目付きの悪い俺が黒猫に振り回されてます。

海野(サブ)

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中編

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 とある日の夜。仕事が終わり帰宅している時だった。ふと、俺は店に忘れ物をしているのを思い出した。

「悪い、先帰っててくれ。」

「えー、なら僕も一緒に行くよ。」

「いや、今日荷物届くんだ、時間指定してるから受け取らないと配達員に迷惑かけちまうから。だから先帰って荷物受け取って欲しい。」

「もーしょうがないな。わかった、じゃあ先帰ってる。」

 俺達はそのまま別れた。店に戻り、忘れ物をカバンに入れて再び自宅に戻ろうとした。
 何気ない住宅街の中を歩いて行く。珍しく人が居らず、遅い時間でもないのにまるで真夜中のような雰囲気で、少し不気味だった。
 最近クロと一緒に帰ってたからか、1人で歩くの怖くなってしまったのだろうか。まぁ、こんな目つきの悪い大男なんて狙う奴はいないだろう。と自分を説得しながらいつもよりややペースを早く歩いた。

「やぁ、そこのお兄さん。ちょーといい?」

 その時、後ろから突然呼び止められた。お巡りさんか?時々職質受けるから今回もだろうかと後ろを振り返ると、灰色のパーカーを被った男が立っていた。

「なんですか…」

 お巡りさんではないのは確定。ただそのパーカーの男はどこか怪しい雰囲気を出しており、俺は目を鋭くして警戒した。

「ビクッ!そ、そんな睨まないでよお兄さん!オレ、お兄さんに話があっただけだからさ。」

 パーカーの男は俺に睨まれて顔を真っ青にしてびびっていた。

「ゴホン、お兄さん。さっき一緒にいたね、じゃなくて男は恋人?」

 さっきいた男とはクロのことか?

「は?ち、違う!!俺達はそんなんじゃない!!クロとは別にそ、そん」

「わ、わかったからあ、あんま大声出さないでくれ!?」

 恋人だと聞かれ動揺する俺を制止するパーカー男。

「まぁ、恋人だろうかそうじゃなかろうか関係ない。単刀直入に言う。そいつとは関わらない方がいい。」

「……は?」

 いきなり変なことを伝えられて、俺は腹が立ってきた。何故見知らぬ奴にそんなことを言われなくてはいけないのか。

「多分、というか絶対あんたの前では猫かぶってると思うけど、実際は違う。自分の立場を悪用して相手を利用しようとしてる。今までソイツに利用されてきた人は沢山いる。」

「っ、なんだ、クロのこと知ってるかのような口ぶりは。」

「あぁ、今はクロって名乗ってるのか。その通り、オレはそのクロのこと大いに知っている。」

「なっ…」

 まさかクロの知り合いとは思っていなかった。けど、知り合いとはいえクロのこと悪く言う奴には変わりないので、俺は警戒したままだ。
 けど、クロのことそんな風に悪く言うってことは…

「ま、まさか、も、元かれ…?」

「違う違うっ!ないから!それはないから!なんでそんな発想になるのさ!?ゴホン、まぁとにかく、クロに関わってきた奴は皆不幸になっている。このままじゃアンタも不幸になるからな。そうじゃなくとも、ソイツと関わってたらろくなことないぞ。」

「……」

 なんだコイツ、さっきから利用されるとか不幸になるとか関わるなとか。腹が立って拳をギュッと握りしめる。

「……仮にそうでも、俺はクロのこと見捨てない。クロと関わって不幸だと思ったことは一度もない。」

「わかるけどさ、信じたくなる気持ちは。けどそれはアンタがクロの本性知らないだけさ。痛い目に遭うぜ?」

「……だとしても、俺は、クロと一緒に居たい…クロが俺を利用していようが、俺は、クロが居なくなる方が嫌だ。」

 実際、クロ自身も利用してきたと言っていた。けど、クロはずっと虐げられていたらしい。そんな中、生きる為に身に付けた知識で自己防衛だ。
 クロの過去に同情はしている。けど、俺はずっとクロの存在に救われてきたのだ。かわいそうだからじゃない。優しい部分に俺はクロを認めたのだ。

「……あぁ、そう。んー、思ったより依存してるなぁ。これじゃあオレの言葉は通じなさそうだな。」

「なっ、俺は別に依存なんか…」

「ま、とりあえず警告したからな?手放すなら今のうちに、だからな。」

 パチン、とパーカーの男が指を鳴らした瞬間、強風が表から吹いてきた。一瞬目を閉じて、そっと目を開けるとパーカーの男は既に姿を消していた。

「ニャー」

 その時、塀の上から猫の鳴き声が聞こえてきた。俺は振り向くと、そこに灰色の毛並みの猫が俺を見ていた。そして、俺と目が合った瞬間、バサッとどこかに去って行ってしまった。

「な、なんなんだ…?」
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