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第3話 リルと初めて過ごす夜
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リルが鍋を持って近づいてきた。
「ご飯一緒に食べようねー」
「クルニャー」
白身魚と野菜っぽいものが入ってる鍋から、とてもいい匂いがする。
寄せ鍋といったところだろうか。
「まだ熱いかなあ、ちょっと待っててね……」
木製のスプーンでフーフーしてくれる。
猫舌って言うけど、どれくらい熱さに弱いんだろう。魔物だし、弱くないのかもしれないけど。
「はい、あーん」
あー……なんか凄い幸せな気持ちになってきた。猫好きは猫と触れ合ってると幸せな気持ちになるけど、それに近い気持ちが心を満たしていく。
この娘、凄くいい子だなあ。まだ会って間もないけど、なぜかそう確信できるくらいに。
この世界での初の食事ということもあって、若干恐る恐る口をつけてみる。
「クルルッ!?」
美味しいっ!!
凄い凝った食事というわけではないし薄味だけど、白身と野菜?の味が出てて凄くホッとするスープ。体の芯から温まるような……
ちょっと涙が出そう……
喜んでるのが伝わったみたいで。
「フフー、喜んでくれてリルは嬉しいよ、いっぱい食べてね」
春菊みたいな野菜、白菜みたいな野菜、どれも柔らかく味が染みててとても美味しい。
喋れないのが辛い。伝えたいこと、話したいことがいっぱいあるのに……
「今日は良い日だったなあ。君と会えたしさ。魚を獲ろうとしてたら君が流れてくるんだもん」
やはり川に落ちて気絶した後、流されていたようだ。
「そうだ! いつまでも『君』っていうのも呼びづらいし、名前をつけようよ!」
おお! 目の前で自分の名前をつけられるなんて、不思議な気分でワクワクする。
リルは人差し指を立てた状態で顎にあてて、名前を考えている。
その子供っぽい様子に、「この子の名前は私が考えるの!」と初めて飼うペットの名前は自分がつけるんだと、両親に可愛い我儘をいう娘の姿を想像した。
「んーとね、昔活躍してた従魔の名前で『ゴンザレス』っていうのがあるけど、どうかな? カッコよくない?」
「フニャー!!」
食べてた野菜を噴き出した。
そして、全力でイヤイヤした。伝われ俺の気持ち。
「嫌そうだね……強くなりそうなのになあ。君は私の言葉が分かるみたいに反応するね。」
言葉が分かってますとも。さあ別の名前を!
「んー、じゃあ『シュン』ってのはどう?」
今度は驚きで固まった。
「俺」の名前が「瞬火」だった頃があったような気がして……
その頃、身近な人は俺のことを「シュン」と呼んでて、人によっては「またたび」とあだ名で俺のことを呼んでいたような。
ただの勘違いの思い込みかもしれないけど……
いずれにせよ、「シュン」という名前には全く違和感がない。
「『シュン』っていうのは、私の……銀狼族のご先祖様のさらにご先祖様の時代に、使われてた言葉で『リル』と同じ意味なんだよ」
古文だと全く違う名前だったりする感じかな。
なんとなく馴染む感じがして、急に呼ばれてもすぐに自分のことだと分かりそうだ。
ゴンザレスって呼ばれても、暫くは自分のことって思えないしね。
「ニャー!」
肯定の気持ちを伝えたくて、リルの足に突っ込むことにした。
膝の近くに頭をグリングリンする。猫って嬉しい時によく頭をグリングリンと擦り付けてくるよね。
「ニャハッ! 分かったよー、君の名前は今から『シュン』ね」
くすぐったがるように笑う姿が、可愛くて猫っぽいなあと思った。
「シュンとリルは今日から友達だよ」
「クルニャーン!!」
よろしくという気持ちが伝わって欲しいと鳴き声を出した。
それから、二人?で鍋を空にして、お腹いっぱいになったところで、寝るためかリルは布を敷き始めた。
なんとなく分かったけど、家に帰る雰囲気も無かったし野宿だよね。
野生の猫だからか、加護の適応力アップの為か、野宿自体には全く抵抗がないけど、リルはこんな所に独りで暮らしているのだろうか?
落ち着いて見える部分もあるけど、見た目は中学生になったばかりくらいにしか見えない。
この世界の常識が無いから、なんとも言えないけどさ。
なんてことを考えていると、ヒョイッと持ち上げられた。
「さあさあ、寝るよー! いつも独りだったから、嬉しいな」
ニコニコしたリルに寝床まで連行された。ニャンコって運ばれる時、こんな気分なのね。
でもこんな森の中で野宿って大丈夫なのかな?
魔物的な意味でさ。森には狼も住んでるみたいだし。
まあ長いこと今の生活をしてて、慣れてる感もあるし大丈夫なのかな。
リルは横になって、顔の前に俺を置いた。
「!?」
顔近いって! リルの大きな瞳に猫が映ってるし!? あ、俺か……。
それになんかイイ匂いが!?
なんか汗かいてきた気がする……。猫ってあまり汗かくイメージ無いけどさ。
しかも……猫だから当然なんだけど、自分が全裸だと考えるとさ……なんかこう……さ。
恥ずかしい……じゃん?
ドキドキして寝れないぞ、こんなの……。
リルは俺のオデコに顔をくっつけてきた。
「モフーッ♪ うーん♪ 落ち着くー」
リルが俺のお腹のモフモフしてる部分に顔を埋めてくる。猫のお腹の毛って凄い柔らかくて気持ちいいよね。
俺は全然落ち着かない……俺はニャンコ……ニャンコは俺……
だけどこれは俺からもリルの尻尾と耳にモフモフしていいってことのはずだ。
相手に何かするのは、される覚悟がある者だけだというような言葉があったはずだ。ちょっと違ったかな。
「シュン、ありがとね。リルは今幸せな気持ちだよ」
涙が出そうになった。
それは俺の気持ちだよ。いつか言葉でリルに伝えたいと思った。
この世界に産まれたばかりで、母猫とはぐれて途方に暮れてる俺に優しくしてくれるリル。
感謝してもしきれない……
リルはなかなか眠れないのか、自分の過去やこの世界のことについて話してくれた。
俺が言葉を理解してないと思ってるはずなのに、友達に自分のことを知って欲しいというかのように夜が更けるまで語ってくれた。
「ご飯一緒に食べようねー」
「クルニャー」
白身魚と野菜っぽいものが入ってる鍋から、とてもいい匂いがする。
寄せ鍋といったところだろうか。
「まだ熱いかなあ、ちょっと待っててね……」
木製のスプーンでフーフーしてくれる。
猫舌って言うけど、どれくらい熱さに弱いんだろう。魔物だし、弱くないのかもしれないけど。
「はい、あーん」
あー……なんか凄い幸せな気持ちになってきた。猫好きは猫と触れ合ってると幸せな気持ちになるけど、それに近い気持ちが心を満たしていく。
この娘、凄くいい子だなあ。まだ会って間もないけど、なぜかそう確信できるくらいに。
この世界での初の食事ということもあって、若干恐る恐る口をつけてみる。
「クルルッ!?」
美味しいっ!!
凄い凝った食事というわけではないし薄味だけど、白身と野菜?の味が出てて凄くホッとするスープ。体の芯から温まるような……
ちょっと涙が出そう……
喜んでるのが伝わったみたいで。
「フフー、喜んでくれてリルは嬉しいよ、いっぱい食べてね」
春菊みたいな野菜、白菜みたいな野菜、どれも柔らかく味が染みててとても美味しい。
喋れないのが辛い。伝えたいこと、話したいことがいっぱいあるのに……
「今日は良い日だったなあ。君と会えたしさ。魚を獲ろうとしてたら君が流れてくるんだもん」
やはり川に落ちて気絶した後、流されていたようだ。
「そうだ! いつまでも『君』っていうのも呼びづらいし、名前をつけようよ!」
おお! 目の前で自分の名前をつけられるなんて、不思議な気分でワクワクする。
リルは人差し指を立てた状態で顎にあてて、名前を考えている。
その子供っぽい様子に、「この子の名前は私が考えるの!」と初めて飼うペットの名前は自分がつけるんだと、両親に可愛い我儘をいう娘の姿を想像した。
「んーとね、昔活躍してた従魔の名前で『ゴンザレス』っていうのがあるけど、どうかな? カッコよくない?」
「フニャー!!」
食べてた野菜を噴き出した。
そして、全力でイヤイヤした。伝われ俺の気持ち。
「嫌そうだね……強くなりそうなのになあ。君は私の言葉が分かるみたいに反応するね。」
言葉が分かってますとも。さあ別の名前を!
