだな。これで仲直りだ。」
お互いの小指を絡めて、そしてそのまま上下に軽く揺らした。
指切りしている時、クロが今まで見たことがない、優しく柔らかな笑みを浮かべていた。
「……シロウ…嫌じゃなければ、頭、撫でて欲しい…」
「え、急になんだよ……わかった。」
俺は指切りしていない方の手でクロの柔らかい黒髪を撫でた。耳を垂らし、そのままクロは目を閉じた。
そして安心したように、そのまま眠りについた。
「クロ…」
クロが寝た後でも、俺はどちらの手を離せなかった。少しでもクロに触れていたかったからだ。
あたたかいな。出会ったあの時から変わらず、俺の身体も、心も温めてくれる。
寝ている黒猫を見ながらそう思う、俺だった。
あれから数時間後、クロは思いっきり風邪を引いていた。そらぁ雨の中、雨宿りしていたとはいえ外にいたのだから当たり前である。
「大丈夫か?」
俺は風邪で赤くなり汗ばんでいるクロのおでこに冷えピタを貼ってそう聞いた。
「……つらい…」
「だろうな。わかるぞ、その気持ち。」
この前、風邪を引いてたから余計にその辛さが痛いほど分かる。
「何か食べられそうなのあるか?買い物行ってくるけど。」
「……今は、何も、食べたくない…」
「そうか、ならゆっくり寝てれば良い。」
俺はとりあえず前、風邪を引いた時の薬が余ってないか確認した。妖怪も人間と同じ薬飲んで大丈夫だろうか?漢方にした方がいいのだろうか。というか病院行くことになった場合、保険証ないから全額負担になるよな…?
「……ゲホッ、ゲホッ、シロウ、今日買い物行くんでしょ?早く行かないと遅刻するよ?」
「いや、行けないって連絡したから大丈夫だ。」
「えっ……?」
クロの風邪が発覚した直後に、灰島さんにドタキャンしてしまった。もちろんちゃんと行けなくなった理由を伝えてある。むしろ灰島さんの方から看病した方がいいと言われたぐらいだ。
「病人をほっといてまでは行かないさ。だから安心しろ。」
「…………うん。……ありがとう。シロウ。そしてごめん…」
「えっ…?」
突然、お礼と謝罪を言われて俺は軽く驚いた。
「僕、シロウに酷いことしたのに…許せないよね……」
咳き込みながら必死に口に出すクロ。さっきよりも辛いのか掠れ声になってきている。
「俺はもう怒ってないから。謝ってくれたし、許す。それに、それはお互い悪かったってことで仲直りすれば良い。いいだろ?」
そう言って俺はクロに小指を差し出す。クロは不思議そうな顔をした。
「指切りげんまん、仲直りの合図だ。」
「…それは、約束する時の合図なんじゃないの…?」
そう指摘されて俺はハッと勘違いしていたことに気づき、恥ずかしくなった。
「あ、いや、た、たしかに…ごっちゃになってたみたいだ…」
ずっと怖がられて喧嘩らしいことすらしてこなかったから、仲直りのやり方も知らなかった。
「くすっ、いや、いいと思うよ…僕も、仲直りしたい…」
クロも小指を差し出してきた。それを見て、俺は嬉しくなり思わずふっ、と声が出てしまった。
「あぁ、そうだな。これで仲直りだ。」
お互いの小指を絡めて、そしてそのまま上下に軽く揺らした。
指切りしている時、クロが今まで見たことがない、優しく柔らかな笑みを浮かべていた。
「……シロウ…嫌じゃなければ、頭、撫でて欲しい…」
「え、急になんだよ……わかった。」
俺は指切りしていない方の手でクロの柔らかい黒髪を撫でた。耳を垂らし、そのままクロは目を閉じた。
そして安心したように、そのまま眠りについた。
「クロ…」
クロが寝た後でも、俺はどちらの手を離せなかった。少しでもクロに触れていたかったからだ。
あたたかいな。出会ったあの時から変わらず、俺の身体も、心も温めてくれる。
寝ている黒猫を見ながらそう思う、俺だった。
11
あなたにおすすめの小説
ヒーロー組織のサポートメンバーになりました!
はちのす
BL
朝起きたら、街はゾンビだらけ!生き残りたい俺は、敵に立ち向かうヒーロー組織<ビジランテ>に出逢った。
********
癖の強いヒーロー達の"心と胃の拠り所"になるストーリー!
※ちょっとイチャつきます。
『定時後の偶然が多すぎる』
こさ
BL
定時後に残業をするたび、
なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。
仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。
必要以上に踏み込まず、距離を保つ人――
それが、彼の上司だった。
ただの偶然。
そう思っていたはずなのに、
声をかけられる回数が増え、
視線が重なる時間が長くなっていく。
「無理はするな」
それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、
彼自身はまだ知らない。
これは、
気づかないふりをする上司と、
勘違いだと思い込もうとする部下が、
少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。
静かで、逃げ場のない溺愛が、
定時後から始まる。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた
こたま 療養中
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる