目付きの悪い俺が黒猫に振り回されてます。

海野(サブ)

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中編

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 クロを拾ってから半年は過ぎた。ようやく長く続いた暑さはなくなり、肌寒い日が続くようになって、窓を開ければキンモクセイの香りがするようになった。
 もう流石に長袖出さないと寒くて風邪をひいてしまうと思い、俺は収納箱から長袖を取り出そうとしゃがみ込む。

「シロウー♪」
 
 ガシッ!!
 と、突然クロが背中に飛び乗ってきたのだ。

「うおっ!?急に何するんだよ!!危ないだろ!?」

「だってシロウ何してるのか気になったんだもん。」

 そのままぶらーんと俺に全体重を乗せてきた。

「重いわ!!どけよ!!」

「えー、やだ。」

  いっさい退く気はないようで、動かない。俺は諦めてそのまま長袖を取り出した。

「シロウってさ、僕が来る前はどうやって服買ってたの?絶対お店の人に話しかけられたくないタイプだよね?」

「……通販で買ってた。」

 前までは衣類系は全部通販で購入していた。そのせいで写真のイメージと実物と違うし、サイズも合わないことがただあった。だが目立たない服しか選ばなかったから通販でも良かった。自分に似合う服なんかあるわけないと思っていたし。

「じゃあさ、せっかくだからこれから着る服も買いに行こうよ。シロウが似合う服選んであげる♪」

「お前が選ぶ服、なんか派手なやつばっかりじゃねえかよ。余計にカタギに見られなくなるから嫌だ。」
 
「えー。シロウが選ぶ服は地味なやつばっかりだもん。せっかくオシャレするようなったんだからいいじゃん。」

「それとは別だろ。」

 確かにクロが付き添ってくれるようになってからは、少しずつ洋服に興味を持ち始めた。相変わらず怖がらせない服を選んでしまう癖はあるのだが。

「もー、シロウはー。」

 クロは呆れながらもどこか楽しそうな笑い声を出していた。
 
「…じゃあ、今度の休みは服買いに行ってもいいか?」

「もちろん、いいよ♪」

「だから、退いてくれ…」

 その後しばらくクロは俺の背中から退くことはなかった。

 クロに抱かれ喧嘩して飛び出して仲直りしたあの日以降、俺達は徐々に仲良くなってきたと思っている。気づけばお互い遠慮なく自分の意見を言っている。多少くだらないことで軽い喧嘩はしたが、すぐに指切りして仲直りするなどした。
 あと、クロとの距離が近くなった。物理的に。さっきもそうだが気づけば俺にくっ付いてくるようになった。最初は抵抗したが、クロのやつ、『自分は散々自分から抱きついてきたのに僕はダメとか理不尽じゃん。』と反論してきた。どうやら猫状態の時も含めてだそう。そう言われると何にも言い返せなかった。しょうがないからされるがままである、多少抵抗はするが。ただ外もくっ付こうとしてきたから、流石に周りの目が恥ずかしいからやめろと強く言った。多少言うこと聞いてくれたけど、油断するとくっ付いてくる。

 気付けば、クロが居るのが当たり前になっていた。今もクロは出て行こうとはしていない。正直、ずっと俺の側に居ればいいのにと思ってしまう。
 けど、俺はそれをクロには言えなかった。だってクロに依存してしまいそうになるからだ。現に今だってクロに依存しているようなもんだ。
 それでも、クロはあの時言っていた、対等に接してくれてると。なら、裏切るようなことはしたくない。
 これから先、クロが迫害受けず、安心して過ごせる場所が見つかって、出て行くとしても、笑顔で見送りたい。

 だから今だけは、俺の側に居てほしい。
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