「んー、じゃあ『シュン』ってのはどう?」
今度は驚きで固まった。
「俺」の名前が「瞬火」だった頃があったような気がして……
その頃、身近な人は俺のことを「シュン」と呼んでて、人によっては「またたび」とあだ名で俺のことを呼んでいたような。
ただの勘違いの思い込みかもしれないけど……
いずれにせよ、「シュン」という名前には全く違和感がない。
「『シュン』っていうのは、私の……銀狼族のご先祖様のさらにご先祖様の時代に、使われてた言葉で『リル』と同じ意味なんだよ」
古文だと全く違う名前だったりする感じかな。
なんとなく馴染む感じがして、急に呼ばれてもすぐに自分のことだと分かりそうだ。
ゴンザレスって呼ばれても、暫くは自分のことって思えないしね。
「ニャー!」
肯定の気持ちを伝えたくて、リルの足に突っ込むことにした。
膝の近くに頭をグリングリンする。猫って嬉しい時によく頭をグリングリンと擦り付けてくるよね。
「ニャハッ! 分かったよー、君の名前は今から『シュン』ね」
くすぐったがるように笑う姿が、可愛くて猫っぽいなあと思った。
「シュンとリルは今日から友達だよ」
「クルニャーン!!」
よろしくという気持ちが伝わって欲しいと鳴き声を出した。
それから、二人?で鍋を空にして、お腹いっぱいになったところで、寝るためかリルは布を敷き始めた。
なんとなく分かったけど、家に帰る雰囲気も無かったし野宿だよね。
野生の猫だからか、加護の適応力アップの為か、野宿自体には全く抵抗がないけど、リルはこんな所に独りで暮らしているのだろうか?
落ち着いて見える部分もあるけど、見た目は中学生になったばかりくらいにしか見えない。
この世界の常識が無いから、なんとも言えないけどさ。
なんてことを考えていると、ヒョイッと持ち上げられた。
「さあさあ、寝るよー! いつも独りだったから、嬉しいな」
ニコニコしたリルに寝床まで連行された。ニャンコって運ばれる時、こんな気分なのね。
でもこんな森の中で野宿って大丈夫なのかな?
魔物的な意味でさ。森には狼も住んでるみたいだし。
まあ長いこと今の生活をしてて、慣れてる感もあるし大丈夫なのかな。
リルは横になって、顔の前に俺を置いた。
「!?」
顔近いって! リルの大きな瞳に猫が映ってるし!? あ、俺か……。
それになんかイイ匂いが!?
なんか汗かいてきた気がする……。猫ってあまり汗かくイメージ無いけどさ。
しかも……猫だから当然なんだけど、自分が全裸だと考えるとさ……なんかこう……さ。
恥ずかしい……じゃん?
ドキドキして寝れないぞ、こんなの……。
リルは俺のオデコに顔をくっつけてきた。
「モフーッ♪ うーん♪ 落ち着くー」
リルが俺のお腹のモフモフしてる部分に顔を埋めてくる。猫のお腹の毛って凄い柔らかくて気持ちいいよね。
俺は全然落ち着かない……俺はニャンコ……ニャンコは俺……
だけどこれは俺からもリルの尻尾と耳にモフモフしていいってことのはずだ。
相手に何かするのは、される覚悟がある者だけだというような言葉があったはずだ。ちょっと違ったかな。
「シュン、ありがとね。リルは今幸せな気持ちだよ」
涙が出そうになった。
それは俺の気持ちだよ。いつか言葉でリルに伝えたいと思った。
この世界に産まれたばかりで、母猫とはぐれて途方に暮れてる俺に優しくしてくれるリル。
感謝してもしきれない……
リルはなかなか眠れないのか、自分の過去やこの世界のことについて話してくれた。
俺が言葉を理解してないと思ってるはずなのに、友達に自分のことを知って欲しいというかのように夜が更けるまで語ってくれた。
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